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安くて速くて完璧を他人に求める人、多くない?

Webライターという仕事をしていると、文字単価がいくらだ、1時間で何文字書けるなどといった話になります。
これほどまでに「Time is money」という言葉を実感する仕事も珍しいのではと感じる日々です。
そんな日々のなかで、仕事において他人の時間を奪うことに罪悪感のない人がずいぶん多いな……と感じることがあります。


Time is moneyな仕事

どの仕事も「Time is money」な面はあるものですが、Webライターという仕事をやっているとそれを顕著に感じる瞬間があります。

Webライターの報酬は多くの場合、文字単価で提示されます。そのため、一般的にイメージしやすいように時給で考えるならば、速くたくさん書ける人は時給が上がるということになります。
ただし、「1時間のなかでたくさんの文字数が書ける=高収入」という式は必ずしも成り立たちません。
月に、文字単価をいくらで、何文字の記事を何本書くか、というのが最終的に収入を左右します。
基本的にはWebライターの収入の考え方はこのような感じになっています。
そのため、「自分の書く速度」と合わせて、「文字単価がいくらか」をどうしても気にしてしまいます。
まさに「Time is money」そのものという感じです。

Webライターの文字単価って?

Webライターの仕事を探す際に、クラウドソーシングサイトを利用する方は多くいるでしょう。そのため、クラウドソーシングサイトを見ていただくと、大体の相場が分かります。

現在は1文字0.5~2円くらいが一般的な記事の相場といったところではないでしょうか。もちろん、もっと高単価の仕事も存在します。ものによっては1文字20~30円というものもありますが、医療系などの専門的なもので、医師免許を持っているなど、高単価が支払われるだけの理由がある場合に限られます。

高単価の記事がある一方で、初心者歓迎という謳い文句が書かれている記事に至っては、0.1円などというびっくり価格の仕事も存在します。なかには30本で1万円という求人の出し方がされている場合もあるでしょう。この場合、1本の記事の文字数によっては1文字0.1円を割ることもあります。ライター求人に応募する際には、きっちりと電卓を叩く必要があります。

1時間で何文字書ける?

1時間で何文字書けるかというのも、Webライターとしては収入に関わる重要なポイントの一つです。ただ、これに関しては、「ものによる」このひと言につきます。とはいえ、ざっくりとでも提示しないと話が始まりません。

私の場合は、1時間に大体1,000~2,000文字書けるかな、といった感じです。これが多いのか少ないのかは不明……。単純に文字を書くだけならもっと書ける気もするのですが、Webライターは調べる作業もあるため、やはり「ものによる」となるのです。

この、1時間に1,000~2,000文字程度という分量をベースに考えると、1日8時間みっちり作業をしたとして、単純に8,000~16,000文字書けることになります。しかし、どういうわけかあまり現実的な文字数じゃないかなという気がしてしまいます。理由は前述のとおり文字を書くだけでなく「調べる作業がある」からです。8時間の全てを文章作成に使えるわけではありません。

私の理想とする1日の作業量は、質を担保するなら2,000~3,000文字。どんなに多くても5,000~8,000文字かなという感覚です。8,000文字までいくとさすがに怪しいのですが、リサーチが信じられないくらいスムーズで私の集中力が神懸かっている日だとして、これが限界かな……。

単価が安ければ質よりも量になるのが人情

文字単価が低いと、それだけたくさん書かないとちゃんとした収入にはなりません。そこで何が起こるかというと、必然的に仕事が粗くなります。それは、文字単価でなく場合でももちろん同じです。

1本〇〇円の落とし穴

ある仕事で、文字単価ではなく、1本いくらというという形でのものもありました。これは、クーポンの説明文作成の仕事で、0から作成する新規で500円、使い回しの記事を修正する流用で150円の金額提示でした。普通のコラム記事作成とは違うので、同じように比べるのも難しいのですが、文字数は新規でざっと1,500~2,000文字。流用もそう文字数に違いはありません。

これで文字単価を計算してみます。すると、単純計算で新規が1文字0.25~0.3円程度、流用が0.15円程度となります。ここで思い出して欲しいのが、前述した1時間に書ける文字数です。私の場合だと、1,000~2,000文字程度なので、時給にすると単純計算で250~300円ということになってしまいます。実際は、ある程度情報をもらえていれば1時間に2本程度作業が進むので、時給1,000円程度とい感じです。ただし、十分な情報がなく検索時間を取られてしまうと、時給250円の世界へレッツゴー……。

時給250円の仕事は妥当?

さあ、この単価で完璧な仕上がりを求めるのは妥当でしょうか?
どれだけ多くの作業をこなせるかが収入を左右するので、少なくとも私は質より量をこなすことを選択してしまいます。情報を拾う必要があったとしてもちゃんと調べるわけがありません。もちろん、チェックも甘くなります。その結果、誤字などのケアレスミスも増えることが考えられます。
これは一例に過ぎず、世の中には低単価の仕事がかなり溢れており、作業量を減らすために作られたであろう、コピーコンテンツが大量に流れていることも納得です。

安い単価でちゃんとした収入にするためには、質よりも量となるのが当たり前です。仕事としてそれは正しいのかと言われれば違うのかもしれませんが、それ以前に人を雇うのにその金額は正しいのかという話でもあります。低単価で高品質を求めすぎるのはお互いに無理があるのではないでしょうか。

安く人を使いたい気持ちも分かるけど……。

世の中には人件費が最もコストがかかるなんて話があります。それこそ、人件費削減にリストラなんてこともあるでしょう。
確かに、人を雇うには多くの費用がかかります。社員として雇うなら給料の他に保険料なども支払うことになるため、なるべくならそのコストを抑えたいと考えるのは企業として当たり前でしょう。

お金になるかどうか確証がない記事を出す場合、コストを抑えるために外部ライターに業務委託で記事を書いてもらうのも一つの方法です。この場合、なるべく単価を下げたいのが企業の考えです。しかし、前述のとおり極限まで単価を下げた記事は、良い記事といえるものになるでしょうか。それこそ、何も生まない「お金にならない記事」になってしまうと思いませんか?

人件費はコストである一方、投資と捉えることもできるはずです。
ライターが書いた記事に限らず、質の良い商品のほうが効果的でしょう。

「安かろう悪かろう」という言葉もあるくらいです。
人の時間を買いたたこうとすれば、質の悪い商品になってしまっても仕方の無いことだと私は考えています。
最低限、生活できる収入になるような金額設定にしてもらいたいと感じる日々です。

また、完璧なものを求めるなら、お金だけでなく時間も必要になります。つまり、最低限以上のコストを掛けなくてはなりません。
「雇う側」の方たちには、求める品質に対して、どれだけ時間とお金を掛けるかのバランスを考えて欲しいものです。


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