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谷崎潤一郎「魔術師」 あらすじ&感想

谷崎潤一郎「魔術師」の、あらすじ&感想です。
ネタバレなしで、「魔術師」の魅力を紹介していきます。

▲ 私が読んだのは、こちらの「魔術師」
 谷崎潤一郎×イラストレーター・しきみが、コラボレーションした1冊
 

あらすじ

ある初夏のこと、男と女、恋人同士の2人は『公園に行こう』と話をしていた。その公園には、今話題になっている「魔術師」がいるのだ。

「魔術師」は、世にも不思議な術を使う。人々は、その術の一片に触れたいと望み、日々「魔術師」の元を、訪れているのだという。

「魔術師」に興味を持ち、その舞台を見に行こうと決めた2人。
訪れた先で、2人は「魔術師」の不思議な術に魅せられてーーー。

感想

久しぶりに、純文学というジャンルの、美しさに触れました。
昔の作品なので、難しい単語が多く使われています。読む際には辞書が必要でしたが、そのおかげで、語彙力が上がりました。短編ではありますが、読み応えのある作品です。

ストーリーが、というよりも、作品全体が幻想的な雰囲気をもっています。おそらく、しきみさんのイラストも影響しているのでしょう。
最初から最後まで途切れることなく、幻想的・不可思議な世界が続いているので、気がつけば私も「魔術師」に魅せられていました。

この作品の中心に鎮座するのは、タイトルの通り「魔術師」で、登場する他のキャラクターたちは「魔術師」の引き立て役です。
「魔術師」の使う、不思議な術をより魅力的に見せるための存在。恋人同士の2人も、途中まではそうでした。

しかしラストでは、その2人にスポットライトが当てられます。
ラストで描かれる2人の姿は、作中のどの場面よりも、強く印象に残りました。ハッピーエンドかどうかは、意見が分かれるでしょうが、悲しい結末ではないと私は思います。

ある意味、究極的な愛の形を、2人は完成させたのだと感じました。

読み終わって考えたのは、女は男を試そうとして、しっぺ返しを食らったのかなということ。女の一途さが際立ちますが、それが悪い方に出てしまったたのでしょう。女の想像以上に「魔術師」という存在が、イレギュラーだったのだとも思います。
また、男の欲望に忠実なところが、よく表現されていると感じました。

オススメしたい人

✔ 谷崎潤一郎の作品が好きな人
✔ 幻想的な世界観に浸りたい人
✔ 語彙力を上げたい人
✔ 読み応えのある短編小説を探している人

作中で「魔術師」は、次から次へと、不思議な術を使います。
どんな術を「魔術師」は使うのか、恋人同士の2人が魅せられた「魔術師」の術とは、一体どんなものなのか。

ぜひ、あなたの目で確かめてください。

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