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遠い記憶II 【詩】

わたしは覚えている
ビルに囲まれた道路をわたって
水泳教室に向かうあの日を

わたしは覚えている
聳え立つ山々の谷間の民家で
黒猫を撫でる老婆の姿を

わたしは覚えている
いもうとたちと人形で遊ぶ
公園に響く子どもの歓声

みんな みんな どこにいるんだろう
わたしはこんなにも覚えているのに
ああ、あなたにとっては
きっと一瞬のことだったのでしょう

砂つぶに扮した
色とりどりの硝子のように

いつかどこか
 遠くまで
それはふたたび
 わたしの声が
名前が
 姿が
伝わって

“会えたらいいな”

ゆるやかな願いを
きょうも胸の奥に
抱きつづける

願い続けている

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