SS 執念第一 #毎週ショートショートnoteの応募用
深夜の山奥でコーンコーンと木を叩く音が響く。
「何の音?」
太郎丸が祖父の横顔を見るが黙って草鞋を編んでいる。
「おい、昨日の夜に山で音がしなかったか?」
ガキ大将の三太が手下の村の子供達を見る。早寝する子供達は音は知らないと答える。太郎丸は聞こえたと言うと三太が山へ案内しろと命令をした。
「方向しか判らないよ?」
「どうせキツネか狸だ」
三太は面白がって山に入る。山には獣道がある。動物が通る道を人間が使える。方向だけで太郎丸は山の中腹を目指すと、大きなスギの木が見えた。