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小判食え【毎週ショートショートnote】

「にぃ、にぃ」とか細い鳴き声で目が覚めた。
昨日家に連れてきた仔猫のものだと少し遅れて気づく。
職場の物置の下にいた茶トラの小さな猫。きっとまだ生まれてそんなに経っていない。親とはぐれたのだろうかと思っていたら別の猫に攻撃されてしまい、慌てて動物病院に連れて行った。
おじいさん獣医に「飼い猫じゃないなら治療しても、また同じような目に遭って長く生きられないかもしれない。お金をかけて治療するか」と聞かれ、流れで引き取ることにした。
小さくまるまった橙のチビ猫。もらったチューブ状の栄養剤を指に取るとペロペロ舐める。

「ほら、ごはんだよ食べな」

皿に入れたご飯に鰹節をかけてねこまんまを作ってみるが、弱っているのか食べようとしない。

「『猫に鰹節』と思ったんだけど。これじゃ『猫に小判』だな。よし、オマエの名前は小判だ。色もそれっぽいし。ほら、食べな」

その後、父親があげたしらす干しにがっついた小判は、父にはしらすと呼ばれるようになる。

(410文字)


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
裏お題「小判食え」です。

天に昇るまで17年一緒にいた猫との出会いを思い出しながら書いてみました。
名前は小判ではありませんが、出会いはこんな感じで、怪我した猫を見つけて病院につれて行ったのがきっかけでした。

最初に思いついたのはコバンザメならぬコバンクエという魚を作ろうかということ。その次が貯金箱。
それから、小判に食えと語ってる人に辿り着きました。


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羽根宮でした。

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