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Writingエッセイ01) Essay Writingの世界

◆Essay Writingの世界

英語学習の世界で「4技能」化が叫ばれるようになって久しい。これまでは情報をインプットするReading・Listeningの比重が大きかったなか、自分から発信していくアウトプット型のWriting・Speakingのスキルも高めていこうというわけだ。(なお、この4技能は英語を使用する場面を上手く4つに切り分けた概念だが、これらの基盤として、一定の語彙や文法に関する力が前提として必要となる。)

 

このうちWritingは、従来の“受験英語”の世界では、日本語を英語に変換する「和文英訳」や、数十語といった短めの分量で自分の意見を述べる「自由英作文」が主流であった。しかし最近では、これよりも長いまとまりで話を展開する能力が求められる場面が増えてきた。例を挙げると、英検®2級(目安80-100語)・準1級(120-150語)・1級(200-240語)をはじめ、IELTS®では250語以上、TOEFL iBT®では300語以上(※ただし2023/7から変更)が1つの目安となっている。これらは、今までの「自由英作文」とは性格が異なるので『エッセイ』と呼ぶことにする。実際のところ、エッセイと呼ぶにしては分量的に短い印象だが、他に良い呼び方が見当たらないので、ここではこの呼称を用いよう。

 

これらエッセイでは、「和文英訳」や「短めの自由英作文」とは異なり、多くの場合で自分自身の意見を示すことが求められる。ここが第一の関門で、初めのうちは「別に書きたいことがない・思いつかない」という声がよく聞かれる。もちろんテストでは英語力を試すわけだから、内容面での巧拙は評価に影響しなそうなものだが、実際にはそうでもない。たとえば、お題に対して未熟な内容しか思いつかないと、いくら高い語彙力があってもそれを発揮することができない。極端な話、「ハンバーガーについて論ぜよ」と言われて(そんな問題は見たことがないが、あくまで無茶な例として)、「おいしい」だけが思いつく内容ならdeliciousぐらいしか書けないかもしれない。一方、ファストフードの健康面への影響や、チェーン店の社会的な意義、国ごとの文化…等にまで考えが及べば、これまでに蓄積してきた語彙を遺憾なく発揮できるだろう。これは見方を変えると、Writingの学習は、それがそのまま知識や視野を広げるチャンスにもなることを意味する。Readingでも幅広い背景知識があれば多様な話題に対応できるようになるのと同じで、Writingにおいても、それが言語、言葉である以上はそこに伝えたい中身があるはずで、それと切り離してエッセイを書くことはできない。これは、「面倒くさい」ではなくて「発信力を高める機会になる」とできるだけポジティブに捉えたいところだ。

 

他方で、あくまで英語力を試すテストでは、いくら内容が感動的であったとしても、英語の運用力が不足していれば評価されない。(実際には、深みのある中身であればそれを表現する英語力も高いものが求められるし、逆に英語力が高ければ中身の方も厚みが出やすいといったわけで、この両者は相関することが多いだろう。)つまり、英語でエッセイを書くとき、我々は伝えたい中身(これをWHATと呼ぼう)を展開しながら、それを、英語の表現力(こちらはHOW)をアピールしながら行うことになる。ここで“アピール”という表現を用いたのは、TOEFL®などの英語の試験・テストを念頭に置いているからだ。テストである以上は評価基準があり、それに沿って採点がなされる。つまり、どれだけ受験者が英語に堪能であっても、それを限られたスペースでアピールできない限りは、読み手としては評価のしようがない(フィギュアスケートのような“採点競技”を想像すると分かりやすいかもしれない)。そういう意味では、テストに向けたWritingの練習というのは、少しゲームのような側面もある(もちろん、ただ点数をもらうためだけの、いわゆる小手先のテクニックだけを身につけようとしても本末転倒であり実力が伴っていかないので、そこの区別はする必要がある)。

   

   

〔コラム〕和文英訳

こう書くと、和文英訳といった問題には意味がないのかと感じるかもしれないが、そんなことは決してない。エッセイでは自由に自論を展開できるといっても、そのために使う英語の「ストック」がどうしても必要になる。つまり、基本的な日本語の文を英語に変換できるだけの実力がないと、そもそも英文を書きようがない。ただし和文英訳といっても種類があって、たとえば「温故知新の精神を胸に頑張りますのでよろしく」というような、直訳するだけでは太刀打ちできないような和文を英訳せよという問題もある(大学入試に多い)。一方、エッセイを書くにあたっては、ひねりのあるこうした表現よりもむしろ、直訳が可能な、素直な和文を英訳する力の方をまずは磨いておきたい。例を挙げれば、「今日多くの人々がインターネットを使います」とか、「子どもをもつ親たちは特にこうした問題に興味をもっています」とか、そういう日本語を難なく英語へと言い換えられるということである。こうした力が基礎となって、次第に自分なりの意見をエッセイで提示することができるようになっていく。要は「手持ちのカードを増やそう」ということで、知っている英語表現が多いほど、様々な話題に対応できるようになっていく。素直な和文英訳を軽視しないようにしたい。

  

  

〔コラム〕背景知識

英語のテストは、英語力を試すテストである。つまり、知識の量を試すテストでもなければ、独自の視点を競うテストでもない。…はずなのだが、現実には、トピックに関する背景知識は多いほど有利だし(書くべき内容を短時間に多く思いつくことができる)、それと連動してアピールできる語彙の幅も変わってくる。そこで、日ごろから色んなニュースに触れたり、あるいは読書したりといった活動は、否応無くそれがそのままWritingの力を強化してくれることになる。そこまでする時間があまり確保できない場合でも、多くのエッセイ(解答例など)に触れるなかで、知識や視点は確実に増えていくだろう。こうした視野を有していれば、Readingで長文を読む際の意識も少しずつ変わってくる。Writingで使えそうな話題や表現があれば頭に入れておく、そのために固有名詞はスペリングまで覚えておく(例 YouTube, Steve Jobs, Sydney 等々)ぐらいの姿勢でいたい。


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