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(後編)岐阜県の「男女共同参画フォーラム2022」に育休プチMBA®代表の国保祥子が登壇

このたび、岐阜県からお声がけをいただき「育休プチMBA®」代表の国保祥子が「岐阜県男女共同参画フォーラム2022」に登壇させていただきました。

広報担当の私は名古屋方面からリモートワークしていることもあり、岐阜県大垣市のソフトピアジャパンセンターまで取材を兼ねてえいやっと出かけてくることができました(国保とは初対面!)。講演前に国保と少し話をすることができたので、そちらの内容を交えつつ、育児と仕事を両立する方向け(前編)、企業の人事ご担当者向け(後編)に国保からのメッセージを再構成してお届けします。

※本フォーラムは、岐阜県の男女共同参画推進強調月間(毎年11月)の取り組みの中で行われました。
岐阜県の男女共同参画・女性の活躍推進課のホームページ


優秀な若い人材を採用できていますか?

少子高齢化が叫ばれ久しい日本。この傾向は今後さらに拡大し、大変になります。2050年の生産年齢人口は現在の3分の2。多様な人材に活躍してもらわないと、人が存在しない世界がすぐそこにきています。 

(図1:生産年齢人口は2050年には2/3に)

前編では、岐阜県の男女共同参画に関する課題は経済面であるとお話しました。優秀な女性は、会社では活躍できないから公務員を目指す構造になっています。

今の若い世代は、男だからとか、性別に基づいた役割意識が薄れてきています。産後も働きたい女性は6割いて、育休を取りたい男性も6割います。若い世代を採用したい職場の方に肝に銘じていただきたいのは、こういう若い世代が入社してくるということです。男性育休の前例がなかったり、女性が男性のサポート要員になってしまって、性別分業のある会社には、学生は来なくなります。

自分の父親が反面教師になる20代

もう少し最近の若い世代の話をします。私より上の世代の方だとピンとこないかもしれませんが、今の20代は、男女共修で家庭科を学んできた世代です(広報注:中学で家庭科が共修となったのは1990年度)。大学の教え子を見ていると、手作りのお弁当を作ってくる男子生徒も普通にいますし、バレンタインデーのお菓子交換の中に男子の手作りクッキーが混ざっていることもあります。家事育児に抵抗がなく、子供と一緒にいたい男性が増えています。

男子学生になぜ家事育児をやりたいのか、育休を取りたいのかを問うと、自分の父親が反面教師になっていることが多いです。子供のころに一緒に遊んでもらった記憶がなく、子供が大きくなった時に、家庭に居場所を持てていない父親たちです。

若い世代は、上の世代の負の部分を反面教師にしています。女性は、経済力をもたないといけないという気持ちを持っています。

これまで「働きやすさ」や「仕事と家庭の両立」といったテーマは女性を中心に語られてきましたが、女性が両立しにくい組織は、そのままだと若い男性もいなくなります。会社を選べる優秀な層は、両立しやすい環境を整えているなど、働きやすい会社を選んでいきます。優秀な人材を採用したければ、両立できる会社をつくるのがまずは着手ポイントとなります。

活躍の場を与えられていない女性がたくさんいます

優秀なのに活躍の場を与えられていない女性がたくさんいます、という話をすると決まって「女性が望んでいるのでは?」という反論をいただきます。過去の研究で、昇進を希望しない理由を調べたものがあります。

(図2:昇進を希望しない理由)

男性は昇進に「メリットがない」ことを上げますが、女性は「両立が困難になる」という回答が一番にきます。昇進したいか、管理職になりたいかどうか以前に、意欲がないのではなく、両立が困難という現実の課題があります。よって、従業員が両立しやすい職場を作る必要があるのです。女性には、「会社としてサポートするから、もう少し頑張らない?」というようなアプローチがまずは重要です。女性は感情の面での配慮が必要となります。

新卒から3年の間に経験が積める環境をつくる

能力開発の世界では「経験をデザインする」ことが必要ですが、女性特有の育成の難しさに、出産育児でキャリアが中断したり、勤務時間の制約で経験を積みにくい、ということがあります。これに対しては、新卒入社から3年くらいのなるべく早いうちに経験を積ませることが重要です。

ルーティンワークをこなすだけでは成長につながりません。新しいプロジェクトを任されたり、社内で誰もやったことがない仕事に挑戦したり、これまでの経験だけでは上手くいくかどうか分からない、責任ある仕事を経験することで人は成長します。ただし、これはいきなり難しいことを任せるという話ではなく、挑戦になる経験を少しずつ与えて、「あなたならできる」とサポートをしてください。

女性も仕事をするという価値感を持ち、昇進やキャリアに前向きな人に子供がいるという理由で簡単な業務だけを任せると、意欲を低下させます。期待をかけて育てていかないと、ぶら下がる人材を生みます。よかれと思って経験を与えないことがないように、ちょっと先のキャリアを歩んでいる人(ロールモデル)に話を聞ける機会を是非設けてください。もしそのようなロールモデルが社内にいなければ、外部から連れてくるようにしましょう。

なお、ロールモデルには非の打ちどころのないスーパーウーマンではなく、ちょっとおっちょこちょいな人など、あの人なら目指せそう!という人が理想だと思います。

育休からの復職者は不安を抱えている

育休者を研究するうちに、育休を経て復帰する人は多くの不安を抱えていることがわかってきました。不安を抱えたまま復職をすると、色々なことに消極的になってしまいます。何とかなるだろう、できるだろう、というポジティブな気持ちで職場復帰をする人は、挑戦的な業務にも取り組めることがわかっています。

例えば、私が所長を務める育休プチMBA®やワークシフト研究所が提供するプチMBAマスタープログラムなどを活用して、両立支援と活躍支援の二軸で育成を行ってみてください。


後編をお読みいただきありがとうございました。

今回国保がお話させていただいた内容はこちらの本にもまとめられています。是非お手に取ってみてください。

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