Jリーグサポが本気でマーケティングしたら凄い事になった
ボクは転職サイトを通じてスカウトされる形で入社したんですが、当時プライベートで行っていた活動が評価されて声をかけて貰ったので、実際どんな事をやっていたのか具体的に紹介してみようと思います。
改めて書いてみると結構ぶっ飛んでて面白いですw
■先生を目指す
前職はインターネット広告代理店で営業マンを7年間していました。
「やりたい事」というよりも、就職氷河期世代だったので、何とか内定を貰った会社に入った感じです。
※エントリーシートも50枚とか書きました
昔から教育業界には興味があったので「先生になりたい」と思った時期がありました。
でもボクは大学時代に教員免許を取得していないので、先生になるには改めて通信制大学に入学して教員免許を取得する必要があります。
て事で通信制大学に入学しました。13万円支払って。
1ヶ月後に退学しました。
全然勉強する気持ちになれなくてw
その時思います。
「うん。自分のプライベートを削って勉強してまでなりたい職業ではないという事だ。」
■サッカーの指導者を目指す
先生を諦めたボクは思います。
「じゃあプライベートの時間を削ってでも取り組める事こそ自分のやりたい事だろ。」
その着地は「サッカー」にありました。
「ジャイアントキリング」という漫画にハマっていたボク。
この漫画はサッカー監督を主人公に置いた作品で、「サッカーの指導者は、自分のずっとやってきたサッカーと教育をかけ合わせた天職じゃないか!」と。
なかなかに単純な男です。
影響されやすすぎw
そこからまずはサッカーの戦術を勉強しようと、手当たり次第に本を読み漁ります。「ジョゼ・モウリーニョ」という憧れの監督も出来て、情報をかき集めます。
そして海外サッカーを見まくります。
"分析記入用紙"を自作して大量にコピー。試合を見る時は必ずその用紙にフォーメーションや気付いた戦術等を書き込みながら見てました。
完全なるオタクです。
会社が9時始業でしたが、7時に職場近くのスタバに行って1試合まるまる分析してから出社する毎日でした。
■ブログを始める
せっかく分析しているんだから発信しないと勿体ないと思い立って、サッカー戦術ブログを開設。
少しずつアクセスを伸ばしていきました。
海外サッカー分析からスタートしましたが、「自分が指導者になるんだったら自国のサッカーを見ないと」的な偉そうな視点で次第にJリーグを見るようになります。
ボクは地元が千葉市なので「ジェフユナイテッド千葉」を見始めました。
書き始めて暫くしてふと自分のブログを読み返した時に、「これはコアな人しか読めないな…戦術に疎い人でも読みやすくするにはどうすれば良いか?」と考えます。
そこで「小説みたいなセリフ調になってると読むのが辛くないな」と思って、なんと試合中の選手に勝手にセリフを付け始めますw
これだけ聞くと笑える話なんですが、シーズン中の選手の動きを全て情報として追っているので、結構リアルに選手の心理描写出来ちゃうんです。
チームの状況とか、新規加入してきた選手の背景とか、サポーターとの確執とか色々。
なので、ボクが書くセリフ付きの文章を見て涙する人が沢山いましたw
小説の才能があるかもしれません。
こうやって徐々に発信力を身に着けていきます。
■いざクラブにアプローチする
ブログを始めてからも、基本的にはオリジナルのサッカー分析ノートを取り続けていたので、シーズンが終わった時には1シーズンまるまる全試合分の分析資料が手元に残ります。
まぁオリジナルなので全然ちゃんとしてなかったと思いますが、せっかくだからジェフ千葉に直接アプローチしてみようと思いました。
1シーズン分の全分析資料をファイリングして、当時のジェフ千葉の社長宛に送ってみます。
まぁ無視される可能性も高いけれど、何かリアクションがあったら嬉しいなーと思って送ってみます。
謎の行動力です。
送った3日後に社長の退任が発表されました。
マジカヨw
そんなクラブのドタバタもあって、ボクの資料は結局どっかに行き、当然リアクションもなく…そこで冷静になって、立ち止まって考えてみます。
「さて本当にサッカー指導者を目指すのか?」と。
■マーケティングにハマる
分析よりも発信活動そのものが楽しくなってきたボクは、徐々にサポーターとコミュニケーションを取るようになります。
Twitterで「ブログ面白かったです!」とか言って貰えるので。
普通にスタジアムに応援に行ったりサポーター活動が楽しくなってきたんですが、ふとスタジアムの空席を見て思います。
「なんで満席にならないんだろう…逆にもし自分がこの空席を埋めるとしたらどんな事が出来るだろうか?」
マーケティングが好きだったボクは、そんな事を考えるようになります。
スタジアム集客について自分なりに考えてみる
必要な事は「流入の増加」と「離脱の減少」。
スタジアムに行きたいと思うきっかけを作る事と、スタジアムでの満足度を上げる事。
でもスタジアムの内側で起こる試合結果は水物。
ボクがコントロールする事は出来ない。満足度が高い空間を一体どう作る?
…そう言えば学校って楽しかったな。なんで楽しかったんだろう?
思い返すと、クラスにも違うクラスにも友達がいて、「おはよう」って挨拶する相手が増えるほど楽しくなっていったなぁ…
て事は、スタジアムの中で挨拶する回数が増えれば、スタジアムの満足度は上がるんじゃないか?
そうか。
スタジアムの外側でサポーター同士が繋がるきっかけを作って、スタジアムに行った時にその人達と再会するってモデルを作れれば人が増えるかもしれない!
だったらまずやらなくちゃいけない事は、スタジアムの外側でサポーター同士が繋がるきっかけ作りだ!
スタジアムに1人で行くには結構な心理的なハードルがある。
でも友達に誘われればスタジアムは行きやすくなる。
誘える友達、誘ってくれる友達を増やして、スタジアムを「サッカーを見る場所」から「待ち合わせ場所」に昇華出来れば、きっと人は増やせる!
…というのが、ボクが考えた事です。
■活動を始める
試合後のオフ会
そう思い立ったボクは早速行動します。
幸い、既にブログである程度の発信力を身に着けていたので、ブログを通して上述した思想を発信。
最初にやったのは、「試合が終わった後って誰かと熱量を共有したいですよね。みんな熱々な状態なのにまっすぐ家に帰るのは勿体ない。だから、試合後に集まって熱量を共有する飲み会やりませんか?」というオフ会。
10人くらいが集まりました。
でもここで早速大きな動きがあって、スタジアムDJの人がブログを読んで「感激しました。自分も参加させて下さい。」という事で飲み会に参戦してくれたんです。
他の参加者には内緒にしていたので完全サプライズで盛り上がりました。
AWAYゲーム観戦会
サッカーにはHOMEゲームとAWAYゲームがあって、HOMEは地元のスタジアムで試合をしますが、AWAYは相手の地元に行って試合をします。
場合によっては本当に地方に行かないといけないので、特に学生とかはAWAYを見に行くことは出来ません。
となるとDAZNでオンライン観戦するしかない。
でもやっぱり誰かと一緒に見た方が圧倒的に楽しいので、DAZNの放映権を持っている店舗を貸し切りにして、AWAYゲーム観戦会を開催。
お店もジェフのサポーターなので、皆で応援歌を歌ったりしながら見てました。
退団選手のアルバム制作
選手に「ジェフのサポーターは素晴らしい」と思って貰うのは、ブランディングの観点で重要だと考えてました。
時折、退団選手に対して「裏切り者」みたいに罵倒する人がいますが、絶対損してると思って。
何故なら我々の印象を下げてしまうと、「あのチームはサポーターの質が低い」という噂が界隈で広まって、サポーターの悪態がクラブの補強の妨げになる可能性があると考えてます。
逆にサポーターの質が高くて評判が良かったら、「あのチームでなら幸せな選手生活を送れるかもしれない。」と思ってもらえる可能性があります。
実際にあったんです。
オーストラリア代表選手がジェフを離れた後、母国のチームでジェフの素晴らしさをチームメイトに話していて。
後々、たまたまそのチームメイトにジェフからオファーが行った時に、「アイツから素晴らしいチームだから絶対に行くべきだと後押しされて移籍を決断した」という事が実際にありました。
退団選手にこそ優しくあるべき。
そこで、退団選手に向けてサポーターからの贈り物としてアルバムを制作する活動を始めました。
発想の原点は「大学卒業時に後輩から貰ったアルバム」でした。
やっぱり自分が写ってる写真って手元にあったら嬉しいんですよね。
実際、サポーターの中にはカメコ(カメラ小僧)が沢山いて、写真のデータめっちゃ持ってるんです。
当然自分の好きな選手の写真を沢山撮っているわけですから、その写真が選手の為に使われて贈られるとなれば願ったり叶ったりです。
チームブランディングを向上させる為にそんな活動もしてました。
#どこまでやるねんw
サポーターの溜まり場を作る
サッカー観戦終わりに誰かと熱量を共有したい。その為にオフ会を企画する。をやってたわけですが…
全試合で企画するのは結構難しくて。
そこで、定常的に試合後に集まれる場所があると良いなーと思っていて、それもお店に入るとかじゃなくてフラッと立ち飲み出来るくらいのもの。
そこで、大学生にして日本酒の普及活動をしていた「sake base」の若者と協力。駅とスタジアムを繋ぐ沿道で日本酒を立ち飲み出来る「カクウチ」という場所を作りました。
と言っても土地を持っているわけじゃないので、ある定食屋さんに持ち込み提案しました。
「食事は定食屋に提供して欲しい。その代わりボクらは日本酒を販売したい。お店の前のスペースを開放して、一緒にここに人を集めましょう!」
日本酒には「地酒」という概念がありますから、その日の対戦相手の地酒を用意。対戦相手のサポーターも当然ウェルカムにする事で、「千葉の試合に行くと帰りに美味い日本酒が飲める」というブランディングをして、対戦相手からの集客も上げると。
#相手側の客入りもスタジアムの重要な収入源
■おわりに
他にも、オフシーズンはサポーターが暇になるから来季に向けた決起会バーベキューをやったりとか、クラウドファンディングで資金を集めて貸し切りイベントやったりとか色々やってたんですがボリュームがヤバいのでこの辺でw
当たり前ですが、1円も貰ってないし、組織で動いていたわけでもなかったです。最後まで個人で活動していて、都度都度たくさんの人に協力してもらった形。
これらの活動をブログ等で見た旧ウェルプレイドの人事が「コイツやばい」ってなってスカウトに至りましたw
eスポーツの事とか1ミリも知らなかったけれど、こういったコミュニティ活動はゲームの世界でも必要かもしれないと思って入社を決意して今ここにいます。
そして今は、「いろは」というオリジナルキャラクターを生み出し、eスポーツ業界を代表するマスコットにするべく挑戦しています。
当たり前ですが、本来eスポーツ専門会社にこんな仕事はありませんw
普通に仕事をしていたらこんな事にはなりません。
でも自分がやりたい事を突き詰めて、仕事として成立させる為には何が必要かを考えまくって今ここに着地しています。
新しい価値を生み出せるようにワイワイやっているので、興味のある方は是非フォローしてみて下さい!
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