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雑多な怪談の話

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2022年12月の記事一覧

SS 肝試し美人化 #毎週ショートショートnoteの応募用

「こわいよ…」 姉は僕の手を引っ張る。廃墟探検に行こうと誘ったのは姉だ。来年は中学生になる姉は僕からすれば大人に見える。昔から学校の怪談や怖い映画を喜んで見ていた。でも僕は怖がりで無理。 「お化けなんていないわ」 好きな癖に居ないと断言をする。信じていないから平気なのかと思う。近所の廃屋を見ようと強引に連れ出された。 平屋の一軒屋は入るとすぐに何も無いと判る。内側の壁すらない。がらんとした家に踏み込むと背後から声がした。 「ここに来てはダメよ…」 美しい黒髪の女性が居る

SS 運試し擬人化 #毎週ショートショートnoteの応募用

「マル、明日の遠足は晴れかな?」 膝に居る猫は耳をピクピクさせる。明日は晴れだ。子供の頃から家に居るお婆ちゃん猫は、予知をしてくれる。耳が動くと正解、無反応は不正解。マルで運試し擬人化して遊んでいる。私は気軽にマルに運試しを頼んだ。 その日は、教室に入るとクラスメイトが近づく。名前だけは判るが話をしたことがない。 「あなたの事が好きな先輩が居るの」 彼女は仲介役として伝言を頼まれた。陸上部の部長が好きだと言う。県大会にも出る部活だ。 「会うだけなら…」 私よりかわいい娘

SS 十年パンイチ #毎週ショートショートnoteの応募用

「サンタさんは今年も同じプレゼントかな…」 僕は期待をしている。毎年同じでもプレゼントは楽しみ、自然とニコニコ笑う。本当のお父さんとお母さんは居ないけど僕は幸せだ。サンタさんからプレゼントを貰える。 「速く夜にならないかなぁ」 「クリスマスおめでとう」 お姉さんが部屋に入ると僕の為に昼食を用意してくれる。今日は小さなケーキがある。僕は手をパチパチと叩く。 昔は暗い部屋に住んでいた。今は明るい部屋で食事もある。あの頃とは違う。僕はケーキを素手でつかむと、まるごと口にいれ

SS 花魁淵 【ブックエンド&リニューアル&急ブレーキ】三題噺

暗い道を車で飛ばす。俺は逃げたい。リニューアルしたばかりの車は調子が良いのか新品のように走る。 「俺は関係ない、俺のせいじゃない」 彼女は、俺と別れたがっていた。俺はつなぎ止めようと必死だ。いいクルマを買って見せた。中古だがメンテした車に彼女を乗せる。そんな事じゃ何も変わらない。彼女から別れの言葉。哀願して怒って激怒して俺は彼女の首をしめた。彼女の死体を乗せて俺は車を走らせる。 「別れるなんて言うから……」 死体を捨てる場所を探す。そうだ深い淵がある。旧道に入ると江戸

SS 執念第一 #毎週ショートショートnoteの応募用

深夜の山奥でコーンコーンと木を叩く音が響く。 「何の音?」 太郎丸が祖父の横顔を見るが黙って草鞋を編んでいる。 「おい、昨日の夜に山で音がしなかったか?」 ガキ大将の三太が手下の村の子供達を見る。早寝する子供達は音は知らないと答える。太郎丸は聞こえたと言うと三太が山へ案内しろと命令をした。 「方向しか判らないよ?」 「どうせキツネか狸だ」 三太は面白がって山に入る。山には獣道がある。動物が通る道を人間が使える。方向だけで太郎丸は山の中腹を目指すと、大きなスギの木が見えた。

SS クリスマスカラス #毎週ショートショートnoteの応募用

少女は陰鬱な部屋から窓の外を見る。暗い外は何も見えない漆黒の闇がただ広がるばかり。クリスマスには戻る約束の父親は帰らない。今は屋敷の中にじいやとばあやが居るだけで心細い。 「お父様はまだかな…」 きらびやかなクリスマスツリーも不気味に見える。母が死んでからこの家は呪われている。少女は心細さから飼い猫を探す。 「クロー、クロー」 カラス猫で真っ黒のしなやかな体はあたたかい。せめて猫を抱きたいと願うがどこにも居ない。地下室に居るかもしれない?少女は探しに行く。 「ただいま

SS 動かない鬼 #爪毛の挑戦状

「悪い鬼が居るぞ」 父は逃げた。侍達が追いかける。小石を投げつけられる。当たれば痛いが黙って逃げる。それが掟だ。追儺の儀式は大事だ。災いを避けるために必須な行事。自分の家は代々その役割を担う。 鬼の面をつけて赤い着物で逃げる。宮司が太鼓を叩き、巫女の踊りが終わると、『鬼やらい人』が逃げる。逃げる後ろから石つぶてを投げる。普通は当てないのだが、中には当てる侍も居る。散々に嬲られた父親は家に戻る。扶持米も少ない家で周囲から疎まれているが大事なお役目だ。 金が足りないと内職する

SS つまった排水口【胸&月曜日&排水口】三題噺

「あんた、速く仕事に行きなよ」 寝ている俺を妻が蹴飛ばす。尻をさすりながら俺は起き上がる。俺はビルの管理と警備している。結婚するんじゃなかった。子供は居ない。妻は俺の薄給をなじる。離婚の事を切り出すと妻は怒り狂う。自分では働きたく無いと言う。めんどくさい状態だ。 今日は昼勤務で出勤すると苦情が来ていた。 「ここですか?」 排水口を俺は見る。だいたい詰まる場合は掃除していない場合が多い。特に毛がたまる場合がつまりやすい。 ビル管理で俺はトイレの苦情を受ける時もある。業者に頼

SS 「   」おみくじは、白紙だった。 #ストーリーの種

「   」おみくじは、白紙だった。俺は何かのミスと考える。常識だ。 「よし、宝くじが当たりますように」 紙にペンを使って書いてみた。俺はそのまま木に結び付けた。本来は大凶の場合に結び付ける。 「未来が無いなら大凶より悪いからな」 俺は駅前で宝くじを買う。 xxx 予感や予想はある。白紙を引いた時からガチャ運が高まっていると感じていた。予感通りに宝くじは当たる。俺は仕事を辞めた。大金を手にして神社を回る。焦ってはいけない。おみくじを引くために全国の神社を回る。 もちろ

SS 穴の中の君に贈る #毎週ショートショートnoteの応募用

「ねえ、あんたいい加減にして」 妻から怒鳴られる。上司から叱られる。子供から馬鹿にされる。俺の人生は最悪だ。俺は自殺を選ぶ。 俺は樹海へ行く。枝振りが良さそう枝を探していると、穴に落ちた。樹海は溶岩の大地にある。溶岩が冷えると空洞ができる。俺はそこに落ちた。 「いててて」 「おい、大丈夫か?」 上から声が聞こえた。こんな場所に人が?と思うと不思議だ。 「穴の中の君に贈るよ」 縄が落ちてくる。昇ってこいと言う事だ。俺は昇るとそこは豊かな森林と青い空。 「どこだ?」 「こ