映画『ハケンアニメ！』レビュー（ネタバレなし）
これはみんな観た方がいい。
アニメ制作のお話だけど、「なにかを作る」ことへのクリエイターたちの想い、苦悩、喜び、様々な感情や物語を見事に描き切っている。
アニメ用語とか分かんない、という人も多いと思うけど、そこまで難しい専門用語が羅列される訳ではない。
中村倫也さんが演じる王子監督が、ちょいちょいアニメの名セリフを言うけど、初心者でも分かる有名セリフなので、「あー、なんか聞いたことあるかも」くらいで流して構わない。
吉岡里帆さんと中村倫也さんが、凄いプライドと拘りを持って「アニメを作っている映画」だという表面的な解釈でも、全然面白い作品になっている。
それに、お仕事というのは、ざっくり言うと全職業が「誰かのために、なにかをすること」なので、この作品も「誰かのためにアニメを作っている人たち」を描いた、誰もが共感できるお仕事映画として完成している。
個人的には、実は「シン・ウルトラマン」よりも公開が待ち遠しい映画だった。
スケジュールの都合でこちらは公開日には観に行けなかったけど、やはり期待通りとても良かった。
僕がアニメを好きなのか、という話は長くなるので割愛するけど、長くなるということなのでそういうこと。
さすがに、同じアニメ制作現場を舞台にしたあの大傑作TVアニメ「SHIROBAKO」には敵わないけど、それでも実写映画として描けるものをきちんと描いていたと思う。
ちなみにこの「SHIROBAKO」という作品は、朝ドラでもいけんじゃない？くらいの傑作なので、「鬼滅の刃は観た」くらいの人でもぜひ観てほしい。
お仕事アニメとして、深夜アニメとして大傑作。
そんな中での本作「ハケンアニメ！」
物語もよかったけど、役者陣も非常に良かった。
吉岡里帆さんというところが凄くいい。
吉岡さんはめちゃくちゃ可愛くて美人さんなんだけど（※週プレ買いました）、こういう地味系女子も演じれば不思議と地味っぽさが出る。
なので、ベストなキャスティングだったと思う。
中村さんも、元々好きな俳優さんだけど、今回は苦悩する男を凄い気迫で演じていて、さすがだなと思った。
ちなみに本作の監督である吉野監督の作品で、主演を務めている「水曜日が消えた」も面白いので、観てない方はぜひ。
あと個人的には柄本佑さんが特にいい味を出してると思った。
悪そうだけど、実はちゃんと考えてくれてる人、という表現しづらいものを、いい具合に体現できていたと思う。
そして声優役の高野麻里佳さん。
まりんかという愛称で知られていて、個人的にはデビュー時から好きな声優さんだったので、単純に嬉しくもあった。
しかもアイドル声優役というところが絶妙。
本人もそんな風な捉えられ方をされてるかもしれないけど、Netflixオリジナルアニメ「エデン」でも観れば、本人はそうじゃないことは分かると思う。
それから、ジェニーハイの主題歌も凄くいい。
元々ジェニーハイの曲は好きで、特に「シャミナミ」なんて何回聴いたかも分からないくらいなんだけど、今回の主題歌も凄くよかった。
またリピートしてしまいそう。
気になる点はそんなに無いんだけど、あえて言うなら制作進行の活躍。
この映画は監督が主人公なので、プロデューサーとの関わりが多いのは当然なんだけど、もうちょっと制作進行が出てきても良くない？とは思った。
アニメ制作現場においては、もちろん監督は忙しいんだけど、制作進行も超絶忙しいはずなので、もうちょっと監督に「作画が上がりませーん！」みたいなのがあってもよかった気はする。
……っていうことをちょっと思ったんだけど、絶対長くなるから確かにいらないか。
あとは単純に、劇中に登場してきたアニメがどんなものなのか気になった。
サウンドバックも、リデルライトも、光のヨスガも。
サウンドバックに関しては、ロボットが、若干「ぼくらの」のジアース風味を感じたかな。
だからなんだって話ですけど。
とにかく、とてもいい映画でした。
まだ観ていない方は、ぜひ観てください！
© 2022 映画「ハケンアニメ！」製作委員会
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