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群馬県前橋市|ICカードで子供の健康情報を手軽に簡単に確認するシステム

子供の健康記録を一元化する、という群馬県前橋市が取り組んだ事例をご紹介します。

子供の健康診断の情報は入手しにくい

医療機関や小学校、幼稚園等では健康診断を定期的に行います。

しかし、健康診断の情報が一元的に管理されておらず、 市民にとって健康記録情報を入手しにくい状況でした。怪我や病気になったときには過去の健康状態が必要になりますし、何よりも親御さんとしては子供の健康記録を確認できないのは不安につながると思います。

システムで情報を一元管理

そこで、システムで情報を一元管理することにしました。

まずは、過去の母子健康手帳の記録を電子化しました。そして、現在の健康記録と結びつけ、予防接種記録 や医療機関、保健センター、小学校等における検診情報も記載することで、一貫した子供の健康情報を提供できるようになったのです。

そして、ただ情報を一元管理するだけでなく、情報を入手しやすくするために、ICカード をリーダー等にかざすだけでログインできるようにシステムを実装しました。

ICカードを用いた個人認証により、情報を閲覧できる仕組みを構築したのです。

健康記録の情報は当然ながら個人情報であり、体の状態が記載されているので、特に機密性の高い情報です。いくら情報を入手しやすくする、といってもセキュリティが緩くなってしまってはいけません。

そこで、ICカードを使って個人認証する方法でセキュリティを担保しました。

実証プロジェクトの結果→80%が高評価

本格的に運用をスタートする前に、実証プロジェクトを行いました。

小さな児童を持つ保護者の方、約250名が参加し、そのうち80%がサービスの継続利用を希望したという結果を得られました。

システムを継続的に運営できる組織を設立

今回の事例では、民間企業が主体となって「(一社)ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構」を立ち上げ、群馬県内の自治体を中心として構築したサービスの普及展開を推進しました。
(この取り組みだけでなく、他にも様々な取り組みを推進されています)

今回のポイントは2つあります。

1つ目は、システムを継続的に運営できる組織として「ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構」を立ち上げたということです。
今回のようなシステムは単発のものではなく、中長期的に利用していくことに価値があるシステムなので、継続的に運営していくことは最も重要です。しかし、それを担う組織と役割が明確に定義されていないと、責任が逃れやすい状況になり、結果的に継続できなくなってしまいます。
そのため、今回は組織・役割を定義して、推進機構と立ち上げたのは大きなポイントだと思います。

※余談ですが、、今回のシステムの維持費用は年間100〜300万円ほどです。

2つ目は、ステークホルダーを上手く巻き込んだことです。
医療機関等が保有する個人情報をクラウド上 で管理する必要があったため、ステークホルダーである前橋市医師会から事前に合意を得る必要がありました。そこで、前橋市医師会に本事業の有効性をきちんと説明し、理解して頂いたうえでご協力を頂けています。
ステークホルダーを巻き込むためには、とにかく対話と説明が必要です。有効性が明らかであれば、しっかりと説明することで納得を得られますので、こういう地道な作業が非常に重要です。


■実際に利用されている母子健康情報サービス


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