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スベり高等学校【毎週ショートショートnote】

シャーッとジャンプ台を滑空する音。
ザッ、ザッと軽快に雪原を滑るスキー板の音。
屋内では銀盤の上でスケート靴が氷を蹴る。
スキー、スノーボード、スピードスケート、フィギュアスケート、カーリング、スノースクート、ソリ。
ここはウィンタースポーツに力を入れていて、全国から強豪が集まる高校。通称「スベり高等学校」。
時空の歪みでもあるのか、校庭や学校の裏山は1年中雪が積もり、選手達は季節を選ばず特訓に励んでいる。
スケートリンクやカーリング場など、屋内の設備も充実しており、とにかく皆、あちこちでスベっている。

だが俺はスポーツはしない。
スポーツはしないが数少ない特待生だ。
不本意ながら校長直々にスカウトされた。
たまたま校長が居合わせた道で、俺が派手に転んだせいで。

「いやー、あんなに見事にバナナの皮で滑って転ぶ人、初めて見たよ」
満面の笑みで話しかけられた時にはロックオンされていた。
校長がなぜ滑るものに執着しているのかは誰も知らない。

(410文字)


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
お題は「スベり高等学校」です。

最初に思いついたのはギャグがスベる方だったのですが、同じことを考える方も多そうだったので、バナナの皮で滑ってもらいました。
校長が何を考えているかは謎です。


今までに【毎週ショートショートnote】に参加したものはこちら


難しいお題でも参加することに意義がある!
……多分。
読んで下さってありがとうございます。
羽根宮でした。


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