「教える」に関わる人たちへ伝えたい4つのこと
【はじめに】
教える側にとって辛いことって、何だと思いますか?
私が今まで「教える側」の方たちを見てきた中で一番だなと思うのは、
「相手が育たない=自分の教え方が悪い」
と、自分自身へ責任を向けてしまうことです。
逆に言えばそれだけ真面目で責任感が強いともとれますが、自分自身へかけているプレッシャーはとても大きく、思いつめてしまう原因にもなってしまいます。
そこで今回は、私が「教える側」に立って初めて気がついたことや、私と同じように「教える側」の人が持つ悩みから、ポイントを4つに絞って、順番にお伝えしていこうと思います。
なお、今回は「仕事」を舞台とし、本業である飲食店のキッチン勤務視点からの説明となります。
ただし、あくまでも例として使用しているので、話の内容そのものはどんな場面にも通じるものがあると思っています。
人に何かを教える立場にある、全ての人に役立てれば幸いです。
【①自分の言葉で説明するのではなく、相手が理解できる言葉を使う】
〈具体例〉
NG→「提供時間を守るために、OP(オペレーション)を確立して…」
さて、皆さんにお聞きします。
このNG例、何を言っているか分かりますか?
飲食店キッチン勤務を経験したことがある方なら「あ~なるほどね~」となるかもしれません。
しかし、おそらくほとんどの方が、
「これは何を言っているんだろうか?」
「多分こういう意味だと思うんだけど、確証が持てない」
に当てはまると思うんですよね。
しかし皆さん、自分が誰かに教える時の言動をちょっと思い出してみてください。
「あなたの言葉は、あなたが教えようとしていることを全く知らない人に対して、適切であったと言えるでしょうか?」
上記のNG例を見てみますと、
『提供時間』『OP(オペレーション)』など、
およそ日常会話とは縁遠いワードが出てきていますよね。
人に教える時は「相手がイメージしやすい言葉」を使うことが大切です。
具体的に言うと、家族や友人との会話で自然と話す言葉やテレビで話す言葉など、「身近な言葉」であることが望ましいです。
なぜなら、普段耳にしている言葉はイメージしやすく、教える側の人が伝えようとしているものに近づきやすいからです。
それを踏まえて、先程のNG例を添削してみると、
OK→「お客様のテーブルに、お料理を運び終える時間を守るために(提供時間)、作る順番や運び方をみんなの共通ルール(OPを確立)として…」
いかがでしょう?
NG例よりも言葉が噛み砕かれていることや、主語、目的、手段、結論などがハッキリと分かるかなと思います。
こちらから更に、子どもでも分かるように説明していくと、
「みんなで一緒に『いただきます!』をしてご飯をおいしく食べるために、作る人や運ぶ人はどんなことを大切にしたらいいかな?」
という風になります。
言葉が簡単すぎてバカにされているような気分になりますか?
確かにそう思うのも無理はありません。
しかし、NG例とOK例を見比べた時、
「イメージしやすい方」「パッと頭に光景が浮かぶ方」
は、一体どちらでしょうか?
OK例の方だと答える方は多いのではないでしょうか。
難しい言葉や自分が意味を知っている専門用語というのは、自分と知識・技術レベルが同じかそれに近い人同士であれば通じます。
しかし、初めての人でも分かりやすく、想像しやすい、
もっと言うと、「自分がその場にいることをイメージすることができる」言葉を選ぶことで、理解度は高まります。
さらに、そこから見えてくる重要性や必要性も読み取れます。
もし、先程の例の前にお話をつけ加えるとしたら、
「ちょっと想像して欲しいんだけど、お友達や家族の料理が先に運ばれてきて、自分の料理がめちゃくちゃ遅かったら、どう思うかな?
皆が食べ終わる頃になって、ようやく自分の料理が来たら、おいしく食べられるかな?」
どうでしょう?
ハッ!とさせられませんか?
教えようとしている内容がなぜ大切なのか、どうしてそれが必要なのか。
相手の理解度を深める上で欠かせない要素です。
そして、イメージをすることは、頭の中で疑似体験をすることであり、その疑似体験から見えてくることを現実にしていったら良いのです。
なので、もしもOK例に対して、教えられた側が、
「みんなで一緒に『いただきます!』をするためには、みんなの料理がほぼ同時に出来上がらなきゃいけないですね。
そしてそのためにどうしたら良いかが、オペレーションっていう部分になるんですね」
と、本人なりに想像し、解釈して、説明できたならば、
あなたの説明は100点と言っても過言ではないでしょう。
〈①まとめ〉
首を傾げて「多分、大丈夫です…」と自信なさそうにさせる説明はNG!
笑顔で「分かりました!」と自信を持って言えるように、言葉を簡単にして教えてあげましょう。
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