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企業の事業力で最も重要なのは「企画力」である。「ビジネスプラン・シナリオ作成術」野口吉昭 #8

今もこれからも、ひと味もふた味も違った新しい事業や商品を企画できる「企画力」のある企業だけが成長できる。言い換えれば、企業が業績を伸ばせるかどうかは、新しい事業や商品を生み出す「企画力」にかかっている。つまり、企画力が、企業の事業力を決めるのだ。

今回僕が読んだ本は「ビジネスプラン・シナリオ作成術」です。

上記の引用文のように、これは「新しい事業や商品を生み出す」ためにはどのように企画をたて、ブラッシュアップしていくのかが書かれています。

マーケティングや論理的思考、スタートアップの理想が土台としてあって、実現したいアイデアを実際にビジネスプランとしてまとめる為のステップ、フレームワークが10段階でまとめてあります。

正直、読んでみて、実際に会社の事業チームや商品開発、販売チーム等に入ってみないとしっかりと理解するには想像力がいるなと思いました💦

自分で事業アイデアをまとめるのも1人では絶対無理で、一通り経験するにはしっかりと本腰入れて挑戦しないといけないし、その際にもう一度読んでいこうと思います。笑

今回は、今の僕のいるステージで、必要な基礎的で大切だなと思った部分をまとめます。他の難しいところはその時になってみないと本当の意味で理解はできないと思うので。


1,熱き想いの志と、冷静で客観的な情報の間で。

もし、本気で「やりたい」と思えないなら、「やれるならやってもいいけど、できないならそれでもいい」といった中途半端な想いしかないなら、そんな企画はさっさとやめたほうがいい。そもそも、まったく新しい商品をつくったり、事業をおこしたりするときには、いくつもの壁が立ちはだかる。そうした壁を突破していく原動力になるのは、自分の「どうしても、これをやりたい」という強い想いだ。

最初、この本のタイトルをみて、結構かたい内容なのかなと思いましたが、上記の引用文のように、著者は「企画を立てる」事には強い想いが必要だと述べています。

個人的に、ピーターティールの「ゼロ・トゥ・ワン」で書かれているような隠れた真実を見つけ、事業にする人たちが物凄くカッコ良くて好きなので、そこをもっと身近に、具体的に書いてくれるのは有り難い本だなと思いました。

実際、ノウハウや知識も大切ですが、同じくらい情熱は大切だし、諦める事に慣れてしまわぬよう、初心を忘れずにいたいです。

その熱い想いがある事が前提の上で、冷静な判断や、客観的な情報が必要だと思います。


2,ビジネスプラン作成の10ステップ

今の僕が全てをしっかりと理解するには経験不足なので、簡単に10ステップをまとめる事で全体を大まかに把握し、記憶しておく事にします。


ステップ1 商品企画・事業企画の背景・問題意識を明確にする

これは意外だったのですが、まず最初にやるべき事は「己を知る」という事です。

新商品を開発したいなら、「自部門の経営課題」として既存商品の問題点や課題を分析する。新しい事業を考えるなら、「自社の経営課題は何か」を分析することから始める。

既存商品や既存事業の現状を分析する事で「なぜ今この商品なのか?」「なぜ今この事業なのか?」という根本的な部分に答えられるようになります。

過去の商品や事業の企画書に目を通し、なぜ失敗したのか、なぜ成功したのかその理由を知る事がまずは大切です。

歴史から学ぶのと一緒ですね。灯台下暗しでした!笑

また、社会の何を課題と捉え、解決しようと考えるのか

ここをより具体的にしていく事になるので、しっかりと深堀り、分解して課題を見つけるのも大切です。(めっちゃステップ1の時点で大変。笑)

こうして、己を知った後には、「敵を知る」段階に入ります。

市場における各社の売上規模やシェアを調べ、市場の「リーダー」、2番手の「チャレンジャー」、3番手から5番手ぐらいの「フォロワー」、そしてスキマでしっかり生きている「ニッチャー」に該当する企業を明らかにし、それぞれの企業の特徴を分析する。それを「市場ポジショニングと各社の動き」としてまとめる。

これって、己を知るという事でもあると思うのですが、今自分達がどこにいるのかを把握する事で、ビジネス環境、マクロ環境を分析します。

「3C分析」「4P分析」「PEST分析」で自社と取り巻く環境について把握し、つまり〜である。と一言で言える課題にまとめる

マーケティングが一番最初に必須になってくるんですね。ステップ1で大きなズレが生まれないようにしたいです。


ステップ2 商品企画・事業企画のコンセプトを仮説化する

コンセプトとは、その商品や事業がもっている「本質的な魅力、そして特徴」のこと。お客様がその商品のコンセプトに触れたとき、「あっ、これがほしかったんだ!」と思われるものだ。コンセプトは、顕在要求としての「ニーズ」ではなく、潜在欲求である「ウォンツ」創出を実現するものだと言うこともできる。

コンセプトを単純に和訳すると「概念」と出ます。

使う人によって捉え方が変わってくる言葉です。この本では「本質的な魅力、そして特徴」と述べられております。

その魅力は、「隠れた真実」つまり、潜在欲求である「ウォンツ」にあるとあり、これは新しいものを生み出す上での本質的な部分なんだなと思います。

コンセプトは商品や事業の方向性を決めるだけでなく、プロモーションの方法も、パッケージデザインも、チャネルに対するコミュニケーションも決める。だから、商品コンセプト、事業コンセプトは、すごくわかりやすくて、かつ差別的優位性がなくてはならない。

これはステップ1の課題を明確にするのと同じくらい大切で、ここがブレると全体がブレてくるんだと理解できます。


既にこの時点で、新商品や事業が、どんなコンセプトで、どんな課題を解決するのかが決まっているはずです。

そこで、ターゲットをより深く分析する段階になります。

「ターゲット別ベネフィット&ソリューション分析」「商品ポジショニング」「コンセプトツリー」「シーズツリー」等で分析し、ここもまた、つまり〜である。と一言で言えるようにまとめます。

全部の分析について詳しくは書けないので、興味があれば調べてみてください。

例えば、任天堂がWiiを開発する際には、マニアックな機能を求めるゲームユーザーではなく、家族団欒を求めるニューファミリー層にターゲットを絞った感じです。

レッドオーシャンを避け、ユーザーのウォンツはこうではないか?という仮説を立て、新しい価値を生み出すスペースを見つけたのです。


ステップ3 コンセプトの仮説を検証する

ステップ2で立てたコンセプトの仮説が本当に正しいかどうかをさまざまな切り口で確認するのが、このステップ3の目的だ。そのために行うのが、市場情報の収集と分析。「市場の生の声を聞く」というのは、マーケティングの王道である。

このステップでは市場調査がメインの話になっています。

この記事で紹介した本でも同じように、マーケティングと市場調査はどちらも欠けてはならないものだと書かれています。

マーケティングが脳なら、市場調査は目や耳、鼻だと。

集める情報は「セカンダリデータ」と「プライマリデータ」の2つです。

セカンダリデータは既存のデータなので、既にWebや過去の資料から得られます。プライマリデータはその時初めて得られるデータなので調査が必須です。

プライマリデータを集めるには、基本的には「定量リサーチ」「定性リサーチ」の方法があります。

定量リサーチは街頭インタビューやWebアンケートなど、いろんな方法がありますが、必ず回答者にバイアスがかかるので、しっかりと「インサイト」を意識して取り組むことを忘れないようにします。

順番としてですが、まずはセカンダリデータを集め、有識者にインタビューをする事で、どのようなプライマリデータが必要かを見極めます。

その後、定量リサーチで集めたアンケートなどから、当てはまる人を集めて、インタビューやグループインタビューをし、専門家から意見をもらうなどしてリサーチしていきます。

そうすることで、仮説がより具体的になっていき、コンセプトのレベルが上がっていきます。

経営者は大きな資本や労力を投資するわけですし、絶対に裏付けとなるデータが欲しいと思うし、そうでないと危なくて新規事業をGoできないよなと思いました。


ステップ4 ベンチマーキング分析&ベストプラクティスを実施する

自社と競合他社の距離感を客観的に把握するための「ベンチマーキング分析」と、他業界の優れた部分を「いいとこ取り」するための「ベストプラクティス」の2つを行う。同業界の直接競合する企業を分析・研究するのがベンチマーキング、他業界の企業の優れた点を分析・研究するのがベストプラクティスと覚えておくとわかりやすい。

価格力、ブランド力、商品力、プロモーション力、品質力、購買力、チャネル力など、比較する企業2~3社を選んでそれぞれ10点満点で評価し、比べます。

簡単に言うと、ベンチマーケティングで競合との違いを明らかにして、差別的優位性を見つけます。

そして、ベストプラクティスで他業界から優れた仕組みや仕掛けを引っ張ってきて、自社流にアレンジするのです。


僕は、新規事業を生み出すことはアイデアマンがやることだと思う部分が大きかったです。

この本を読むと、ゼロから全く新しいものを生み出すと言っても、こういった過程を踏んでいくことで、見えてくるものがありそうだなと思いました。


ステップ5 ドメインを決定する

ドメインとは「領域」のことで、事業企画であれば事業領域のことを指す。商品企画の場合は、商品領域のことだが、「商品カテゴリー」とか、「商品群カテゴリー」と言ったほうが一般的かもしれない。

繰り返し書かれているのが、ブルーオーシャンを見つけろと言うことです。

例えば、iPhoneは最初、音楽が聞けて、インターネットが使えて、電話もできると言うドメインで発売されました。

既存の軸で考えるのではなく、新しい軸で空白のスペースを見つける事でブルーオーシャンは生まれるのです。

それは「ドメインロードマップ」を書くと見つかりやすいです。

これは「過去から学び、現在の事業や商品の重要性が説明できるのか」「どういった事業展開をしてくのか。未来の事業の方向性が示せているのか」をハッキリさせるものです。

そこにストーリー性がある事が大切です。


これはすごく深いなあと個人的には思いました。

人生も過去から学び、現在に繋がり、未来はどんな展開をしていき、何を達成するのか。とても大切な事だと思います。


ステップ6 市場規模を算定する

企画を判断する経営者や経営幹部、投資家などは、必ず市場規模を聞いてくる。なぜなら、投資をする以上、どれくらいのリターンがあるかは重要なポイントだからだ。どれだけ投資するのか、それだけ投資する価値があるのかを判断するためには、市場規模がどうしても必要なのだ。市場規模は、売上や利益の計画(目標)を立てるための前提ともなる。たとえば、市場規模が100億円あるとすると、1年後に市場の5パーセントのシェアをとれば、売上が5億円になり、利益がいくらになり、単価がいくらだから、販売個数がいくつで、それらを生産するための工場はどこで、原料はいつまでにどれだけ必要で……といったように市場規模から事業計画が細かく立てられていく。

この、市場規模についてはよく考えた事がなかったので、すごく新鮮な知識だったし、勉強したいと思いました。

よくよく考えると、どれくらいの市場規模の事業なのかで、売上のアッパーも決まってくるし、予測もつきやすいですよね。

ただ、注意点としては、確実なデータではなく、あくまで予測だということです。

また、これも本質的なところなのですが、そのデータがどのように数字、データを元に計算され、どのように導かれたのかがロジカルに説明できる事が重要です。じゃないと根拠ないので信用できないですよね。

いろんな角度から、いろんなデータから市場規模を計算し、少しずつ信頼度の高い数字に持っていくのは、確率思考の戦略論にも書いてありました。

確率を上げていくんですね。


ステップ7 ビジネス・ビジョンを設定する

ビジネス・ビジョンは、「ビジネス理念」「定量目標」「定性目標」の3つに分けて考えるといいだろう。この3つはそれぞれお互いに関連しており、企画書のフォーマットを見てもらうとわかるとおり三角形の関係だ。

ビジネス理念では、市場や社会にとってどんな価値があるのかを示します。

定量目標では、言葉通り、売上や利益、販売個数、顧客数など、これまでのステップから計算される具体的な数字を持って示します。

定性目標では、「3年後には市場におけるポジショニングでリーダーとなる」や「どんなブランディング、差別的優位性を構築したいのか」などを具体的に言葉にして表現します。

ここまでくると、練ってきたビジネスプランを人に伝え、共感してもらい、仲間を増やしていく事ができると思いました。

熱量に加え、ロジカルな根拠を元に説明できてこそ、人をやる気にできるのです。


ステップ8 ビジネス戦略体系を構築する

商品企画・事業企画の10のステップの中で、最も重要なステップだと言っても過言ではない。なぜなら、どんな商品をつくるか、事業をやるかも大事だが、やはり一番大事なのは、本当に実現できるのか、本当に競合に勝てるのか、だからだ。ステップ7までが、どんなによく考えられて企画されていたとしても、戦略体系がしっかりと構築できないと、その商品や事業は決してビジネスとしてうまくいかない。

引用文を見る通り、現実は甘くないぞと言われているような厳しいお言葉が書かれています。笑

どう戦略体系を構築するのか?

まずは、基本戦略となる「戦略オプション」を3つ考えます。

その中から、チームで議論を重ねて、1つを選びます

(残り2つはボツになるわけではなく、その事業の段階によってはそちらにシフトしたりもできるので無駄ではありません。また、エリア別に違う戦略を選ぶ事も可能です)

戦略オプションの評価項目としては、「収益性分析」「ミッション/コア・コンピタンスマッチング分析」「ブランドポジション分析」などが考えられる。

3つ立てた戦略を引用文にある3つの視点で比較し、議論します。

収益性分析は言葉通り、どれくらいの売上規模で、利益額が望めて、どの程度投資するのかを分析します。それぞれのプランを表で並べ、大、中、小で評価すると分かりやすいです。

ミッション/コア・コンピタンスマッチング分析では、企業のミッション(使命)やビジョンとの適合度と、コア・コンピタンスである技術力や営業力といった企業の強みの活用度を分析する。

ミッション/コア・コンピタンスマッチング分析で、2つの適合度と活用度が高い戦略ほど、やる価値があると判断できます。

ブランドポジション分析は、その戦略を実行する事で、企業のブランドポジションがどのように変化するのかを分析するものです。


こんなレベルでの議論を意識してした事がないので、もっと頭使って日頃から考えてみようと思いました。😂


ステップ9 ビジネス戦略をアクションに落とし込む

ここのパートで強く言われているのが、「失敗したら、どこがダメだったかを考え、また基本に戻り、新しい行動を起こす」という事です。

ここまで練っても、言えば机上の妄想であるプランを実行して初めて分かってくる差異や事実があります。

そこでまた、ステップ1に戻る事になる場合も珍しくないそうです。ステップ1~10を2~3回転する事でようやく優れたビジネスプランは生まれるのだと。

また、そのアクションが、ビジョンや目標、戦略と一貫したものである事も重要です。ストーリーが大切なのです。

「個別戦略」→「戦略方針」→「施策」

と徐々に分解していくツリーでアクションプランを作ります。

お馴染みの、もれなくダブりなくのやつです。笑

アクションを起こす人たちがしっかりと根っこまで理解できている事も大切ですし、その人たちが戦略をブラッシュアップしていく事になります。

また、戦略はとんがっている事も必要です。

やるべき事を決め、やらない事を決める。

経営資産を分散してシェアを取れるほどの資本力もないですし、新しい価値を見出すとは、やらない事を決めるという事でもあると思います。


ステップ10 事業収支と事業評価を想定する

この部分は、僕が簿記を勉強していた事もあり、一番内容が入ってきやすかったです。

ただ、今まで死ぬほど勉強してきた簿記の部分は最後に出てくるんだなあと、勉強する領域の広さに圧倒された感覚でした。笑

最終的には、事業をやるなら儲かることは必須ですよね。

「何年後に投資金額を回収し、黒字転換するのか。」「その事業収支、B/S、P/L、キャッシュフローの数字は根拠があるものか。」「売上や利益は、あまりに現実的に小さすぎず、意欲の湧く数字になっているか。」

投資家や経営者はここをしっかりとみます。

でも、ここの数字の根拠はステップ9までの市場調査や分析によって示す事ができる部分です。

本当に最後の最後、その事業のお金を分かりやすく、見えるものにするのがこのステップ。ここで収支が示せなければ、またステップを戻す事になります。


3,最後に

まだまだ理解できていない事ばかりです。

確率思考の戦略論でも、市場調査は特に難しいイメージを持ちました。ここは一度組織で学んでみたいところです。

情熱のあるビジネスプランを根拠のある形で作成する。そんなシナリオがこの本には書かれています。

難しいな、ここの専門性は欠けるなと思う部分はありますが、そこは専門性のある方と組み、やっていけばいい話。

自分は舵が切れればいい。

そんな気がしました。

ビジネスプランを作成するのは、かなりの時間と資本がかかるんだなと思いました。(どの程度の規模かにもよりますが)

やっぱりやりきるにはそれ相応の気持ちの強さが必要だなと、少し緊張が走ります。少しずつ成長していきたいです。


今回も最後まで読んで頂いた方、有難うございました😄

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