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あの人が、本気でビジネスに目覚めたら?【ポケットモンスター/サトシ編】

■合同会社GET(代表・サトシ)が、独自の発電技術で躍進

 東日本大震災を契機に盛り上がりを見せた再生可能エネルギーへの転換。電力の固定価格買取制度(FIT)に後押しされる形で、全国各地に大規模な太陽光発電所が建設されたものの、その後、FITの買取価格が下降するにつれて徐々に下火となりつつある。

 そんな中、再生可能エネルギー分野で成長を続けているのが合同会社GET(代表・サトシ)だ。独自の技術で電力を生み出す画期的なビジネスモデルで、世界が注目する日本発のスタートアップ企業である。

 同社を率いるサトシCEOは、幼少時代から世界中を旅する冒険家として注目を集めていた。野生動物の研究で著名なオーキド博士から教えを受けたサトシ少年は、自ら希少な生物たちを探し集めて格闘させるトレーナーとして活躍。第一線を退いた後、本格的に起業家の道に進むことを決意する。

 サトシ氏が目を付けたのが、幼少時代から長年飼育を続け、その生態を知り尽くした「ピカチュウ」という生き物だ。

 ピカチュウとは、ネズミのような愛くるしい姿をしており、大量の電気を生み出す特徴がある。そこでサトシ氏は、野生のピカチュウを大量に捕獲し、その電気を活用する発電ビジネスを発案。オーキド博士をCTOに招いて研究を重ね、2020年に実用化へと漕ぎ着けた。

 現在は、電力自由化を追い風にシェアを伸ばし、日本国内の消費電力全体のおよそ10分の1を供給できるまでに発電量を増やしている。

■高圧送電設備が必要なく、手軽に「地産地消」できるのが強み

 合同会社GETの強みは、環境負荷を極力抑えながら、低コストで電力を供給できる点だ。ピカチュウが電力を生み出すのに必要なのはエサ代のみで、石油などの化石燃料に頼らなくてもいい。事故などのリスクがなく安全性が高いのも大きなメリットだ。

 また、既存の大規模発電所とは違い、「電力の地産地消」がしやすい点も追い風になりそうだ。高圧の送電線を張り巡らす必要がないため、電力インフラが整備されていない途上国でも容易に導入できる。今後は「世界的に普及していく可能性を秘めている」とみる専門家も多い。

 懸念材料があるとすれば、ピカチュウの乱獲の恐れだろうか。今後もさらなる捕獲が続けば、動物愛護団体などから反対の声が上がる恐れもある。しかし、同社ではすでに、携帯ゲーム機やスマートフォン向けアプリを活用し、世界中のリモート社員の手でピカチュウを孵化・飼育する仕組みを構築。際限なく乱獲が進む可能性は少ないだろう。

 ただ、ピカチュウのエサ問題は深刻になるかもしれない。大好物のケチャップが不足すれば、予期せぬ大規模停電が発生する可能性もある。「スーパーの店頭からトマトが消えるのでは?」といった懸念を口にする専門家もいる。

 サトシCEOというカリスマ経営者ありきの属人的なビジネスだけに、後継者問題も気がかりだ。もしかしたら、水面下ではすでに次期トップを狙い、世界中に散らばるリモート社員同士の熾烈なバトルが繰り広げられているのかもしれない。

(文・空想ビジネスオンライン 編集長/もっぴ)

※この記事はフィクションです。


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