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一方通行風呂【毎週ショートショートnote】

「思い残したことはないか」

俺は身体の自由を奪われて、前を歩く男たちの後をただ歩く。
後ろにも数名の男たちが俺の後に続いている。
万が一にも俺が逃走することのないように、監視の目を光らせて。
そんな中で、俺の横を歩いていた男が俺だけに聞こえるようにささやいた。

「この道を行ったらもう帰れない。逆戻りすることは許されない」

そんなことを言われても困る。
やり残したこと、遂げられなかった思いなんて、ここで思い返したところで何も変わりやしない。
俺の横のコイツが何か手助けしてくれるわけでもない。

ただの嫌がらせだ。
返事でもしようもんなら「黙れ!喋るんじゃない」と叱責が飛んでくるのが目に見えている。
拳か蹴りも飛んでくるだろう。

その手には乗らない。

終着点までもうあとわずか。
そこで、ちっとばかり熱い風呂に入れられる。
我慢比べといこうか。

ああ……だが。
どうせなら、最後には恋の歌でも詠んで洒落込みたかったぜ。

「これより釜ゆでの刑を執り行う!」


(410文字)



こんにちは。
お風呂はぬるめのお湯にゆっくり浸かりたい羽根宮です。
温泉は好きですが、人と一緒に入るのがあまり得意ではないので、温泉のある宿では誰も入っていない時間帯に入ったりします。

たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
お題は「一方通行風呂」です。
今回も難易度が高いお題でした。

一方通行でしか巡れないお風呂とかも考えたのですけど、似たようなことを考えている作品は多いだろうなと思いまして。
悩んだ末に、こうなりました。
釜ゆでの刑……キツそう。

お話の中では最後に辞世の歌でなくて、恋の歌を詠みたかったとさせました。
さて、ここからは「令和版百人一首恋の巻を応援し隊」としての宣伝です。
そうです、ここに繋げたかったのです。

羽根宮が応援している企画「令和版百人一首恋の巻」【秋の部】が開催中です。

春・夏・秋・冬・その他の各部門で二十首を選出し、令和版の百人一首を作るという壮大な企画。

一人一首しか選出されません。
そのため最低でも百人の参加者が必要です。

期間内に最低でも二十人の参加者がいないと企画をボツにするというこの企画。

春と夏が終わり、四十人の歌四十首が選ばれました。
ですが、【秋の部】は参加者さんの数が全然足りておりません(7/5 AM7:00現在)。

季語とか難しいことは必要ありません。
三十一音で恋の歌を楽しく詠んでみませんか?
別におふざけだって、ふざけすぎていなければ大丈夫そうですよ。

これは羽根宮がひとえに、この壮大な企画が無事にフィナーレを迎えて、百人による百人一首が完成するのを見たくて書いています。
賄賂とかは一切いただいておりません 笑

ぜひぜひ、どしどしご参加下さいませ。
短歌を詠んだことがないという方も、たくさん参加されていますのでお気軽に♪

7月9日23時59分までです。


【最近見かけた絵】

石川五右衛門が釜ゆでの刑を受けながらお蕎麦を食べてます。

#なんのはなしですか


ちなみに石川五右衛門は処刑される前に
「石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ」
という辞世の歌を詠んだと言われています。


今までに【毎週ショートショートnote】に参加したものはこちら


読んで下さってありがとうございました。
一方通行の標識は四角い青地に白い矢印。
赤い丸に白の横線は車両進入禁止。
青い丸に白い矢印は指定方向以外進行禁止。
標識の名前の確認をしましたが、ショートショート中では一度も使わなかった羽根宮でした。

#どうでもいいか

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