私たちのコーヒーができるまで「生産処理編」
こんにちは。品質管理部の佐藤です。
今回はWOODBERRY COFFEE FAIRTRADE PROJECTについての第3弾です。
前回の記事からGuatemalaのMy Farm契約についての投稿をしています。
実際に農園に足を運び、コーヒーチェリーをピッキングから生産処理場までの運搬まで、実際の収穫体験をさせてもらいました。
今回は美味しいコーヒーを作るための要である、「生産処理」についてお話しします。
コーヒーの生産処理とは
まずはコーヒーの生産処理とは何か、という話をさせていただきます。
生産処理とは簡単に言うと「コーヒーチェリーから種(コーヒー豆)を取り出し、種の水分値が11%程度になるまで乾燥させる工程」を言います。
生産処理には大きく分けて3つの方法があります。
大別すると、コーヒーの種子(いわゆるコーヒー豆)の周りに果肉由来の成分がどれだけ残っているか=コーヒーの種子の外部環境に違いが生じていることが条件がお判りいただけると思います。
ここでコーヒーの味わいを決める大きな要素として"発酵"があります。
実はコーヒーも、この生産処理の工程で、自然に存在する微生物のはたらきにより発酵が生じており、ここでどのような外部環境を与えてあげるか(つまり、どのような生産処理を施すか)で、発酵の強度や時間が変わり、味わいに変化が出てきくるのです。
イメージしやすいところですと、お茶などは同じチャノキの葉を用いていても、発酵の仕方により、紅茶、烏龍茶、緑茶に味わいが変化します。また同じ大豆の発酵でも環境が異なれば醤油になるし、味噌になるし、納豆にもなりますよね?
コーヒーにも同じようなことが言えて、発酵の環境で味わいに大きな違いが出てきます。柑橘のような風味になったり、ストロベリーのような風味になったり、時には味噌のような風味になったり。
同じ産地、極端に言えば同じコーヒーの木から収穫されたコーヒーでも、この生産処理が異なれば、それぞれ異なった味わいを呈します。発酵はコーヒーの味を決める重要な要素と言っても過言ではありません。
面白いですよね!
これほど重要な生産処理、私たちが選択した生産処理は以下の4種類です。
Honey、Naturalについては上記で簡単に説明しましたので、以下ではAnaerobicに関して生産処理の内容を詳しく書いていきます。
Anaerobic Fermentationとは
今までお話ししてきた通り、発酵はコーヒーの味わいに大きな影響を与えます。
Anaerobic Fermentation(アナエロビックファーメンテーション)、直訳して嫌気性発酵となりますが、これは通常の生産処理の前に意図的・人為的に発酵の工程を行ってしまおう!というプロセスです。どのような発酵条件にするのかで、少しずつ呼び名が変化していくのですが複雑なので今回は割愛させていただきます。(いつかnoteに投稿しますね)
Anaerobic Fermentationでは密閉性のタンクに収穫したコーヒーチェリーを入れて発酵を行います。タンクに積み重ね入れたコーヒーチェリーは自重で潰れることで、タンク内に果汁が溜まっていきます。この果汁が果皮や空気中の酵母と接触し、密閉タンク内で高濃度の二酸化炭素を生成していきます。これにより酸素が押し出され嫌気性発酵へと移行していきます。
この二酸化炭素に富む環境ではフェノールの一部が抽出され、ベリーやチェリー、バナナのようなフレーバーが作られます。反対にタンニンは抽出されにくく、渋みや苦みを抑える効果が期待できます。
しかし、発酵しすぎてしまうと味噌のようなフレーバーが出てきてせっかくのフルーティーなフレーバーを隠してしまいます。さらにはレスクリーンな印象になってしまうこともあります。
今回はこのAnaerobicの工程を事前に取り入れた生産処理を行なった、NaturalとWashedの2ロットを作成しました。この2つのロットでは発酵の度合いを変えています。
①Anaerobic Wash
Anaerobic Washは乾燥工程で発酵が進みづらく(後述)、発酵によるフレーバーの恩恵が受けにくいです。なので発酵工程でしっかりと発酵させることで明確な酸味の生成を促し、綺麗で明るい、明確な酸味を持ったコーヒーを目指しました。
②Anaerobic Natural
Anaerobic Naturalは乾燥工程での発酵によるフレーバーの恩恵が受けやすいです。しかし、過剰に発酵時間を取ってしまうと、せっかくのフルーティーなフレーバーが隠れてしまったり、綺麗な味わいを損ねてしまったりしやすい乾燥工程でもあります。
今回は発酵工程を軽めに終えることで、フルーティーなフレーバーを増強しつつも綺麗な味わいを持ったコーヒーを目指しました。
乾燥方法について
ここまでの工程が、発酵を始める前の環境設定(果肉をどれくらい残すかなど)とすると、乾燥工程ではそれらをどのように発酵させたいかを選択する最終工程になります。
今回すべての生産処理において、アフリカンベッドによる日陰乾燥を採用しました。アフリカンベッドとは乾燥台の種類のひとつで高床式のネットの乾燥台のことです。
なぜアフリカンベッドによる日陰乾燥を選択したかというと、乾燥を均一に進め、なおかつ長時間行いたかったからです。そうすることで品質にばらつきを防ぎ、奥行きのある綺麗な味わいを目指しました。
私たちの滞在期間中では、この乾燥工程を仕掛けたところまでの立ち合いとなり、以降の工程(乾燥の終了~袋詰め)はGOOD COFFEE FARMSのメンバーに託して農園を後にしました。
こちらの独自のプロセスを施したロットは、2022年の秋ごろに日本に到着予定です。どうぞお楽しみにしていてください!私たちも出来栄えをとても楽しみにしています!
また今回キックオフしたMy Farm契約は、10年間の継続した取り組みとなっています。今年の結果をもとに来年、来年の結果をもとに再来年と年を重ねるごとにより良いコーヒーになっていくことを目指して活動を続けていきます。
ぜひ10年後のコーヒーも楽しみにしていてください。
さいごに
公式noteをご覧いただきありがとうございました。
SNSでも様々な情報発信をしていますのでぜひチェックしてみてください。
Please have a wonderful day :)
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