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ウィ、シェフ!


自己主張が強すぎる女性料理人(オドレイ・ラミー)は、その性格が災いして勤め先のレストランをクビになってしまう。次に働くことになったのは、未成年移民の自立支援施設。最初は渋々ながら勤め始めた彼女だが、少年たちに料理を教えるうちに、彼らとの交流を深めていく……というコメディ。

原題の"La Brigade"は警察や軍隊の「小隊」を指す。同時に、料理長が自分の「チーム」を指す言葉でもあるという。バラバラだった少年たちは、料理を通して「チーム」として結束を固めていく。同時に主人公も、自己主張だけでなくチームワークを学んで成長していく……という物語なのだ。

「ウィ、シェフ!」はレストランの厨房でスタッフが料理長に答える決まり文句。最初は反抗的だった少年たちも、いつしか彼女の指令に「ウィ、シェフ!」と声を合わせて返答し、調理作業に没頭するようになっていく。

一人で入国した未成年の移民は、職業適格証がとれなければ強制送還されてしまう。だが調理師になれれば自立することが可能だ。南仏に実在する、そのための料理学校が本作のモデルだという。

こうした未成年移民という社会問題に斬り込みつつも、それにとどまらず、「食」とは人生の記憶そのものであり、人と人をつなぐ愛に満ちたコミュニケーションであることも教えてくれる作品だ。

劇中でシェフが少年たちに宣言する「厨房では国籍も宗教も人種も性別も関係ない!」という言葉には、観ているこちらも心の中で「ウィ、シェフ!」と叫び返した。

(2023.5.12)
http://www.wonosatoru.com


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