SS 中国の怪談 【紅葉鳥】 #シロクマ文芸部
紅葉鳥を手に取ると口いっぱいにほうばる。油で炒めてゴマをちらして食べると絶品だ。男は夢中になって食べている。
男は河南省北西部にある洛陽の街を出て旅している。行商人の彼は街を行き来して稼いでいた。今回は道に迷い山中に家の灯りをみつけた。
「ちょうど夕飯です」
扉を開けて女が顔を出すとやつれているように見える。金を払う約束をして泊めてもらう。
夕飯は食卓の皿に山盛りにされた鳥の足だ。鳥の足が真っ赤にゆであがるので紅葉鳥といわれている。カリカリとしながらも汁気があ