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理解の浸透がカルチャーに変革をもたらす~「ライフステージガイドブックー産休・育休編ー」が担うダイバーシティ推進への一手とは~

女性活躍などのダイバーシティ推進が、社会全体で取り組むべき課題として認識されつつある昨今。CyberZでは、パパママ社員の増加などを背景に、ライフステージが変わっても、誰もが変わらずに挑戦し続け、安心できる居場所であり続けたいという想いから、2023年12月に「ライフステージガイドブックー産休・育休編ー」を社内リリースいたしました。

数あるライフイベントの中でも、大きく生活を変えるきっかけの1つになり得る「妊娠・出産」にフォーカスし、妊娠~産休・育休~復帰までにまつわるあれこれを、ママ編・パパ編・マネジメントに携わる社員編という3部構成で作成しています。

本記事では、ガイドブック作成の背景や、このリリースが社員または会社、ひいてはダイバーシティ推進にどのような効果をもたらしたかなどを、3人の社員にインタビューしました。


▼登場社員プロフィール▼

中村俊介
2014年にサイバーエージェントに新卒入社。同年にCyberZに配属され、広告代理店事業部にて大型顧客を担当しながら、当時最年少マネージャーとしてメンバー育成にも従事。現在は同事業部にて新規開拓グループの責任者を務める一児のパパ。

大谷真由
2017年にCyberZに中途入社し、広告代理事業部に配属。アカウントプランナーとしてプロモーションを幅広く担当し、現在は女性マネージャーとしてチームを束ねる。2020年に新設したCDO(Chief Diversity Officer)室の第二期生としてメンバー入りし、ダイバーシティ推進の立案や施策の実行も担当。
山本真由美
2006年にサイバーエージェントに新卒入社。サイバーエージェント人事本部、広告部門でのコンサルタント、マネージャー経験等を経て、2012年よりCyberZに異動。現在はCyberZコーポレート戦略室にて、人事・総務・広報・秘書の4部署のマネジメントとグループ内他複数部門の人事担当を務める。育児をしながら働く二児のママ。


※取材・編集:CyberZコーポレート戦略室 広報担当 三橋若奈


ーーーまずは「ライフステージガイドブック‐産休・育休編‐」を作成・社内公開するに至った背景を教えてください。

ー大谷
私がメンバーとして活動するCDO室の“CDO”は「Chief Diversity Officer」の略で、企業におけるダイバーシティ推進に取り組む社内の組織です。その活動の中で、女性社員から、産休・育休で仕事を長期間休むことへの不安の声を耳にしたことが背景にありました。
例えば、申請方法や休みに入るまでの流れなどの手続きにおける疑問や、産休・育休に入るまでに業務の引継ぎを問題なく完了できるか不安という声、産休・育休関連の相談先や相談範囲がわからない、などという声があがっていました。
また、若手管理職社員からも、メンバー(部下)が休みに入るときのサポート方法がわからないという声も一部あり、ライフステージの変化に伴うお休みや働き方について、本人はもちろん周辺社員もわからないことが多いと感じました。

そこで、CDO室では、産休・育休にはいる方だけではなく、これから妊娠・出産を経験するかもしれない社員の疑問や不安を少しでも解決できるものを作ろう、と決めました。また、その実現のためには、周りの社員が産休・育休のサポートを能動的に出来る組織にならなければいけないと考え、パパママ向け以外にも「マネジメントに携わる社員編」というパートも設けたガイドブックを作成しました。

ガイドブックを作成するにあたり、私が妊娠・育児を経験した事がないため、妊娠・育児について社員へインタビューしたり勉強をしたのですが、知らない事が多くありましたし、実際育休に入る社員の業務を引き継ぎをした際も、引き継ぎ先である社員の理解や協力を得る事の重要性や、サポート体制を見直すべきだなと私自身管理職として気づく事が多くありました。

また、産休・育休だけでなく、復帰後のサポートが手厚い事で、また復帰したいという気持ちにも繋がってくれると思ったので、長期目線でもガイドラインの必要性を感じました。


ーーー産休・育休は女性だけに関わることではないですもんね。人事の目線では、会社や組織においての課題などはあったのでしょうか?

ー山本
CyberZでは、ダイバーシティ推進に取り組むことを目的に、2020年にCDO(Chief Diversity Officer)およびCDO室を設置し、性別やバックグラウンドに左右されることなく、誰もが挑戦できる環境づくりに取り組んでまいりました。結果として、女性管理職の比率はこの3年間で約2倍まで伸長しています。

一方で自身が思い描く「キャリアプラン」と「ライフプラン」の両立に関して不安を感じる社員も少なくないことが課題として見えてきました。また、弊社ではパパ社員も年々増加していますが、男性社員における育休取得率は2022年9月時点で40%と、女性社員と比べたら圧倒的に低い水準となっていました。
アンコンシャスバイアスや知識不足が原因で、「育休を取る」という選択肢がそもそも思い浮かばなかったり、現実的なことではないと最初から決めてしまったりする男性社員が少なくないというところも感じていました。


ーーー「育休」と一言で言っても短期で取る、長期で取る、複数回に分けて取るなどいろいろな方法がありますよね。まずは「検討」したうえで「選択」できるといいですね。

ー山本
そうですね。これは男女共通した話になりますが、妊娠・出産(パートナーの妊娠・出産)をきっかけに何かを諦めたり、反対に仕事を優先してライフプランを妥協したり、ということがないように、会社としては制度を整えるだけではなく、それを自身の家庭環境やライフスタイルに応じて選択できる環境整備をおこなっていくことも大切だと思っています。

私の場合、一人目の時は里帰り出産でしばらく実家に帰省して両親にサポートをしてもらいながら子育てに向き合っていましたが、二人目の時は上の子の保育園などもあって、近くで出産することを決意し、母親に2か月ほど住み込みできてもらってサポートを受けていましたが、正直母親のサポートがなかったら、子どもが二人ということもありパパにたくさん協力してもらわないと”家庭がまわらない”状況になっていたなと思います。

実際に、私自身が産休・育休を二度経験して感じたのは、家族のサポート状況を含めた家庭環境や、母子の体調面、一人目か二人目以降なのか、パパの仕事の状況…等々、パパの育休取得の必要性や必要期間って、その家庭・その時によって大きく違うなと感じるので、その時そのライフスタイルに応じて選択ができる状態ってとても大事だなと感じます。


ーーーそういった環境づくりの一環としてのガイドブックなんですね。

ー山本
はい、単なる制度の説明書ではなく、自分自身のキャリアやライフプランを考える上での参考資料となったり、カルチャーを浸透させる一助となればいいなと思っています。今回のガイドブックのポイントとしては、産休・育休を経験する方向けだけでなく、マネジメント層向けの内容を盛り込んだところになります。やはり人事に相談する前に、身近な上司に相談するケースが多いと思います。メンバーから相談がきたときに、適切に相談にのれる、適切な声掛けができる、というところも大事だと思っています。また、育休取得パパ社員の声や、ママ社員では時短社員とフルタイム社員の働き方や考え方をインタビュー形式で紹介したり、様々な選択肢があることも伝える内容になっています。


ーーー中村さんはお子さんが産まれた際に育休を取得されてますが、どのような背景で育休を取得するに至ったのでしょうか?

ー中村
妻の妊娠がわかって、パパになる準備をしていく中で育休についても考えはじめました。今しかない子どもとの時間を大切にしたいという想いももちろんありましたが、それ以上に妊娠中や産後の妻を見てパパのフォローが“必要”だと思い、育休の取得を決めました。


ーーー妊娠や出産、子どもの誕生にまつわる会社の制度についてはもともと知っていたのでしょうか?

ー中村
男性も育休が取れるということは知っていましたが、自分が当事者になるまでは、何日間取れるとか、その間にもらえるお金の部分とか、そういう詳細な部分は正直あまり知りませんでした。働く中で耳にしたことはあったと思いますが、やっぱりその時にならないとちゃんと把握するところまでは至らないですね。
今回のようなガイドブックが社内リリースされたことで、気になったときや自分が当事者になったときに、すぐに自分で確認できる状態になったのはとても良いなと思います。


ーーー中村さんが育休を取得した当時の、「男性の育休取得」に対する周囲の反応や社内の雰囲気はどんな印象でしたか?

ー中村
僕が育休を取得したのは約2年前ですが、すでに社内にパパ社員はたくさんいたので相談はしやすかったですし、快く受け入れてくれた印象でした。制度についても、調べてみたら知らなかったものがいろいろあるなと感じました。
でも、実際に育休を取得した男性社員がどれくらいいるかというとそこまで多くはなくて、会社としても、世の中的にも、ちょうどそこに課題感を持って向き合っているところだったと思います。
僕が育休を取ることで、他の男性社員も今後育休を取りやすくなりますし、自分自身が実際に制度を利用した経験でフォローできる部分もあるので、経験としても育休は取得してよかったです。
実際に僕の部下で、育休取得について相談してくれたメンバーもいます。


ーーー男性の育休取得に関しては、ここ数年で一気に加速した感覚がありますね。

ー中村
そうですね。会社として「男性も必ず育休を取りなさい!」と言っているわけではもちろんないのですが、それでもここ数年で男性の育休取得の動きが加速しているのを見ると、個人の選択を尊重できる環境が整ってきたのを実感しますね。

後日談として僕自身の反省をお話すると、CyberZには昔から抜擢の文化が根強くあって、僕が初めてマネジメントを任せて頂いたのって新卒2年目のときだったんですよね。当時のチームメンバーの中には、お子さんが産まれたばかりの30代前半くらいのパパ社員とかもいたんですけど、当時の僕には子育てしながら働く大変さというのが実感としてなかったので、例えばお客様の大きな提案(コンペ)前の詰め切りの時期には、マネージャーとして連日遅くまで一緒に提案資料つくる、みたいなことを普通にさせてしまっていて…。自分がパパになった今当時のことを振り返ると、猛烈に申し訳ないことをしてたのかもしれない…っていう気持ちになりました。

ーーー10年近く前のお話だと思うので、「広告代理店=忙しい」みたいな、業界全体としての課題もありましたよね。

ー中村
そうですね。サイバーエージェントグループに関して言えば、生成AIの活用による効率化などによって業務改善というのはかなり進んできていると思いますが、担当する業務やお客様の状況によっては、忙しい日や、多少負荷をかけてやらなきゃいけない時期があるのも事実です。
そうなったときに、お子さんがいるからといって、パパママ社員を特別扱いする必要はないと思っていますが、想像力を持って接することは大切だと感じます。
特に、子育て経験のない若手管理職がこれからもどんどん生まれてくる会社だと思うので、そういった若手管理職の皆さんが、マネジメントをする立場としてどういう配慮やサポート、声掛けが必要なのかということを意識的に学んでいけるといいですね。当時、社会人二年目の僕にとってはそれが難しくて、当時このガイドブックがあったら良かったなと感じます。


ーーー更なるダイバーシティの推進に向けて、目指している未来像や、今後取り組んでいきたいことなどがありましたら教えてください。

ー大谷
今回の妊娠・出産というテーマ以外にも、子どもの受験や親の介護などといった、会社も社員も年次を重ねていくことでこれから起こり得るライフイベントに対して、CDO室としてできるサポートが何かないかということを考えていきたいと思っています。

自分もこれから妊娠や出産、あるいはその他のライフイベントを経験するかもしれない当事者なので、どんな施策やサポートがあるとダイバーシティ推進が加速するか、ということを当事者目線で考え、CDO室で実現していきたいです。
ただし、ダイバーシティ推進のためには、施策や制度を作るだけでは不十分だと思っています。社員が置かれる状況は様々で、悩みや困っている事は多種多様だと思いますが、社員一人ひとりがそれに気づく視点を持つこと、多様性を受け入れる姿勢が大事です。そのためには、リーダーやメンバーがダイバーシティを学ぶ・考える機会も作っていきたいですし、一方通行や独りよがりにならないようバランスを保ちつつ、文化形成にも力を入れたいです。

ー山本
女性活躍という観点では、政府が打ち出している目標に沿って女性管理職比率を上げるところについてはもちろん取り組んでいますが、より本質的なものを目指したいなと思っています。女性活躍推進となると、どうしても女性のための制度を整えたり、研修の実施などに意識がいってしまいがちですが、大切なのは、男女関係なく挑戦し続け、活躍できる環境づくりをしていくことなのかなと思います。人事としては、個々の志向や能力を把握し、成長における障壁があれば取り除いたり、時に経営側と連携しながら大胆な抜擢したり、様々な活躍の形を作っていくことが大事なのかなと思っています。CyberZでは「CDO室」に加え「GGP」という幹部育成プログラムなど様々な施策がありますが、今後もダイバーシティ推進のその先の、個々の働きがい向上×強い組織づくりを目指していきたいと思っています。


ーーーお答え頂いた皆さん、ありがとうございました!


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