蔡 海

環境と関係を結ぶ人間のエラーを面白がり、そこから世界を認識し直すための活動をしています…

蔡 海

環境と関係を結ぶ人間のエラーを面白がり、そこから世界を認識し直すための活動をしています。 自然科学に挑むサイエンティストや工芸家などによるアートコレクティブ・HUMAN AWESOME ERROR代表。

最近の記事

族車の作品が影響受けた本 その4

2021年12月12日まで北杜市のHOKUTO ART PROGRAM Ed.1にて 私たちのHUMAN AWESOME ERRORの作品が展示されています。 前回からの話を続けます。「工藝族車」はモノの作品ではなくて活動が作品なので、活動の時間の中で影響を受けていく要素があり、その一部が何冊かの本です。これらの本はいずれも族車というアンダーグランドカルチャーだけでなく、私たちが今生きている時代がどういう空気なのかを語りかけてくるものです。 その4. ルポ川崎 | 磯部涼

    • 族車の作品が影響受けた本 その3

      2021年12月12日まで北杜市のHOKUTO ART PROGRAM Ed.1にて 私たちのHUMAN AWESOME ERRORの作品が展示されています。 前回からの話を続けます。「工藝族車」はモノの作品ではなくて活動が作品なので、活動の時間の中で影響を受けていく要素があり、その一部が何冊かの本です。これらの本はいずれも族車というアンダーグランドカルチャーだけでなく、私たちが今生きている時代がどういう空気なのかを語りかけてくるものです。 その2. 暴走族のエスノグラフ

      • 族車の作品が影響受けた本 その2

        2021年12月12日まで北杜市のHOKUTO ART PROGRAM Ed.1にて 私たちのHUMAN AWESOME ERRORの作品が展示されています。 前回からの話を続けます。「工藝族車」はモノの作品ではなくて活動が作品なので、活動の時間の中で影響を受けていく要素があり、その一部が何冊かの本です。これらの本はいずれも族車というアンダーグランドカルチャーだけでなく、私たちが今生きている時代がどういう空気なのかを語りかけてくるものです。 その2. 禅とオートバイ修理技

        • 族車の作品が影響受けた本 その1

          2021年12月12日まで北杜市のHOKUTO ART PROGRAM Ed.1にて 私たちのHUMAN AWESOME ERRORの作品が展示されています。 前回からの話を続けます。「工藝族車」はモノの作品ではなくて活動が作品なので、活動の時間の中で影響を受けていく要素があり、その一部が何冊かの本です。これらの本はいずれも族車というアンダーグランドカルチャーだけでなく、私たちが今生きている時代がどういう空気なのかを語りかけてくるものです。 その1. 爆音列島 | 高橋ツ

        族車の作品が影響受けた本 その4

          2021年の振り返りと展示の告知

          2021年12月12日まで北杜市のHOKUTO ART PROGRAM Ed.1にて 私たちのHUMAN AWESOME ERRORの作品が展示されています。 HUMAN AWESOME ERRORとしては、新作の「Super Cell」と「工藝族車」を展示しています。私たちの基本的な考え方として、活動そのものが作品であり、展示は活動渦中のスナップショットのようなものですが、これを節目として、取り分け「工藝族車」をどのように進めてきたか、折々で私が影響を受けたり知見を得たり

          2021年の振り返りと展示の告知

          (多分)ファラオも愛した真鍮の音色

          楽器の歴史は人類史とほぼ同じなのではないだろうか。 鉄器を発明してオリエントを跋扈していたヒッタイトと戦った古代エジプトのファラオ、ツタンカーメンの埋葬されている王家の谷からは、銀や銅と鉛の合金、つまるところ原始的な真鍮のラッパが出土している。 言ってみれば、ただの筒。 ただの筒の歴史は、ヨーロッパの王宮の衰退まで続く。 唇だけで倍音のメロディを操る超絶技巧の奏者の保護がなくなり、また作曲家がトランペットの可能性を広げるために、音程が作れるバルブが加わって現在のトラン

          (多分)ファラオも愛した真鍮の音色

          生きた化石と化石化するテクノロジー

          2016年、世界有数の自動車生産国であるドイツが、2030年までにガソリン車の新規登録を廃止することを発表、この流れはEU全体に浸透し、世界に影響を与えている。 1885年、ダイムラーが初めて二輪用に開発したガソリン車の歴史は、145年ほどで、死にゆくテクノロジーとして衰退をはじめることになる。 ※ゴッドリープ・ダイムラーによる世界初の4ストロークエンジン二輪車 ハーレーダビッドソンは2019年、ラスベガスの家電見本市CESで、ハーレー初の電動オートバイを市販車として発

          生きた化石と化石化するテクノロジー

          [音源あり]焼肉とお届けする旧車図鑑

          外出自粛が解けて、すぐにでも行きたい外食が焼肉だったので、前回からの続き、音楽ファンにこそ触れてもらいたい、旧車會が好む車種とエンジン音のまとめを、焼肉の歴史と合わせてお届けします。自由研究の標本みたいなものと思ってお楽しみください。 前回記事↓ 少し真面目な話、音楽や文化の視点で、説明するための共通言語が現状あまり無いのです。そこで、焼肉に例えて、オートバイのコールの音を分類していきます。また、車種ごとに聞けるコールは極力紐づけて、頭出ししたYoutube動画へリンクを貼

          [音源あり]焼肉とお届けする旧車図鑑

          それは音楽なのか?

          世界初のラップのレコードといわれるRapper’s Delightが、バンド演奏という「不純物」を含みながらも初めて発売されたのは、1979年だ。でも、ヒップホップや音楽のファンなら、それより遥か前にクールハークやバンバータのような人物を辿り、70年代前半からヒップホップやラップが存在していたことは知っているだろう。 ラップが、あんなの音楽じゃない、喋ってるだけ、ビートも借り物、とバカにしていたのは、コミュニティの外側の人々だ。僕もマンハッタン島で何不自由なく暮らしていたなら

          それは音楽なのか?

          織部とアディダス

          先日、久々にお茶を点ててみたとき、 使った道具にあまりトキメキを感じられなかった。 そこで自分で使う茶道具を作りたく、久々にろくろに向かった。 学生の頃は、いわゆる伝統的な釉薬を無視して、 いかにトリッキーでエキセントリックな化学が炸裂するかで釉薬を選んでいたけど、あれから茶道を少し勉強して、道具と人間の関係をガチで考えてみると、どんな物語が豊かな気分にさせるのか、が必ずついてまわる。文脈を無視した突飛さだけでは、物語が作れないことが分かった。 そして、物を、語る、には自分

          織部とアディダス

          スタイルに学ぶ、族車への痛烈なダメ出し。

          なぜ変わらないスタイルというものが存在するんだろうか。 先日、サンフランシスコの友人と族車について話していたところ、 チカーノ(USに住むメキシコ系移民)カルチャーに似ているね、という話になった。 確かに、チカーノは、経済的に新車を買いにくい事情から、ボロボロの旧型車をピッカピカに作り直してイキる、という文化を創出し、現代では既にそれが一つのスタイルになっている。 サイプレスヒル のド直球な「Lowrider」は、PVでそんなスタイルの哀愁たっぷりの情景描写を味わえる。 昨

          スタイルに学ぶ、族車への痛烈なダメ出し。

          ラグジュアリー LOVES 暴走族

          恋とは無いものねだり。ヨーロッパのハイブランドが、ストリートファッションに恋をするのは、ファッションど素人な僕からしても自然に見える。もう100年以上、年2回のタイミングで考えをまとめてコレクションをランウェイで発表するという、もはや厳格といってもいい慣習を続けるハイブランドにとって、ストリートファッションは、いつどこで何が原因でそうなったか分からない、掴み所が難しいうねりだ。努力しても手に入れられないものは眩い。 両者の接点として最も明快なルイヴィトンのヴァージルアブローが

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          工芸とソニックユース

          たまたまだったけど、僕はその大学に初めて「工芸科」というのができた最初の代に入学した。もちろんいきなり設立されたわけでなく、前身の学群はあったのだけど、工芸と名乗って改組する時、当時の学科長だった中村錦平さんという教授の発したステートメントが超絶格好良かったので、ほとんどそれで入学を決めた。 錦平さんは、廬山人の器の美学を通過しながら、東京焼を標榜し、表現が稚拙で情けないけど、極彩色で無茶苦茶な焼き物で空間づくりをする作家だった。(個人の感想です) 錦平さんの作品はこれです

          工芸とソニックユース

          カトリックと暴走族

          コロコロでは「ラジコンボーイ」と田宮、ボンボンでは「プラモ狂四郎」とガンプラが少年の心をくすぐっていた80年代、別の趣味を持っていた僕の父親もHONDAのCB400のプラモに熱中しており、要するに、大人から子供までプラモデルが流行っていた時代だった。アラレちゃんを描いていた鳥山明の仕事場の写真には、作ってないプラモの箱が大量に積まれていて、作られたプラモからインスパイアされたマシンが漫画の絵になり、その影響を忍ばせる作風はドラゴンボール初期のホイポイカプセルまで続いた。 そん

          カトリックと暴走族