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ゆらり。

そうして気がつくと、蒼い影が幾つも流れては消える水底にいたのだ。

しんとしたその場所には
音もなく
聲もなく
わたしをあんなにも苦しめたものそのものの存在すらない。

夢なのかそうでないのかもうよくわからない。

目を閉じても明滅するその影の中に
ふと
懐かしい想いを抱いても
決してその傍には往くことはできない。

脚のないもののように
流されるがまま
私はいつしか浮遊して
漂うようになったのは何時の頃か。

蒼く仄暗い光の中には
私と同じく漂う者がいるが
その姿は朧気で輪郭すら掴めない。

ああ。

そうか。

ここは。

人知れず実体を失くした者達の墓場なのか。

そう思った時
またひとつ
大きな影が消えた。


ゆらり。

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