『大人の友情』ってなんだろう
お、河合隼雄さんだ、とひょいっと目に入って読んだ1冊。河合隼雄さんの著作を読むのは2冊目でした。そんな浅い経験の中でだけれど、たぶん、ヨシタケシンスケさんの著作が好きな人は、河合隼雄さんの著作も好きなんじゃないだろうか、と勝手に思う。
河合さんは、臨床心理学者・心理療法家。ヨシタケさんは、イラストレーター・絵本作家。どちらも、著作も多数で有名な方。でも、理想の境地のような完璧な場所(そんなもの本当は存在しない、たぶん)から格言を人々に伝える、みたいな偉そうな雰囲気は、少なくとも私は全く感じません。
河合さんもヨシタケさんも、底抜けのポジティブを推すのではなく、ご自身を含め人のネガティブな部分や心の闇もないがしろにしないで、認めて、見つめて、考えて。その上で、実は物事って色んな見方があるのかも、どんな現状も思っていたよりは悪くないかも知れない、自分の足で立ち上がってみようかな、またちょっぴり前を向いてみようかな、という気持ちが静かに、でも読む前よりも確実に湧いてくる感じの著作ばかりです。(いや、河合さんの本は2冊しか読んでないんだけども笑)
今回手に取ってみたのはこちら。
『大人の友情』- 著者:河合隼雄さん
…はあ、友情を改めて真剣に考えるだなんて、思春期の頃に色々と超真剣にごにゃごにゃ考えていた頃を思い出します。いやぁこっ恥ずかしい笑。とは言え、人生において少なくとも一時期は、そして必要に応じて折に触れ、真剣に自分なりに考えてみることは大切だと思います。
でもこれ、思春期向けの本ではありません。だって「大人の」って書いてある。
目次はこんな感じです。
どうでしょう。何だかこそばゆいでしょう。でも、実は気になるところも色々ありませんか。
そこそこいい歳になって、世間的にはとっくに大人とみなされ、仕事やら子育てやら日々の生活を送るのに手一杯の日々で。これまで確固としたものと信じていた関係性が良くも悪くも違う形になっていくこともあれば、何気ない関係性にいつの間にか強い信頼が築かれることもあったり。
そんな変遷の中でも、変わらない何かに支えられたり。
友情って、友達って何だろう、と改めてちょっと立ち止まって真面目に考えてみることは、ルーティーン化された日常や、当たり前だと思っていた関係性や毎日に、いつもと少し違った色彩を与えてくれます。思い出すだけで苦い気持ちになる出来事もあれば、ちょっと思い浮かべるだけでも心がじんわり暖かくなる関係性もある。
200ページも無い薄い文庫でサラッと読めちゃうこの本(そう言えば以前に読んだ著作もそのぐらいだったかな)。敢えて大人(と言われる年齢)になってから、現在進行形のものだけでなく、10代の時よりは様々な経験を経た上で読むのも、なかなか味わい深いもんだな、と思いました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?