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私が初めて結婚した男の話


それはヒトとしてどうなのか、と自分でも思う。が、私の一度目の結婚は、よくわからないうちに始まり、そして終わってしまった。

正直今でも、「あれは一体何だったんだろう」と思うことがある。恐らく、向こうもだいたい同じような感想を持っているはずだ。

私たちはたぶん、もっと話し合うべきだったのだろう。せめて納得いく別れを迎えるために。でも、それができない二人だった。話し合うことによって“互いに分かり合える”なんて可能性を、私も彼も微塵も信じていなかった。だから手を伸ばそうともしなかった。だから終わってしまったのだ。

まるで、独自の軌道で回り続ける2つの星が、ごく限られた期間だけ偶然隣り合わせになり、そしてまたそれぞれの軌道に戻っていったみたいな結婚だった。もちろんこれは、“美しく言えば”の話だ。

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