鬼の通り道

鬼は外！
あいててて

乱暴に豆を投げやがって
ただ散歩してただけなのに

ここの家は悪い子が誰もいないから
来るつもりもなかったが

楽しそうに豆をなげてきやがる
なんだ？あの面をかぶったやつは？
おれよりかっこいいじゃないか
足も長いし、やせてるし、そんな鬼はどこにもいねーぜ

しょうがないな
福の種をこっそり蒔いておいてやろう
ちゃんと育てんだぞ
来年、またこの道を通るからな

やれやれ　ここの家は今年も喧嘩か
どうしてこうも仲が悪い
昨年　笑いの種を蒔いておいてやったのに
怒りですぐに枯らしてしまいやがって

俺らの好物がいっぱいだ
そのうち　一番の悪餓鬼がこの家に入ることだろうよ

ここの家はばあさん一人か。
運が悪いな、ばあさん。
先着の鬼は家族に退治してもらうがいいさ。
早く家族が来てくれるといいな。

おっ　ここの家は真っ暗だ
なんだ　子どもが一人でいるじゃねーか
親はどうしたんだ
豆まきしねーのか

しょうがねーな
俺がしばらく一緒にいてやるよ

インスタントフィクションとは自由な発想と気軽なノリで書かれた文章、読書しない人でも遊び感覚で挑戦する。原稿用紙1枚＝400字の中で表現、自分の思う「面白い」を入れるのがルール。

youtubeピース又吉直樹「渦」より

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今日は何となく気分が乗ったから、インスタントフィクション作ってみた。
昨日、ちゃんと豆まきしたぞー
実家の母から電話が来て「豆まきをちゃんとしなさい」「季節の行事をあなどったらいかん！」「厄払いをせんといけんよ」「ちゃんとそっちにも福が来るように」とのことだった。
かあちゃん、ありがとう。

鬼はこっそり逃げていきました。