見出し画像

SS 木の実このまま税理士 #毎週ショートショートnoteの応募用

「マヌルさん、こんにちは」
「コトミさん、いらっしゃい」

 珍しい石を加工して売っているマヌル猫の店に、少女が訪れた。

「実は税金の話なんです……」

 マヌルの町も税金はある、住んでいるだけで住民税が取られる。水を使えば井戸税、なんでも税金だ。

「そうか。オオカミの子供を拾ったから大変だね」

 コトミは洞窟で古代のオオカミ男の子供を助けている。子供にすら税金はかかる。

「どうすれば払えるのか判らなくて……」
「食事はどうしているんだい?」
「ヒマラヤン婦人の下宿を掃除してます」
「食事を出してもらってるんだね」
「……はい」

 迷子のコトミを拾ったのはヒマラヤン猫のヒマラヤン婦人だ。

「ヒマラヤン婦人が肩代わりしてくれるよ」
「なんか悪くて……」

 やさしいコトミは顔をふせる。

「なら、税理士を紹介しよう」
「ありがとうございます」

 コトミは嬉しそうにマヌル猫の顔を見つめる!

xxx

「おい、マヌル」
「なんだ、ドングリキツツキか」
「税金がドングリってなんだよ!」
「お前はドングリ好きだろ」

 木の実このまま税理士のドングリキツツキが、プンプンしている。

「そら好きだけど、あんなにドングリもらったら還付金を出さないと」
「コトミに払ってやってくれ」

 ドングリを山盛り納付したコトミは、還付金のお年玉で嬉しそう。

#毎週ショートショートnote
#マヌル猫のマヌルさん
#童話



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?