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003_DocsApp 【インド】 〜日本でもホットな分野「遠隔医療」で世界最先端を行くスーパースタートアップ〜

さて、いきなり2日間も更新することができませんでした…
早速3日坊主を発動してしまった僕ですが、これからはどんどん更新続けていくんでぜひ読んでください。お願いします…

という訳で本日はインドの遠隔医療のスタートアップ「DocsApp」について紹介していきたいと思います★
みなさんは遠隔医療ってどんな風に考えてますかね。ちなみに僕は「超推進派」です。だって病院でおしゃべり大好きなご老体と一緒に順番待つのは正直苦痛ですからね★

冗談はさておき、本日もイケてるスタートアップをゆる〜く紹介していきたいと思います!

DocsAppってどんな会社?

DocsAppはインドのバンガロールにある遠隔医療サービスを提供しているスタートアップです。とりあえず基本情報はコンナ感じ。

【会社名】  Phasorz Technologies Pvt. Ltd.
【設立】   2015年
【事業内容】 遠隔医療のプラットフォーム作成
【代表者】  Satish Kannan・Enbasekar Dinadayalane
【所在地】  インド共和国カルナータカ州バンガロール

いやーめっちゃ若い!若い企業ですね〜。そして共同創業者のお二人もめちゃくちゃ若い!なんと2人とも28歳!同い年なんですね。
それもそのはず、2人はインド工科大学(IIT)で電気工学を共に学んだ同級生です。Danadayalaneは研究所時代に「糖尿病性網膜症」という病気を検出できる装置の特許を取得したりなどめちゃくちゃ優秀な学生だったようです。

余談ですが、僕は最近IIT行きたいなーと思ってます。いや〜IITってマジで凄いんですよ。なんとインド工科大学〜〜校っていうので16校もあるんですよ。科学技術系の学科のみの学校が16個もブランチ持ってるって凄くないですか!?移住したいな〜。一時的な留学じゃなくて。

遠隔医療ってなんぞや?

みなさんは遠隔医療ってご存知でしょうか?遠隔医療とはその名の通り「遠隔地より医療を提供するサービス」のことです。一見「そんなのビデオ通話で繋げばいいだけだから簡単じゃ〜ん」なんて思えます。
ところがどっこい!メチャメチャ大変です!
医療点数や効果の担保など様々なハードルがある分野です。だからこそinnovationの意味があるわけですが…

遠隔医療は大きく2つに分けることができます。
①医者がリアルタイムで診察を行うもの
②医者がリアルタイムで診察を行わないもの

①は遠隔診察と呼ばれてます。ビデオ通話の形式が一般的で周辺機器を導入することで聴診をしたり、患者の耳の中を調べることもできます。現状の診察の延長線上にあるので医者側も患者側も馴染みやすい反面、様々な技術や周辺機器が必要となるのでビジネス化が難しいという課題があります。
遠隔診察は精神科、内科、リハビリテーション科、心臓科、小児科、産婦人科などで有効な方法です。

②は遠隔診療と呼ばれています。名前が似ていて紛らわしいですよね。「他にもっといい言葉は無かったのか💢」というツッコミはとりあえず置いといて、解説に移っていきましょ〜。

遠隔診療はX線写真や生体信号などのデータを事前に医者側に送信しておくことで患者と医者の双方がオンラインでなくても医療を施すことが可能になります。先ほどの遠隔診察よりこちらの方がビジネス化しやすいというメリットがあります。民間サービスもこちらの方が圧倒的に多いが、リアルタイム診断でないためセキュリティ問題などがよく取り沙汰されています。こちらは皮膚科、放射線科、病理科などの装置だけで客観的データが取れる医療が適しているようです。

ちなみに日本では国家をあげて推進に取り組んでいて厚生労働省が色んな施策を講じています。その甲斐あってか以下のように割と導入が進んでいるようです。やはり画像診断が導入障壁が低いんですね。この場合だと在宅医療が①、病理診断が②に当たるので②の方が導入障壁が低く、ビジネスになりやすいことが数字からも理解できます。

インドと日本で大きく異なるのはやはり規制や既得権益の存在です。日本を代表する遠隔医療スタートアップのうちの1社であるMICINのCEO、原聖吾さんは

遠隔医療のアプリを病院に導入する過程である機関の方々に理解して頂くのに非常に苦労した。


と仰っていました。まあ、こういった規制等のおかげで日本は医療分野で非常に高い安全性を保っているのは事実なので一概に否定することはできませんが、新技術の導入という観点においてスピード感に欠けるのは非常に残念な点です。


ちなみにですが、日本の医療規制の話から読み取れるように医療というのは国家、ないしは地域ごとに全くシステムや考え方が異なっています。その為、導入には必ず「ローカライズ」という作業が必要になるため、世界を席巻するような圧倒的プラットフォーマーは出にくいんじゃないかなというのが僕の予想です。

DocsAppが狙う市場ってどんな感じ?

遠隔医療の市場規模はJOMDDが以下のようなグラフを出しています。

非常に堅調な成長ペースであることがわかりますね。ちなみに2022年は280億USドルで約4兆円ですね。でかい!

成長ペースの遅さはやはり医療という分野が劇的な変化にあまり向いていないことを反映しているのだと思います。また先程もご説明したローカライズの難しさという観点から世界を席巻するプラットフォーマーが現れにくいというのも成長ペースの遅さの理由の一つです。

しかし、その中でも注目されている地域があります。それがDocsAppが市場とするインドを代表とした新興国です。新興国では医師の不足が非常に問題となっています。例えばインドでは国民1000人に対する医者(内科医)の数が0.7人という統計もあり、人口増加率が非常に高いインドでは深刻な問題となっています。

問題の大きさに加えて新興国では規制や法整備がそこまで整っていないという現実もあります。これはinnovationを起こしたいスタートアップには非常に有利に働きます。その理由は主に2つ。

①法規制が少ないからビジネス展開を妨げるものが少ない
②それぞれの国のローカルの特徴性が少ないから1つの新興国で作成したプロダクトを他の新興国でも流用できる可能性がある。つまりスケールがしやすいかもしれない。

こういった理由から遠隔医療ビジネスは新興国で流行しているようです。今回紹介しているDocsAppはまさにその最たる例でしょう。

DocsAppの資金調達

まだ創業3年目くらいの会社なので資金調達数が多い訳ではないですが一応見ていきましょう!

Seedの段階で$1.2M(約1億3000万円)って凄いですね。遠隔医療への期待度の高さが見て取れます。ちなみにこちらのRedright Partnersは日本人が主体となっているほぼほぼ日本のVCです。日本経済の成長の為にアジア周辺各国のスタートアップに投資をしています。DocsAppほどの世界で注目を集めている企業が日本と関わりを持っているとは嬉しいですね。

そしてもう一点、みなさん見慣れない記号があるんじゃないでしょうか?「₹」はインドの通貨でルピーと読みます。1ルピーは1.56円 (2019年6月8日現在)なのでだいたい日本円の感覚と同じくらいでしょうか。₹120Mは約1億9千万円くらいです。この資金調達はデッドファイナンス(借り入れ)で行われました。スタートアップがデッドファイナンスを行う理由はいくつか挙げられますがよくあるケースとしては短期的に爆発的な成長が見込めないが、運転資金としてお金が必要な場合です。DocsAppの場合先程もお話した通り、遠隔医療ビジネスそのものが安定的成長が見込まれるビジネスです。その為、圧倒的成長を求められるVCからの資金調達よりもデッドファイナンスの方がビジネスモデルにマッチングしていたんだと思います。

ところでRedright Partnersのような世界に本気で目を向けたVCは徐々に出てきてはいますが、まだ日本では希少な存在です。日本のVCについての考察をめちゃくちゃしたいですが、それをやるとこの記事が10000字超える気がするので別の機会に回すことにします...

DocsAppの競合(っていうか仲間)

いつもならここで競合やライバルを紹介するところですが、もう皆さんおわかりの通り「遠隔医療は既得権益や規制が一番の敵」です。従って、競合の企業はライバルというより、一緒に規制をかいくぐりムーブメントを起こす仲間と言ったほうが正しい気がします。ですので今回はDocsAppの仲間たちを紹介していきます。

①miup 【日本】

miupは2015年9月創業の東京大学発のスタートアップです。大学発スタートアップだけあって問診AIシステムなどユニークな最先端技術をたくさん有しているのはもちろんなのですが、最大の特徴はサービス展開先が日本ではなく海外であること。バングラディッシュを始めとした東南アジア各国にサービスを提供しています。規制の多い日本でいきなりサービスをローンチするよりも海外で実績を作ってから日本に「逆輸入」するというスタンスをとっています。
最近も2018年11月に1億円を資金調達しており、日本の大学発ベンチャー界の中では大注目の1社です★

②OnMed 【アメリカ】

アメリカのOnMedは「遠隔医療ステーション」を開発しているスタートアップです。OnMedの特徴はとにかく最先端技術を詰め込んでいるところ。OnMedが解決する社会問題は「診療時間の無駄と膨大な待ち時間」。すなわち新興国には目もくれず、先進国相手の商売をしようとしているわけです。市場としては新興国の方が大きいのに。
おそらく技術ベースで話が進んでいく会社なんでしょう。「やっぱAIで顔認証でしょ!」「自動的に薬調合したらやばくない!?」。ビジネスサイドの話は後回しになるんでしょうけど、意外と僕はこういう企業の方が好きだったりします。やっぱりスタートアップにはワクワク感が重要だと思うので★

③CirrusMD 【アメリカ】

CirrusMDはアメリカのコロラド州にある2012年創業の遠隔診察(Telehealth)をサービス提供しているスタートアップです。機能はいたってシンプルで患者と医者をオンラインで迅速につなげるチャットツールの開発です。これを50州で利用可能にしたところが非常に凄いところです。OnMedのように圧倒的技術力もよいですが、やはりこういうしっかりした結果を持っている会社の方が投資家ウケはいいもので...
2019年も$15Mを調達して非常に順調に成長しています。非常に経営力が光っている企業です。

まとめ

というわけで本日は遠隔医療アプリ開発を行っているDocsAppについてご紹介しました。まあ運営会社の名前は本当は違うんですけど覚えにくいんでDocsAppで良いでしょう。
遠隔医療のような消費者向けのスタートアップの情報を集めているとなんだか自分たちの生活の未来を覗いているみたいで面白いですね。今回はスタートアップについて見ているのであまり詳細に書けませんでしたが、後日遠隔診療についてその技術と現状の課題をnoteでまとめたいなと思ってます。そちらも是非読んでみて下さい!それでは本日はインドの遠隔診療アプリのスタートアップ、「DocsApp」をご紹介しました〜★

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