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恙なく

ひんやりとした朝。
梅雨入りにはまだ日にちがかかりそうな気配だけど、
空気は少しずつ重くなっている。

仕掛かり中の遊印を見直しつつ整理しつつ、取りかかってもいます。

画像は、水無月の和紙封緘紙。
体調を整えることが厳しくなる季節に入ってゆきますが、
みなさんげんきで過ごしましょうという思いを込めて。

「恙なく」は個人的に好きな言葉で、
何度も印にすべく挑戦してきた言葉でもあります。

つつがなく。。。
つつがなくお過ごしください。
つつがなく過ごしております。

やわらかな空気を含んでいるような奥ゆかしさを感じますが、
ビジネス用語としても使いますね。
「会議はつつがなく終わった。」
など、
なんの障害もなく滞りなく終わったという意味で、
耳にすることも多い表現です。

つつが-な・い 【恙無い】
やまいがない。息災である。異状がない。無事である。

広辞苑

「恙」
という言葉自体が、
病気などの災難。わずらい。を表す言葉で、
その否定形「無い・無く」がくっついて成り立っている言葉です。

やまい。などという異状を表す言葉をわざわざ印にするのか?
しかも否定形だしなぁ。
漢字とひらがなが混ざっているのもなぁ。
つつがなく。のほうがやさしく読み間違いもないが「つ」がふたつ!はなぁ。(=難しい)

と、
自分的なハードルがいくつかあって、
大好きな言葉でありながら(基本的に自分が好きなものしか印にしてない)、なかなか進まず。。。

「お元気で」という言葉も印にしたいとかなりがんばっていた時期があったのだけど、
なんだかしっくりこなかった。

「お元気で」というと必ず相手があって、
誰かに対する願いであり思いなわけで、
とても狭いというか特定の相手だけに向けられた感じがある。
しかもなんとなく。。。これで最後というような悲しい風情も感じる。
「元気」という言葉は文字通り元気なはずなのに、不思議だ。
私が皮肉れているのか。
涙を溜めて手を振っているイメージが、どうしてもわいてくる。

「つつがなく」
というのは前後の文脈から相手にも自分にも、また全体にも意味が広がる感じがするんですよね。
そして、
パワフル元気ではなくっても、何事もなくゆるゆるとまぁまぁぼちぼちいけたらいいね。みたいな、
これって年寄り的感覚か!
と今!突然気づいたが、そうかもしれない。
自分が年を重ねて、なおさら愛おしく感じている言葉なのかもしれません。

「お」とか「ご」などの丁寧にするための何かをくっつけなくても
それ自体がなんとなくやさしく丁寧な感じがする。
否定形であるにもかかわらず。なんかすごくないか。

正しい国語表現をお勉強していらっしゃる方にはご意見もおありでしょうし、
あくまでも個人的な【感覚】ですけど。

というわけで、
「恙なく」印、もう少しがんばってみようと思います。

見通しよくいきましょ
藤井あき乃



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