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逝年 著:石田 衣良

 197ページ読了。『娼年』の続編だ。『娼年』の方を昔読んでいた事を思い出した。大学生のリョウが御堂静香に見出され娼夫として仕事をしている。『娼年』の方ではそのクラブが無くなってしまった時までを描いていたが、『逝年』ではそのクラブの復活と御堂静香との別れを描いている。

 『娼年』の時、娼夫になるためのテストで御堂静香は娘の咲良をリョウに抱かせた。そして自分はHIVポジティブなのでリョウの気持ちには応えられないとセックスをしなかったが、起訴され、医療刑務所から出て来た御堂静香はあと数ヶ月の命しか無いと、そこで別れの為に念入りに感染を予防したセックスで御堂静香をリョウは抱く事で別れを告げるのだった。

 その後は普通の娼夫としてのワンシーンが描かれ、エンディングだった。死ぬのはリョウではなく御堂静香だったのだ。そしてこれからもクラブは咲良やリョウ達によって運営されて行くのだろう。1時間1万円で男を買うという逆風俗だが、女性と身体を合わせる度に女性の深さを知って行くこの職業を天職と感じてるリョウは、きっと咲良と良い家庭でも築くのだろう。バッドエンディングでは無かった。御堂静香の死だけはこれ以上悲しい描き方は無いと思った。聾唖の咲良とリョウがいかに静香を慕っていたかが十分に伝わって来た。二人に幸あれ。

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