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人生は、大好きなものが助けてくれる。映画『500ページの夢の束』アメリカ・2018年


主人公はスター・トレックの大ファンの女の子ウェンディ。
自閉症で、日常生活には割と不安があるけど、毎日毎週同じルートを通り、同じことをして生活できる。なにより『スター・トレック』が大好きで、登場人物たちを主人公にした物語を書いている。

ある日、スター・トレック50周年を記念して、ハリウッドがオリジナル脚本を募集。姉との衝突のおかげで締切に間に合うように発送できなかったウェンディは、自分でバスに乗ってハリウッドまで原稿を届けることを決意する。

決まった毎日、決まった道の往復しかしなかったウェンディが、『スター・トレック』の登場人物の言葉を頼りに未知の世界へ踏み出すファンタジー。お供のワンちゃんとはいい感じに珍道中。出会う人はいい人と悪い人と半々。サイコロのようなロードムービー。

ウェンディという名前は、ピーターパンのウェンディから来たのかな。物語の世界の住人と現実世界を結びつけるチューターみたいな女の子の名前。彼女を助けてくれるのは、親切な人、世話好きな人、そして彼女同様スター・トレックを愛する人々。

先日来、楽しんでいた『ゲーム・オブ・スローンズ』ではヴァリリア語って架空の言語が出てきたけど、『スター・トレック』にもクリンゴン語が出てくる。これがウェンディとロサンゼルス警察のおじさんを結びつける。アメリカって、物語をつくるとき言語までつくっちゃう、そのエネルギーがすごい。

ソーシャルワーカーは自閉症なんかの専門知識に優れているけど、『スター・トレック』はよく知らない。むしろ、息子のサムの方が詳しくて、頼りないと思っていた息子に『スター・トレック』ネタで助けられるのもいい。ただ、出番がちょっと少ない。もっと、ウェンディの自立の助けになるとか、ソーシャルワーカーの母と息子の和解とか、物語に絡むと期待したのに残念。

でも、「自閉症の彼女が自分の居場所を見つける旅」としては、スッキリまとまって、とてもいい映画、過不足なく楽しめて、ホッとできる映画。おすすめです。

邦題: 500ページの夢の束(原題:Please Stand By)
原作者: マイケル・ゴラムコ
監督: ベン・リューイン
主演: ダコタ・ファニングほか
製作: アメリカ(2018年)

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