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[書評]私家版・ユダヤ文化論

タイトルにあります通り、今回書評を行う本はなんとこの本!



図書館にありました笑

さすが京大

しかも結構読まれた跡がありました。小林秀雄賞をとり、養老孟司先生から推薦された本です。

この本をみた時手に取ろうと思ったのはラーメンズのニュースが原因かも知れません。

みなさん、ユダヤ人に対してどんなイメージを持っていますか?

・お金持ち

・成功者が多い

・差別を受けてきた


人それぞれだと思います。この本はその中で、3つ目の差別について語られていました。


この本はフランス文学者の内田樹(うちだ たつる)氏が書いたもの。ユダヤ人に関する差別の歴史を前半でわかりやすく解説し、後半は過去の著名な文学者の意見を交えて考察するという内容でした。

後半は、背景知識のない理系の私には全然訳がわかりません。そして知らない人物と、言葉などの背景が多い。例えば、この本には「蓋然性」という言葉が出てきて、意味がわからずググりました。ユダヤ人を考察した過去の学者のサルトルやレヴィナス、マルクスの名前が頻繁に出てきます。

なんで素人の私がこんな本を読んだのかというと、単純に他の人と違うことがしたかったから。noteにはスキルアップのために書評をしている人が多く、どうも'心から'楽しんでいる人が少ない気がする。みなさん、楽しんでいるとは思うんです。でも、どこか、「やらなきゃ」という義務感を文脈から感じてしまう。ここで、完全なる役に立たないであろう文学作品に触れることで哲学的な何かが得られるのではないかと思い、この本を選びました。難しかったけど、楽しいんです。


まずはユダヤ人とは何かというところから。

まず、やってはいけないのが日本人と同等に考えること。日本人だったら、日本国籍を持つ人で大体大丈夫。この本にはもう少し深掘りしていたけど、これでいいでしょう。でも、ユダヤ人は違う。国籍で語れない。第二次世界大戦まで、ユダヤ人が大半を占める国家であるイスラエルなんて存在しなかった。そして、ユダヤ人はキリスト教徒による追放により、アメリカやヨーロッパ各地に分散している。だから、大体の意味においてはユダヤ人の定義は「先祖が現在のイスラエルに通じ、ユダヤ教徒である」でよい。これ以上はもう無理。ちなみに、ナチスは8親等以内ユダヤ教徒がいたらユダヤ人と定義していたそうだ。

そして、ユダヤ人について考える時何がユダヤ人でないかを考えた方が良い。私みたいに日本で生まれて無宗教なのはユダヤ人じゃない。先祖代々アフリカに住んでいて土着の神を信仰する黒人もユダヤ人じゃない。先祖代々イギリスに住んでいて、何世代に渡ってもユダヤ人に辿り着かないキリスト教のアメリカ人もユダヤ人じゃない。こういうふうに考えればいいのかな?絶対違う気がする。

ちなみにサルトルは誰かがユダヤ人と言ったらそれがユダヤ人と定義したそうです。循環論法??

繰り返し大勢に言われれば言葉の定義ができる。今私が使っているパソコンだって、かなり多くの人がパソコン、パソコンと繰り返し行ってきたらかこの言葉ができたんだろうね。

そこで、ユダヤ人に限らず、概念は言葉ができてから出来上がったものだと作者は解釈していた。専門用語を除いて、言葉っていくらでも解釈できる。赤いと言ってもある人はベージュ、ある人は紅色。あるクシャクシャな紙を指さして、これはゴミであるという人もいればこれはゴミではなく緩衝材という人もいる。専門用語のように他の解釈が全く許されない言葉は意外に少なく曖昧なものに名前をつけて後から概念をうむ。人間はある程度ものを箱に入れてまとめないと処置ができず記憶ができないのである。


この本には名言がありました。


人間は底知れず愚鈍で邪悪になることがある

ユダヤ人を差別する人はいい人が多いそうだ。

はい?

差別する人間なんて愚鈍で邪悪なんじゃないのか?

ここで、私は愚鈍を冷静さを失うと、解釈しました。この本いわく、過去に様々な反ユダヤ主義本がヨーロッパ各地で発売され、かなり売れたものが多いそうです。しかし、どの本も論理的におかしい箇所が多い。ひろゆきさんみたいに頭が良くなくても、誰でも間違っていると論破ができるような部分が多いのです。じゃあ、なぜそんな本が世紀を代表するようなベストセラーいや、ロングセラーになったのか。この問題を説明できるのが、人は愚鈍だからという事実。どんなに論理的にもおかしくても差別するような人々は、自分の主張と合致する意見を受け入れてしまうのだ。

同じことが日本でも起きていたので比べてみました。

少しセンシティブな内容に踏み込みます。もしあなたが百田先生の超大ファンだったら、不快な思いをするかも知れません。でも、そんなあなたでも反ユダヤ主義者でない限り、この続きを読んでいただきたい。


この本は百田尚樹氏のベストセラーで飛ぶように売れましたね。日本中どこの書店でも平積みにされていました。友達の家に行った時も本棚に置いている人が多かったです。

実はこの本、盗用や誤謬が多いのです。そんな本が飛ぶように売れた理由は、先ほどヨーロッパで反ユダヤ主義者本が売れた理由と同じなのです。百田先生は上述の反ユダヤ主義本の作者同様、差別意識を持っていおり、この本はそんな人に向けた本なのです。

そんな本でも、受け入れられてしまうのは

人間は底知れず愚鈍で邪悪になることがある

からなのです。


日猶同祖論というものがある。

これは戦前に流行った考え方で、日本人とユダヤ人は先祖が同じという考え方なのである。これはユダヤ人のように日本人が優秀というわけではなく、当時の欧米列強に対して日本人は霊的?に有利だということを証明するためだという。確かに、日本人はアメリカ人にイエローモンキーと呼ばれて蔑まれていた。そんな日本人が自分たちに誇りを持てるように、外国に見せかけでもいいから覇気を見せつけるためにはこうすることを当時の日本人学者は考えたのである。ちなみに当時の著名な日猶同祖論を解いた学者は全員アメリカ帰りのキリスト教徒で、中には純然たる反ユダヤ主義者もいたそうだ。


後半は難しくてスキップしてしまいました。

おそらくこの私の文章は大事な部分の要悪ができない上、自分が分かったつもりで読み手がわかっていない部分があると思われる。京大生でも素人が書くとこんなもんです。私は頭が悪いんだと痛感させられました。


これでおわり。








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