心理カウンセリング序説 (’09) 第14回 死(放送大学)

テーマは「死」
「性」や「力・権力」が、人間にとって、そして、「カウンセリング」にとって、最重要なテーマであるのとまったく同様に、「死」というものもまた、人間にとって、カウンセリングにとって、最重要テーマのひとつと言えよう。フロイトもユングも「死」と集中的に取り組んできたし、そして、カウンセリングの実際においても、「死」は常に私たち人間が「向き合う」ことを要請する。(シラバスより引用)

【キーワード】
死、喪、彼岸、変容イニシエーション、コンステレーション

≪死≫についての検討

変容の過程が十分に歩まれている場合、クライアントは状況を受け入れ、乗り越えていける。

あらゆる変容には本来的に≪死≫が伴っている。

☆状況の意味
☆時の意味
☆変容に伴う≪死≫の意味

治療者は、そのような時を逃さず、クライアントとその意味を見つめていくことが大事。

それまでの存在の在り方は死に、変容していく。
死と深いつながりがある。

ユング派―コンステレーション
⇒一定のまとまりになっているけれど、時として別の意味合いをもったり別の動きを見せるもの。複合した情勢、巡りあわせ、不思議な符合

[補足☆]
コンステレーションとは「星座」のことである。しかし,私の専門のユング心理学では,心の中の状況と外的に起こることがうまく合致して,全体として何かが星座のようにまとまることをコンステレーションと呼んで,大切に考えている。
(河合隼雄先生の解説の一部分から)

河合隼雄 - 京大最終講義 コンステレーションについて https://youtu.be/TcW40V9pzpw

結婚⇔イニシエーション

息子(娘)としては死んで、夫(妻)として再生。
コンステレーションしていく必要がある。

結婚に≪死≫という自覚がないと…イニシエーションではなくなる。
その結果実家との結び付きが強いまま、トラブる。

EX.)現代においては、一見すごく合理的な結婚式
合理的で華やかなだけの結婚式は、≪死≫を匂わせる白無垢をまとったところで、本人も周りも本来的な意味へのイニシエーションではない形式的な慣習を行っているだけなので心理的変容はない。(このあたりの一般的なひとの結婚式におけるやや批判的な内容が味わい深い)

物事には因果関係だけではなく、内的テーマに符合する外的テーマに≪死≫がコンステレートしてる場合があるから、それを読み取るのが仕事。

【根源的な問題と向き合う】
小さなお子さま
“どこから生まれてきたの?”
5~6歳になると
“死んだらどこへ行くの?”

(私たちは日常的に逃げている。印刷教材のまえがきにも記してあるように、一生涯掛けて取り組みましょう。一見的、合理的、科学的な説明じゃ納得できないから子どもは満足しない。わかったフリしちゃう子もいる。

その人なりの言葉でその人なりに答えるように!)

『ことばで表現されていない事情』を察し、心理的な弔いをお手伝いする。
きっかけのあるなしにかかわらず現世に生きている誰かが心理的な立会をし、喪の仕事をお手伝いする。

みなさんもそれぞれ死についてのおもいを巡らせていただければと思います。

【感想とまとめ】

…なんとなく講義が終わった。いい内容だった。(しみじみ)

『結婚に≪死≫という自覚がないと…イニシエーションではなくなる。
その結果実家との結び付きが強いまま、トラブる。』

親側の分離不安を解決していくことも支援のひとつ。親自身が(あるいはきょうだいが)、自分の子やきょうだいをひとりの大人として認め、捉えなおしていくこと、心理的に子から自立することが非常に重要。


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