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蜃気楼 (10/15) 【幸蔵の旅】

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あらすじ:姉を助けるために解毒丸げどくまるを探す

 しずかの話では、西国の洞窟に鬼が居て解毒丸げどくまるを持っている、もし欲しければ鬼を倒すしかない。

 幸蔵こうぞうは、天狗の力を得て羽もあるが遠出は難しい。仙人は、もし解毒丸げどくまるがあるならば村人を救えるので、助けてくれると言う。

「わしの力では、鬼の力を防ぐくらいしかできん、退治はお前の力次第じゃ」

 仙人は京の陰陽師おんみょうじから頼まれて、東国の薬を待っていた。幸蔵こうぞうの姉がとついだ庄屋しょうやの家で受け取る予定だったが、村人に尸鬼しきが取りいてしまった。

「調べてみると大事おおごとになってたようじゃな」

 土蜘蛛やら古来の大妖怪がうごめいている、国の危機を、京に知らせねばならない。もし半妖になった姉を助けられる薬があるならば、村人も助けられる。仙人はその薬を欲しがった。

 早速、仙人と一緒に西国へ向かう。仙人が乗っている雲は特殊なのか人が上に乗っても落ちない。白色に輝く雲は、鶴駕かくがで、元は鶴だ。今は雲の形で三人を乗せて飛んでいく。和泉国いずみのくに(今の鳥取)まで運んでもらう。近くの浜辺に降りることにした。

 浜につくと島がどこにあるか、村人に聞いてみる。

「幽霊島か? たまに見える事があるぞ」

 鬼が住んでいると言われるが、漁師の証言もまちまちで、本当にあるのか村人からくまなく聞いたが判らない。

「島に案内しましょう」

 若い男が声をかけてきた。彼は小舟でいけると断言した。

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