寒い朝に読んでくれませんか?
やっと秋らしい風を感じるようになってきた。朝晩の寒さだけでいうなら、冬もすぐやってきそうな気配。寒さは苦手だけど、寒いのもいいかも、と思い出してしまう出来事がある。
それは2年前の冬の朝。息子を幼稚園に送り、私は職場に向かうという、いつもの出発前の時間。身支度をしながら、頭の中では仕事のスケジュールを考え、息子がもう出られる状態なのか目で確認し、心の中では「洗濯物を干しばかりだから指先が冷たい」って思い...そんなことが同時進行していた。
息子は、なんだかうちのおじいちゃんみたいな格好で、ストーブの前で暖をとっていた。
時計に目をやるともう出発の時間。でも、ほんの5秒でいいから手を温めたいと思い、息子の横にならんだ。そして、冬のあいさつみたいな「寒いね」っていう言葉を、そのときも口にしていた。もし息子からの返事がなかったら、独り言みたいに消えてく言葉だったと思う。
「寒いね。僕もいっしょだよ。」
大げさだけど、思わず息子の顔を見てしまった。
シンプルな言葉がならんでるだけだったと思う。
冬の朝になじんでるくらいの返事だったと思う。
こどもらしいあどけない声だったと思う。
寒さをはんぶんこしてくれてるみたいに感じた。体温も部屋の温度も上がったような錯覚がした。そして、バタバタした私の心を落ち着かせてくれるような、優しい相づちと共感も伴っていた。
冬の朝の寒さを溶かしてしまうくらい言霊のパンチを感じたのだけれど、やっぱり、ただの親バカかぁ...
追伸⁑きっとキミは、こんな出来事忘れていくだろうから、母はこっそりnoteに記録しとくね。キミの成長も、この時の私の気持ちも、冬の朝も、丸ごと覚えていたいから。
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