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大切にしまっていた思い出がどんどん消えてしまう

わたしたちは日々を過ごしていくにつれ、たくさんいろんな気持ちの思い出を上書きしていく。いつだって、どんなときだって。覚えていたくないことだってわたしたちの意思とは反対に勝手に記憶されてしまう。

悲しいことなんて覚えていたくない。辛かったことなんて忘れたい。苦しかったことなんて思い出したくない。泣いたことなんて。痛かったことなんて。たのしいことだけ、うれしかったことだけを覚えていたい。



つい先日、あるバンドがライブ配信するということで久しぶりにiPadでYouTubeを開いた。アプリを立ち上げてびっくり、ログインされていなかった。「最後に使ったときログインしていなかったのかなあ?」なんて思いながらログインしようとしたらできなかった、パスワードが違っていた。開始時間数分前にこんなことやめてって思いながらも、記憶を叩き起こして何回もパスワード入力してみたけれど、どうしてもわからなかった。もしかして、なんて思いながらもSwitchもiPhoneでもログアウトして試して見たけど意味なんてなかった。

「ポンコツiPadでなんてもうYouTube見ない!」って怒りながら諦めてログインせずに見ていた。基本パスワードなんてだいすきな人の記念日か誕生日に英語を組み合わせたもの。それが全く思い出せない。なんたって最後に変更したのは3年ほど前だったはず。思い出したと思ったのに、またしてもログインできなかったんだ。

だいすきだった彼の誕生日だった。そうあの頃、彼のことがだいすきだった。なにもかもが全部がはじめてのことだらけで、一緒に死んでもいいって思ってたくらいだいすきだった。不幸になっても一緒にいたかった人だった。

そんな大切だった人の誕生日を忘れてしまっていた。1日違いだったけれど、間違えて覚えてしまっていた。過去の手帳を見なければわからなかった。まったく思い出せなくなっていた、彼との思い出。どうして忘れてしまっていたんだろう。たくさん泣いて、たくさん傷ついて、たくさん大事な思い出だったのに。大事な人だったのに。

わたしたちは日々を過ごしている中でいろいろな思い出が猛スピードで作られていく。こうしていま読んでくれているみんなのこの時間も、些細な時間だったとしても思い出となって作られていく。そうして残された思い出は、上書きされて古いものからどんどん消えて忘れてしまう。忘れたくない大切な思い出も。それはどう足掻いても仕方のないことなのかもしれない。

でも、それが少し受け入れられなかった。どうしても納得なんてしたくないって思った。自分の中にある大切なものを壊された気がしたんだ。

でも過去の記憶を忘れてしまうということは、いま現在がわたしたちにとってたのしくしあわせに過ごせているから古い記憶にしがみ付くことをしなくても大丈夫ということなのかもしれない。もうあなたは後ろを振り返らなくて大丈夫だよと教えてくれていたのかもしれない。悲しい別れもあったけれど、すてきな出会いもあったから大丈夫と。

人の記憶は上手に出来ていて、うれしかったやたのしかったなどの記憶よりも悲しかった、苦しかったなどと言った思い出の方が記憶されやすくなっている。でも、どんな思い出でもわたしたちにとっては大切な宝物。だから忘れてしまったときに気持ちにぽっかりと穴が空いてしまったように感じてしまう。

わたしたちは大切な思い出ほど、普段は大切にしまって忘れないように鍵をかけている。それなのにどんな大切な思い出でも時間が経つとどうしても忘れてしまう。だから日々後悔をしないように一秒一秒を大切に過ごしているのではないでしょうか。

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