子育てパパの子育て本の書評
子育ての右も左もわからない新米パパが、育児本を複数冊読みました。
備忘録として、読んだ本の概要と読後感想を書き留めておきます。
本の基準
ちょっと構えて言うと「我が家の子育ての指針」を作りたいと思ったので、ハウツー本より、父親論、教育論、エッセイなどを中心に気になった本を選びました。
書評一覧
ルポ 森のようちえん SDGs時代の子育てスタイル
おすすめ度 : ★★★★★
本エントリーで一番オススメしたい一冊。
昨今、教育において注目されている「非認知能力」をテーマに日本の豊かな森林、自然を活用した幼児教育の実践を垣間見れます。
モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョエミリア等の様々な教育メソッドを引用しつつ、幼児教育の基礎理論的な部分も触れているので、幼児教育の全体像を掴む上で大変参考になりました。
本書を読むまで「森のようちえん」の存在を知らなかったのですが、虫を掴んで自然の中を走り廻る子たちの様子を読んで、見学に行ってみたい!と思うようになりました。
幼稚園や保育園を選ぶ基準作りの参考になるような本です。
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
おすすめ度 : ★★★
イギリスの公立中学校に通う少年と日本人の母親の日常を描いたエッセイ。
公立中学校の日常を通して、イギリス社会の経済、労働、貧困まで視野を拡げる文章は読み応えがありました。
印象に残った言葉は、シティズンシップ•エデュケーション。
本書では、大雪が発生した際の市民団体による路上生活者の緊急受け入れや、公立小学校の保護者を中心としたボランティア活動などの事例などが紹介されている。
これらの市民による地べたの相互扶助は、個人の善意に頼るのではなく「シティズンシップ•エデュケーション」という公教育のシステムに根差していることからきている、という著者の分析。
子どもを育てるためには、自助と公助の間にある「共助」の存在が不可欠になると感じる場面が多いので、自身のシティズンシップの実践について考えさせられました。
22世紀を見る君たちへ
おすすめ度 : ★★
大学入試から見る教育論。育児というより、22世紀の学力を主題とした教育論のため、育児本としてはオススメできません。
本書の中で興味深かったのが第3章と第6章。
本書のキー概念となる「非認知スキル」「身体的文化資本」について著者が教育の現場で培った論考は一読の価値があると思います。
我が子が大学受験を迎える2040年代は、少子化が更に進み、大学入試も選抜試験から、生徒を確保するための試験が徹底されるはずです。
それに伴い学力偏重型の教育も変わっていくように感じ取れました。
子育て指南書 ウンコのおじさん
おすすめ度 : ★★★
社会学者 宮台真司氏による父親論。現代社会で親が子どもにどう振るまうべきか、という点で書かれています。
宮台氏の本に触れたことがある人であれば、特筆すべき点は特にありません。他のご著書で主張されている論考と同じ、という印象。
母子の関係に、父の存在が「社会-権威」を持ち込む。子は「権威」に従うが、反抗期を通過して父を客体化することで社会性を獲得する、という主張は、納得感がありました。
昨今はジェンダー論の台頭により男女による役割、違いという主張は分が悪いのですが、子の発育過程においては、父母に求めるもの / 機能は違うと改めて感じました。
私の妻は息子に「男の子だから」という主語を使うことを嫌います。
しかし現代でも男性には、結婚すれば家長としての責任、一家を支える経済力が求められる立場にあります。
このような社会で「父-子」の関係で伝えるべきことを考えると「男の子だから」という単語がつい口から出てきそうになります。
現代で、父親の機能をどう果たすのか、という命題は心に残りました。
父として考える
おすすめ度 : ★★
第一子が生まれてから最初に手に取った本がこれでした。
知識人として有名な宮台真司、東浩紀氏が「父」という立場から日本社会についての討論をするという趣旨。そのため育児の実践において、役に立つ話はほとんどありません。
今思うと、最初にこの本を読むあたりから、当初の自分が子育てに対してのリアリティが欠如していることを実感します😅(苦)
両氏とも「父」としての実体験を通じて、父親になる前に展開していた自身の主義・主張を捉え直しているような本でした。
僕自身、子どもを通じて「自分ってこういうふうに考えいたのか」と認識する場面が多く、子育てを通じて自己理解が深まる気がしています。
子どもに無意識にしていることを妻に指摘されたり、意識的に伝えようとする言動に、自分の価値観(主義・主張)が出てると思う瞬間があるからです。
その都度、自身の言動を振り返り、時に訂正する意味において、育児は「育自」なのだと感じさせられた本です。
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