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渦巻き (11/15) 【幸蔵の旅】

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あらすじ:姉を助けるために解毒丸げどくまるを探す

 しずかを浜に一人にするのも心配なので四人で小舟に乗ることにする。

「場所は判るのか? なぜ判るのだ?」

 幸蔵こうぞうは不思議そうに若者に聞くと幽霊島は蜃気楼しんきろうとして見るので本来の場所とは別の所に存在していると教える。

蜃気楼しんきろう?」

 幸蔵こうぞうは自分の知らない世界が多いことに驚きながらも、若者をあまり信用していなかった。小舟はしばらく陸地が見える場所を進みながら目印になるような、大きながけに向かう。浸食しんしょくされたがけは巨大で山のように見えた。

「ここを通ります」

 浸食しんしょくしたがけに穴が開いている、小舟が通れるような穴があり、その中に入ると真っ暗だ。もう少しで外に出られる瞬間に用心していたが、しずかの悲鳴が聞こえた。

「この娘のキモは美味うまそうじゃ」

 小舟が穴から出ると同時に、鬼がしずかを抱えて跳躍ちょうやくした。幸蔵こうぞうは負けじと空を飛ぼうとして羽を出すが、小舟がゆらゆらと揺れるといきなり転覆てんぷくしてしまう。

「助けてくんろ!」

 山育ちの幸蔵は川なら経験があるが、海の荒さは別格だ。見ると前方に大きなうずが見える。小舟がバラバラになりながら大渦おおうずに吸い込まれた。天然の罠だ。

 もがきならが頭上で仙人の声が聞こえるが、幸蔵こうぞうはそのままうずの中に巻き込まれてしまう。

#昔話
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#創作民話
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