『資金300万円で農FIRE』読了。そのうえで僕なりの農FIREの現実解を考えてみた。
おはようございます、ひらっちです。ご無沙汰している間に、2023年も残すところ2日になりました。
ライターとしての対外的な業務は29日で終了。年明け締切の仕事をたくさん抱えているので、大晦日&元旦も執筆作業に追われそうですが、ひとまず一区切りとったところでしょうかね。
今日は久しぶりにnoteの原稿を書いてみました。年内はこれを含めて2~3本アップしたいなと思います。よろしければ覗いてみてくださいね(^^♪
<いつものように簡単な自己紹介です>
僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。
このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。
現在、『マイナビ農業』で不定期連載中。最近なこんな記事を書いています。農業に興味をお持ちの方はぜひご覧下さい。
■今回も冒頭は「本」の話題から
あらためまして、ひらっちです。今日は「読書」「FIRE」「就農」あたりをテーマに書いてみようかなと思います。
もう1カ月以上前になりますが、『超ミニマル・ライフ』という本を読んだ感想と、それを受けての僕の考えを記事にしたところ、それなりの数の方に読んでいただくことができました。皆さんありがとうございます!
普段からたくさん本を読んでいるものの、このnoteではあんまり本自体を真正面から取り上げる記事は書いていませんから、物珍しさが功を奏したのでしょうか? 過去にはこんなマガジンを立ち上げてみたものの、面倒で全然続いていませんし(笑)
あと、X(旧Twitter)で著者の方からリポストいただいたのもPV数が増えた要因の一つかもしませんね。そこで、前回の記事で味を占めたひらっちは、タイトルの通り「また書評を書いてみよう❕」と思い立ったわけです(笑)
さて今回はどんな本を取り上げようかなーと考えていたところ、「そういえばおあつらえ向きの一冊があった!」と思い出したのがこちらになります。
水上篤さんがお書きになった『資金300万円で農FIRE』です。ちなみに地元の書店でしばらく前に入手しましたが、Amazonのレビューを見てみると高評価を得ているようですね。
ついに「農FIRE」という、僕の思考とド直球に同じ方向性の著作が現れました(笑)。まあ、そこは別にどーでもいいんですけど「これは手に取らないわけにはいかない!」と早速購入して中身を確かめてみたわけです。
で、読んでみた感想ですが……。
「え?これってFIREの話?」というのが正直な感想でした(笑)
著者の方、ごめんなさーい! 農業を始めるうえで役立つ情報が色々と掲載されているし、これまでのライフスタイルを見直すきっかけになる本だと思うんですが、タイトルとの乖離がちょっと大きいかな~と。
サイドFIREといっても『資金300万円で農FIRE』はさすがに言いすぎですよね? もしかしたら「編集部のゴリ押しでタイトルが決まっちゃったのかな~」なんて、大人の僕は邪推してしまったりします。
自叙伝的な色彩が強いものの、なかなか面白い内容なので、農業を始めたい方、移住を検討されている方は手に取って損はないと思う一方、FIREの新形態としての「農FIRE」に興味を持たれた人にとっては、ちょっと消化不良な内容だと思います。
そこで今回は、本のタイトルを受けた、僕なりの「農FIREの現実解」を考えてみたいと思います。まあ、お遊びのシミュレーションみたいなものなので、ご興味のある方はエンタメ気分で気軽に楽しんでみてくださいね(^^♪
■FIRE達成の要諦は「生活費の切り詰め」
そもそも「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、「経済的な自立と早期リタイア」を目指す新たなライフスタイルのこと。要するに「クソつまんねー仕事なんて早々に辞めて、働かずに悠々自適に暮らしたい!」という願望を叶えた人のことを指します(笑)。
この「純粋な意味でのFIRE」を達成するためには、最低5000万円くらいの金融資産が必要です。そう、最低です。これくらいのお金があれば、金融資産からのリターンだけで「なんとか人として最低限の暮らしができる」というわけですね。
でも、これだけのお金を貯めても最低限の暮らしでは魅力が薄いし、そもそも「好きな仕事であれば続けてもいいよね」という人は少なくないはず。そこで、最近では「サイドFIRE」、金融資産からのリターンを得つつ、同時に仕事からの稼ぎも得るというスタイルが、「≒FIRE」として語られるようになってきています。
実は、FIREを達成するための最も重要なことは、「お金を貯めた金額」ではなく、もっと別のところにあります。お気づきの方も多いですよね?
そうです。
「いかに生活費を切り詰めるか」です。
巨額の資産を持たない人がコツコツとFIREを目指すうえで、絶対に避けて通れないのが「家計管理」。日々の生活費の多寡によって前提となる条件が大きく異なってくるからです。
毎年の生活費が1000万円の人と、その10分の1の100万円の人がいたとしたら、FIREを実現しやすいのは後者だというのは容易に想像が付きますよね?
つまり、コツコツと資産を増やす一方で、満足度を維持しながらいかに生活費を切り詰めるかが、FIRE達成の最大のポイントというわけです。
■「食」のコストを「自給自足」で豊かに補う
さて、「生活費の切り詰めが大事」ということは、よーくご理解いただけたと思います。では、どのようにして満足を下げずに生活費を切り詰めていけばいいのでしょうか。
ここで、僕が以前からお伝えしている「農的FIRE」の概念が効果を発揮してきます。「農的FIRE」とは、単純に言うと「金融資産からのリターン」「自給自足」「好きな仕事」の3つを掛け合わせた「サイドFIRE」のことです。
人間が暮らしていくためには「衣」「食」「住」の3つが必要です。
まず「衣」については、そこまでお金がかからないことが分かります。もちろん見栄の割合によって金額に差が出てきますが、安くて長く着られる服は巷にたくさんありますし、古着を選択するという方法もあります。
どうですか? 皆さんも日々の暮らしは古着で十分じゃないですか? 新品が欲しければ丈夫なユニクロの服を10年くらい着ればいい。僕はずっとこのスタイルですが、ファッションに興味がないので全然平気です(笑)
「住」もそうですね。都会では住宅価格が上昇の一途を辿っていますが、ひとたび田舎に目をやれば、借り手がいなくて困っている物件は山のようにある。格安の物件をエサにして移住者を募る自治体もあったりします。限りなくタダに近い金額で住むことは意外に簡単です。
どのみち農業を始めるのであれば、東京などの都会では無理です。畑が限られていますから。田舎に移住するということは「家余りの地区」に移ることとほぼ同義になるので、最大のネックである住居費は月1~2万円程度に十分圧縮可能です。
地方の市営住宅、県営住宅などに暮らせば、実質タダのような物件はごろごろ転がっています。ちなみに僕も以前は月2万円前後の市営住宅に住んでいました。
一番のネックになるのが「食」だと思います。日々消費されるものだし、多くの食品は保存期間に限りがある。円安が常態化しつつある中、健康に寄与する「いい食品」を手に入れるコストはどんどん高まっています。
つまり、生活満足度に対する「食」の貢献度が「衣」「住」よりも大きい方にとって、この「食」のコストをいかに低減させるかが、理想的なFIRE達成のカギになるわけですね。
そこで活きてくるのが「自給自足」です。規格外品を廃棄したり、見た目を重視したり、中抜き業者に搾取されたり、税金が取られたりするといったことないため、おそらく皆さんが思っている以上に楽な労働で食費を賄えます。
過去にはこんな記事も書いているので、気になる方はよろしければぜひ読んでみてくださいね(^^♪
ちなみにうちの妻は「無限農」という独自の農法を研究していますが、ほぼほったらかしの状態で、かなりの種類の野菜や果物を食べきれないくらい作っています。楽しいし、運動にもなるし、最高ですね(^^♪
■新NISAが「農的FIRE」達成のエンジンに
それでも一定の現金は必要です。それを補うために用いるのが、本来のFIRE的な要素、「金融資産からのリターン」と「好きな仕事」です。
上記の「ミニマムな衣・住」と「自給自足の食」を実現できれば、せいぜい生活費は月10万円くらいでしょうか。
このお金をすべて金融資産のリターンで賄う場合、FIREの基本的な定義である「4%ルール」で試算すると、年間120万円なので3000万円あれば大丈夫。「好きな仕事」で月5万円(年間60万円)稼げるのであれば、1500万円で「最もミニマムな農的FIRE」の達成です。
来年から始まる新NISAの枠が1800万円なので、月10万円をコツコツと積み立てていけば、15年後には1800万円の金融資産が出来上がります。というか、その間にも普通に考えればどんどんと資産が増えてきます。
金融庁のサイトでシミュレーションしたところ、15年間の積み立ての結果、トータル2460万円まで増えるという結果が出ました。固めの年率4%で試算しているので上振れする可能性も十分あります。
無農薬野菜を浴びるように食べながらゆったり暮らせる生活を、新NISAの積み立てで手に入れる。これが僕なりの「農FIRE」達成の現実解ですかね。
■就農者向けの給付金を補助輪に使う
「ひらっちさーん、毎月10万円ためるなんて、絶対無理だよー」
たった今、そんな声が聞こえてきた気がしましたので(笑)、そんな人のために、上記で語ってきたベースの部分に、うまく各種制度を組み合わせる案も提示しておきますね(^^♪
あらかじめ断っておきますが、あくまで思考実験的な書きなぐりなので、正確な情報についてはご自身で色々と調べてみてください。
まず「好きな仕事≒農業」なのであれば、ぜひ「自給自足」+「農業」という組み合わせを考えてみてください。
なぜか? それは「新規就農者向けの給付金がたくさんあるから」です。
例えば、就農に向けた研修の2年間と、就農を開始してからの3年間、合計5年間にわたって年150万円が給付される制度が用意されています。さらに、就農時の初期投資額のうち1000万円を国・自治体が援助してくれる仕組みもあります。詳しくは農水省のサイトをご覧ください。
単純計算で、総額1750万円です。一般的な失業給付などとは違って「ほかに収入がある人はダメだよ!」という制度ではないため、極端な話、別の仕事をしていてもこの給付を受けることができます。もちろん所得制限や時間などの制約はありますけどね。以下、農水省の資料から引用しておきます。
しかも、この給付は夫婦の場合は1.5人分となります。年間225万円あれば、田舎ならおそらくこれだけで生活が成り立つ水準です。そもそもミニマムな暮らしをしている人なら貯金までできちゃったりして(笑)
「仕事を辞める→失業給付→新規就農研修→就農」といったリレーを考えれば、お金の面ではだいぶやりくりがしやすいはずです。
さらにここからはあくまで妄想ですが、仮に「夫婦ではないカップル」の状態であれば、それぞれ1人分ずつ、年間300万円を給付してもらうということが可能になるかもしれません。(くれぐれも事前にちゃんと確認してくださいね!責任は持てないので)
これが成立する場合、将来的に農業がしたいカップルが田舎に移住し、2人で総額3500万円を手にし、その後結婚。田舎の格安住宅に住みながら、リモートで都会の仕事をしつつ、農業でも収入を得て、そこまであくせく働くことなく悠々自適な生活を送る…みたいなことができちゃいます。
保育園にも空きがあって快適に育児ができるし、子育て支援の拡充で、第3子以降は高校卒業まで月3万円が支給されます。今後の政策で変更される余地は十分あるものの、現時点では18年間でざっくり650万円ぐらいが手に入る計算です。
第3子の児童手当に一切手を付けず、すべてを新NISAに回し、18年間運用を続けたとすると、年率4%で950万円くらいになります。もちろん大学は給付型奨学金を狙いますが、それが無理だとしても十分学費を賄えそうです。
第1子・2子についても今後は高校まで児童手当が支給されるようになり、大学進学にこだわらないのであれば、児童手当+積み立て運用で教育費のかなりの割合を賄うことができそうです。
■農業は過度な売上を求めず、ほどほどに
就農のポイントは、過度にビジネスを大きくしないこと。役人は「大規模化」「規模拡大」と言ってくると思いますが、安易にその手の話に乗らないでください。
農業の世界って「成功者の後付け自叙伝」を読むとうまくいきそうに思えますが、そんな簡単に儲かる業種ではありません。これだけ農家が減っているわけですから、当たり前ですよね?
借金でレバレッジをかけて…みたいな人もいますが、僕はお勧めしません。あくまで借金は相応のリターンが安定的に見込める場合に取るべき手法であり、多くの農業はそれが見込めないからです。過度な借り入れは首を絞める元ですのでくれぐれも注意してくださいね。
売上はミニマムにして、利益にこだわる。これも僕がnoteでも再三お伝えしてきたことですよね。規模の経済性を働かせるのは大企業にとってはいい方法ですが、個人・零細業者が絶対にやっていはいけない「悪手」です。
小さくはじめて(場合によってはうまく補助金も絡めつつ)、利益率が高いビジネスを目指す。そうすれば、時間的にも余剰が生まれ、他の利益率が高いビジネスとの二刀流、三刀流ができるようになっていきます。みなさん、ポイントは「時間単価」と「利益率」ですよ。
もしうまくいかなければ、生活保護という手もあります。借家であれば十分要件を満たしますので、ぜひ何も手に入れないでください(笑)。セーフティネットも保険として上手く活用しながらやれば、不安なく農業に取り組むことができます。単純に「バイトをする」という方法だってアリです。
農業を安定的に続けるという点で大きな武器になりそうなのが「収入保険」です。公的な保険で、これを活用すれば予想外の天災などが起きても無収入になることはありません。
ちょっと保険に明るい人からすると「なんじゃ?このゆるゆるの保険は(笑)」と笑ってしまいそうな内容ですが、民間保険とは大きく異なり、儲けを考えず農家に得してもらうことが前提の「まるで補助金みたいな保険」なので、ぜひうまく活用してほしいですね!
■まとめ
……いかんいかん!気が付いたら6000文字を超えていました(笑)
というわけで、書き始めてるといつまでも書いていそうなので、今日のところはこの辺で切り上げようと思います。お金のことを勉強すればするほど、実は「そんなにあくせく働かず、楽しい生活をすることは意外に簡単」ということが見えてくるはずです。
ポイントはずばり「人と同じことはしないこと」。ちょっと極論のように思えますが、みんなが群がっているところには、本当のお得な情報は眠っていません。需要がたくさんあるところは、お得にしなくてもお客がいるわけですからね。
ぜひ2024年は、もっとたくさんの人たちに「人が目を向けていないお得な情報」に着目してもらい、より幸せな人生を手にしてもらえたらな~と願っています(^^♪
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