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村田さんのエッセイ

先日紹介した村田沙耶香さんのエッセイがとっても良かったので、他のエッセイも立て続けに合計3冊読んでみました。

ちなみに先日のはこちら。

今回読んだのは『となりの脳世界』と『私が食べた本』という本でした。


『となりの脳世界』- 著者:村田沙耶香さん

私は偶然、この文庫たちを出版された時系列順で読みました。本に埋め込まれた村田さんの様々な所感にしても、この激動だった比較的最近の数年時を経たことを感じる内容もあり、現代作家さんならではの親近感を感じました。ああ、私はこの作家さんと一緒の時代、今を生きているんだなあ、と。

図ってか図らずかエッセイ同士もリンクしている部分もあって(あのパジャマがああなる前の話とか)、また前のエッセイも読みたくなってしまう。そして普段の村田さんの思考や行動が相変わらず(ほんの1冊読んだだけでこんな分かったようなことを言うのもおこがましいのだけれど)とてもキュートだったり不思議だったり何とも魅力的。

『きれいなシワの作り方』は完全なるエッセイという感じでした。しかし、本作では創作と現実が入り混じったような不思議な回もいくつかあったり、村田さんの小説とは一線を画したあっけらかんとした内容に安心して読んでいたら不意にドキッとさせられる一言が混ざっていたりと、より村田さんの小説に近い作風にまとまっていました。

『私が食べた本』- 著者:村田沙耶香さん

こちらの本。最初の数行を読んだだけで、圧倒されて息を呑む思いでした。タイトルの通り、村田さんが最近十数年の間に読まれた本の書評をまとめたエッセイなのですが、これが本当に凄い…としか言いようがないのです。

村田さんの書評はどれもこれも、もの凄い力を持っていて完全に引き込まれてしまいました。書評って平たく言えば読書感想文とほぼ等しいと思っているのですが、「本を読んで思ったこと感じたことを書く」という、まさに今私がやっているのと同じことが成されているはずなのに、たった一行も、いや一文すら、私には到底書けないどころか発想することもできない表現ばかりがぎっしり詰まっている。

一つ一つは確かに書評のはずなのに、まるで別個の小説を読んでいるような錯覚すら覚えました。生粋のプロの作家さんが本を読むと、こんな文章が新たに生まれるのか、と、ただひたすら驚嘆し畏敬の念を抱きます。いくらど素人とはいえ、あまりにもクオリティーが違いすぎて、私、こんなところに拙い読書感想文をアップするのも恥ずかしくなってくる…(と言いながらたぶんこれからも続けるけれど笑)。

村田さんの書評に込められた熱量が凄すぎて、そしてどのエッセイを通してもずっと、村田さんの本や小説という存在への並々ならぬ愛情が溢れていて。『私が食べた本』を読むと、紹介されているたくさんの本がどうしても読みたくなってしまう。こんなにたくさん紹介されているのに、恥ずかしながら私は見事に1冊も、読んだと言えるレベルで読んだことのある本が無かった…(同じ作家さんの違う作品や違う章は読んだことがある、というのはあったけれど)!うう、読みたい!すぐ読みたいぞ!

中には、書評を読むだけでも私にはまず読みこなせないであろう本も散見されたので、ひとまずそこはハードルを下げて気になるタイトルだけスマホにメモしたけど…それでもなかなかの冊数になりました。

これ、読んだらまた、村田さんはそういえばどんな書評だったかな?ってきっとまたこの本に戻ってくるでしょう。そうしたらまた、他のエッセイも読みたくなったり、登場した仲の良い作家さんたちの作品や村田さんのほかの作品にも手を広げたくなったり。。。

うん、完全に、読書沼だ…!!助けて!いや、もうダメだ!!こうなったら皆ではまりましょう!!笑

失礼だったら申し訳ないのだけれど

書こうかどうか最後まで迷っていたことが、ひとつ。
小説家に「小説よりもエッセイの方が好き」と言ってしまうのは、歌手に「歌よりもMCの方が好き」と言うのと同じで、失礼にあたってしまうのではないかな。。。と、悩みました。

でも実際、ある歌手のライブに行った時、このアーティストの歌は今までもこれからも大好きだけど、MCが素晴らしくて人間的な魅力はむしろそっちで感じた!という経験があり。

村田さんはエッセイ中でも「変な小説を書いている」とご自身が自称されていらっしゃるようだし(その記載のある喫茶店でのエピソードがまたクスクス笑えちゃうのでぜひ読んでみて頂きたい…笑)、同じ作家さんでも一つ一つの作品の印象や受け取り方は違ったりそれもまた流動性のあるものだったりするし、そういう意味での読者との相性というのはあると思います。現に私はこれまで、村田さんの小説としての作品を完全に読みこなせた自信はありません(まだ2作品しか読んだことないし)。

でも、今回立て続けにエッセイを拝読したことで、いち人間として女性としての体温のある村田沙耶香さんという方が、いかに自然に、そして真摯に、小説というものに向き合っていらっしゃるかというその本気や、村田さんにとっての小説がどんな存在かを垣間見れることによって、村田さんその人がさらに奥深く魅力的に感じられたんです。

だからきっと、これから私はこんなことを書きつつ村田さんのほかの著作も読んでみるんだと思います。なぜなら、このエッセイにあった読書にまつわる概念にハッとしたからです。それは…
…っと!!長くなってきたから、今回は一旦この辺で止めておいて、また続き書きます!たぶん!


ここのところnoteを開く時間的余裕がなかったので、ほかの方の記事が全然読めていなかったのですが、のんびり楽しませて頂きますね^^

追記: この記事の続き、ここに書きました↓


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