見出し画像

息をするように嘘をつくわたしたち

いつからか嘘をつくことが当たり前になってしまった。息を吐くように今日も嘘をつく。こんなにも嘘をつくようになってしまったのは、なぜなんだろう。そんなの今更わたしにだってわからない。でも、ひとつだけわかることがある。本当の自分が嫌いだってこと。唯一、嘘ではない答え。

そのようにして作り出してしまった、もう1人のわたし。本当のわたしがいつも邪魔をしてくる。どうして嘘をつくのかと。泣き叫びながら止めてくる、嘘はだめだよと。邪魔しないでくれ。あんたになにがわかるんだ。ありのままがいちばん、だなんて。ありのままでいたって好いてなんてくれなかったくせに。愛してくれなかったくせに。褒めてもくれなかったくせに。認めてくれなかったくせに。見向きもしなかったくせに。存在することも許してくれなかったくせに。


そしていつも決まって言う。そんなことないよ、と言う。あんたこそ、嘘つき。


本当の自分のだめさがバレないようにと、息をするように嘘をつく。わたしは、立派でありたいんだ。なんでもできて、素晴らしい人に。しっかりとした大人に。そして、愛される人に。

だめな部分がバレないようにと嘘をついて、またバレないようにと嘘に嘘を重ねた。もう何回目の嘘なのかは、わたしにだってわからない。嘘をつくことが当たり前になってしまった。そうして作られたわたしは、心の奥底に大きな空白ができていた。

本当は何者かになりたかった。本当のわたしは何者にもなることができなかった。特別になりたかった。特別な、なにかに。取り残されることのない、なにかに。置いて行かれることのない人に。

気にしなくていいよと言ったあの人は、わたしよりも立派ですてきな肩書きだって持っている。そんな人の慰めなんて余計に惨めになるだけだ。なにも言わないでくれ。待っていてくれないのなら。理解できないのならなにも言わないでくれ。

わたしはわたしを生きたい。それが嘘で作り上げられたものだとしても。


だからわたしは今日も嘘をついてわたしを作り上げていく。

よろしければサポートお願いします₍ ᐢ. ̫ .ᐢ ₎💕✨