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le rouge et le noir

スタンダール「赤と黒」(小林正訳)新潮文庫

最近は寝る前の日課として、
この小説を少しずつ読み進めておりました。

正直はじめは、読みにくいとばかり思っていました。
今思えば物語に入っていけない言い訳ですが、

各章ごとにあらわれるエピグラフ、
頻出するフランスの人名、地名、
註の多さ、
など煩わしく感じられ、
集中できずパラパラ、ページを捲っては、
こんなに長いのか、とため息。

しかし、心中文句をたれつつも、
毎夜100ページくらいは読んでいたので、
序盤から何か、この小説に惹かれるものがあったのでしょう。

物語が進むにつれ、
紙をめくるスピードも加速し、
終盤はいっきに読みました。

これはすごい小説です。
とにかくすごい。
作家が生きた時代のフランス社会、
フランス人を徹底的に見つめ、
その分析、批判には、
磨き抜かれた理性の輝きと、
天才的なひらめきを感じます。

そしてなんといっても、
この小説の魅力は、
主人公ジュリアン・ソレル。

高貴な魂、豊かな才能、そしてはかない美貌を持ちながらも、
製材小屋のせがれに生まれ、
父や兄弟からひどい扱いを受けて育ったことで、
意地の悪さ、
他人への憎悪、
強い野心を内に秘め、
出世に邁進していくことになるのです。

ごまかしやなれあいが横行する世間で、
もはや時代から失われてしまった、
激しいエネルギーを抱え、
孤高に躍動していくジュリアンに、
心を動かされます。
名誉や愛の本当の姿を追い求めていくジュリアンの姿から、
目が離せなくなりました。

とっつきにくさはありますが、
やはりすごい小説です。
ぜひ挑戦してみてください。

僕は、
「カラマーゾフの兄弟」を読んだ時の体験を思い出しました。
長い道のさきに、
こんな小説を書ける人間がいるのか、という震えるほどの感動が待っている。
そんな迫力のある小説です。

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