見出し画像

クリーニング店と時計

自宅から徒歩数分のところに、ピンクのゾウさんが目印のクリーニング店がある。

なんともポップなゾウさんは、街を歩いていてもついつい気になってしまう存在だ。そして、そんなぞうさんのクリーニング屋さんには、もう一つ気になることがあった。それは、ゾウさんの上に飾られた大きくて、ノスタルジックな時計だ。

画像1

店外に時計を飾っていることも不思議なのだが、もっとわからなかったのが、この時計がたまに無くなること。

画像2

古そうな時計だから修理にでも出しているのだろうか...。てか、そもそもあの時計はなんなんだ?と以前から気になっていた。時計についてたずねてみようと、このクリーニング店に足を運ぶ機会を作った。

時計の謎をときあかす

この日、ゾウさんのクリーニング屋さんこと、「高橋クリーニング店(TAC)」には、パートの”お姉さん”が一人で店番をしていた。クリーニングの依頼と支払いを済ませると、いまだ!とすかさずたずねた。

お姉さん:「あの時計は、社長が大切な人からいただいたもので、大切なものだからと、こうして飾っているの。だけど出しっぱなしにしておくのは危なくて。ほら、ここは酔っ払いもたくさん通るから。いたずらされないように、営業時間が終わると店にしまって、朝になったらまた私たちが出して飾っているんです」

高橋クリーニングが店を構える本町一丁目は、敦賀きっての飲み屋街だ。今でこそ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、夜の出足は減ったものの、それでも週末には酔っ払いたちが夜な夜な楽しそう歩く姿が目に入る。時計がたまに無くなるのは、そんな立地を加味して、意図的にしまわれていたという非常に単純な謎だった。

”夜の街”の昼の姿

店名のTACと”チクタク”がかかっているのかも!?などと、一人想像を膨らませていた私は、時計の真実に少し肩すかしをくらったが、そもそも、「たまに無くなる」ではなく、「毎日無くなる」だったことにまず驚く。そんなに危ない街なのだろうか...。店を出て、何気なくゾウさんと時計に近寄ると、ゾウさんのひたいには大きなバッテンマークがつけられていた。なるほど。恐るべし本町の夜(?)。

営業時間中にしか見ることができないクリーニング店社長の宝物は、街の一面を物語るローカルチャーだった。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?