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バービー


とにかくキラッキラした世界観が映画! インテリアや衣装の細部まで小ネタ満載。画面の細部に至るまで情報量が多すぎて、あちこちに皮肉が効いていて、読みきれなかったのでもう1回観たい。

女子の世界「バービーランド」を乗っ取った男子の国が「ケンダム」("kingdom=王国"のもじり)なのも笑えた。

ケンダムのあちこちに「馬」が飾られているのも馬鹿っぽい

バービーたちが逆転のため男たちの気を惹いて時間稼ぎする策略として、「photoshopの使い方を訊くと延々としゃべって止まらなくなる」とか「映画"ゴッドファーザー"について質問すると話が止まらなくなる」とか「海岸の焚き火の横で、ギター片手に歌を歌わせたら何時間も止まらなくなる」とか…… 男心の馬鹿度を心得ていて爆笑。

女子が聴いてくれている限り、4時間でも歌い続けるのが男という生き物

物語は、今の現実社会を裏返しにしたユートピア(女性が主役のバービーランド)で始まるが、ディストピア(男性が全てを仕切っている今の社会そのもの)に裏返ってしまったので、再びユートピアを取り戻そう!と女たちが闘うことになる。

中盤、グロリア(アメリカ・フェレーラ)が、今の現実社会で「女性はこうあるべき」と課せられている数々の”呪い”をまくしたてるスピーチが圧巻。

女でいるのって本当に大変。

やせなきゃダメだけど、やせすぎちゃダメ。
お金は持たなきゃダメだけど、お金を欲しがっちゃダメ。
上司にならなきゃダメだけど、意地悪になっちゃダメ。
リーダーにならなきゃダメだけど、他人の意見を否定しちゃダメ。
母親業は楽しまなきゃダメだけど、子供の話はしちゃダメ。
仕事もしながら、周りの世話もしなきゃダメ。
男の悪さには耐えなきゃダメ。
そんなの非常識だと言うと、うるさい女だと非難される。
男のために美しくならなきゃダメだけど、男を惹きつけすぎたり他の女性を脅やかすほど美しくなっちゃダメ。

老けちゃダメ。失礼じゃダメ。目立っちゃダメ。わがままじゃダメ。転んじゃダメ。失敗しちゃダメ。恐がっちゃダメ。勝手な事しちゃダメ。

難しすぎ! 矛盾しすぎだし、誰もあなたにメダルをくれるわけでも、感謝してくれるわけでもない! 何も間違えてないのに、全部あなたのせいにされる。

私にしても他の全女性にしても、他人に好かれるために自分を縛りつけているのを見るのは、もううんざり。そしてこの話が全て、女性を象徴する人形という存在にも当てはまるとしたら、わけがわからないとしか言いようがない。

英語台詞から. ヲノサトル訳(一部略)

バービーとその仲間は、この「女性にかけられた呪い」をそれぞれ自覚することで洗脳を自ら解くことになり、事態は収束に向かう。

とはいえ単純な逆転劇では終わらず、男がエラいとか女がエライといった「二項対立」こそを超えていくべきなんじゃないか?と最終的には問いかけてくるところが奥深い。「未来は自分で作り出そう」という前向きなメッセージを受け止めた。


(2023.8.25)
http://www.wonosatoru.com

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