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『ふくわらい』のギャップ物語

本はマイペースながら引き続き読んでいますが、noteに紹介してみるかどうかは気の向くままに風まかせ。読んだものを全てここにまとめているわけでもなく、あれも読んだけどどうしよっかなー、というのが間に実はけっこうあったりもします。しかも書いたとしても、オススメとは限らない。とにかく書いてみたくなったら書く。

そんなゆる〜いスタンスでやっておりますが、読んでくださってありがとうございます^ ^
私も色んな人の感想を読んでは、まるで読書会に参加したみたいに(実際は一度もしたことないけど)日々楽しんでいます。

さて最近は、先日紹介した村田沙耶香さんのエッセイ『私が食べた本』に派生して、そこに載っていた本たちも色々と読んでいます。
村田さんのエッセイについての記事は、こちらの二連にあります。

今回気になったのは、『私が食べた本』の巻末近くにある村田さんのエッセイで、かなりのインパクトを伴って登場されていた西加奈子さん。何が衝撃的って、村田さん、そのエッセイを書かれた当時までに「西加奈子と仲良くするのをやめろ」と、直接3回も別々の人たちから言われたことがあるそうで。ええ!?どゆこと!?と思う方はぜひエッセイ本編を読んで頂くとして。

西加奈子さん、お名前はよく見かけるけれど、これまた私は一度も読んだことのない作家さんでした。代表作が何かも調べずに、手頃な厚さの本を古本屋さんで見つけたので買ってみました。はい、今回も御多分に洩れず、著者名とタイトルしか分からないままスタート!柔らかな、懐かしさも伴うタイトルです。

『ふくわらい』- 著者:西加奈子さん


全然「ほのぼの」ちゃう!

きっと、ある女の子が幼少期に福笑いで遊んだ楽しい思い出を胸に成長していくほのぼのストーリーかな?なんてうっすら予想していたら。。。
ええと、では、ネタバレのないように、ストーリーを追っていく私の心の感嘆詞だけ順に並べてみましょうか。

ほうほう
ん?
んんん??
どうやら、様子がおかしいぞ。
むむむむむ
うへえ!?
ぐへえええ
うえええええ
私は一体何を読まされているんだ。。。
あれ。。。
いや、そうきたか
ははあ
なるほどなあ
って、なんでやねん!!
ははあああぁぁそうなるかぁぁ

てなもんでしょうか。
…はい!伝わったでしょうか!(んなあほな…!!)
いやいや、作家さんや作品が変わるだけで、同じ言葉を使っているはずなのに、こんなにも世界観とはガラッと変わるものなのか。
そう、言葉。全部言葉なんだよな、小説なんて。なのに表現のバリエーションは無限大。本って、言葉って、改めて不思議。

敢えて一言で言えば

こんなに自由に書けるスペースがあるのだから、感想を敢えて一言でまとめようとなんてしなくていいと思うんですが、今回、読みながらも、読み終わった直後も、どうにもこうにもこの一言がくっきりと頭に浮かんできたので敢えて書いてみようと思います。それは

weird

カタカナで書くならウィアード?いやいやカッコつけないで日本語でやれや!って自分でも突っ込みたくなったのだけれど、別にそんなつもりではなくて。
要は「奇妙」ということなんだけれど、それだけじゃ足りない。
奇妙で、風変わりで、不気味で、でも神秘的で超自然的な物語だなあと思ったんです。これを一言で表せるのが、まさにこの単語というわけで。

It was a very weird story.
でした。
そしてこれだけは忠告。
Zettai ni oshokuji doki ni wa yomanai koto wo tsuyoku osusume shimasu…!!!

言葉や目に見えないものについて

良くも悪くも、何ともクセが強いお話でした。好みはすんごく分かれる気がします。私は、合う合わないで言ったらたぶん合わないし、好きかどうかで言ったらたぶん好きじゃあないのだけど。でも、言葉について、目に見えるものについて、生き方について、案外読み終わってからじわじわと考えさせられる作品でした。

思考も行動もぶっ飛んだ、一癖も二癖も、いや百癖ぐらいはありそうなかなり濃ゆい登場人物だらけでしたが、読み進めているうちに、ああ、この人の言ってること、すごくよく分かる、という瞬間がいつの間にか増えて来て。抜粋したいけどそこはネタバレになっちゃいそうなので、敢えて書かないでおくけれど。

このsuper weirdな登場人物たちのおかげで私は、言葉の力、言葉の限界、言葉と共に生きること、他者と関わることについて、自分なりの考えをこれからもっと深めていけたらいいな、と思いました。

「物語であることでしか命を持ちえない作品」

P.298 解説(上橋菜穂子さん)より

そう、これはぜひフィクションであってほしい。というかフィクションじゃないと嫌だ。。でも、フィクションだからこそできること、それが物語であり、小説であり、文字しかない紙の中で広がる無限の世界観なんだな。

weirdな異世界に漂ってみたい人にはおすすめかもしれません。
だがしかし、もう一度言いますが、
絶対に、お食事時には読まないことを強くお勧めします…!!

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