ご免侍 九章 届かぬ想い(二十四話/二十五話)
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あらすじ
ご免侍の一馬の父が、散華衆の隠形鬼だと暴露された。一馬は、連れさられた琴音を助けられるのか。大烏元目に会う一馬は、琴音そっくりの城主と対面する。城に到着すると一馬たちは捕らえられた。
二十四
露命臥竜は、散華衆の四鬼の一人、金鬼と共闘している時に山賊の権三郎の弾があたり、大きく負傷していた。足が弱点だ。
露命臥竜が、傷みで横に倒れると捕まっていた月華も解放される。
「一馬、逃げるよ」
「父を倒さないと」
「あんた斬れるの?」
はっと我に返ると刀を持っていない、藤原左衛門はゆっくりと同田貫を抜刀する。その長大な刀と素手で戦えるわけもない。
その時にドーンと大きな音が、かすかに聞こえる。次の瞬間に城がゆれて爆音が響き渡る。散華衆の家来が飛び込んできた。
「大烏元目様、敵襲でございます」
またしばらくすると今度は城の中に砲弾が撃ち込まれたのか天井から板が剥がれ落ちてたきた。天井にたまった埃と爆煙の煙が充満する。
あわてて廊下に走ると村上栄と忍者の月華が廊下で待っている。
「あんた本当にどんくさいね」
「動きが悪い」
ゆっくりと廊下の奥から巨体が現れた。
「一馬どの、おひさしぶりです」
「雄呂血丸殿、今までどうしていた」
「琴音殿を守る為に仲間のふりをしておりました」
「それは助かる」
「刀もありますぞ」
鬼切りを手渡される。
「今は、鬼山貞一殿が、川から砲撃をしております」
岡山城の西側に百問川が流れている。そこを鉄甲船で遡上して大砲を撃ち込んでいた。
「拙者も、昨夜に知ってどう伝えようか悩んでおりました」
「鬼山貞一殿は、内情を知っているのか」
「あらかたお知らせしていますが、どうもあまり信用されてません」
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