新刊「サシノミ」のこと
最近ずっと更新出来ずにおりました…実は新型コロナウイルスに感染してしまいまして、臥せっておりました。不摂生が祟ったのかもしれないです。いや、日頃の行いが悪いからバチが当たったのかも…まぁ、なんにせよ40℃も熱が出ると本当にしんどいですね。節々が痛いし、フラフラするし、ごはんも食べられないし。失って初めて有り難みが分かるのはやはり健康ですね。お陰様で今は最悪期を抜けて少しずつ動けるようになったのですが、もう二度とこんな経験はしたくありません。世間ではインフルエンザも流行っているようなので皆様も体調にはくれぐれもお気をつけくださいませ。
さて、本題です。大晦日にコミックマーケットに参加します。そこで発表する新刊「サシノミ」を入稿しました。A5、P84、6万字超え。コロナのせいで予定よりも大分文量が少なくなってしまいましたが、濃い内容のものが作れたと思います。
表紙はちゃーりーさんに作ってもらいました。ありがとうございます。
サシノミとは何か。本書冒頭の「はじめに」の部分を引用します。
クラフトビール一つを取っても人々は別々のものを思い描いています。何が共通していて、何が違っているか。どこかから見るとどう見えるか。そういうことに注目していくと、私にとってだけでなくて、もうちょっとだけ客観的と言うか厚みを持ったクラフトビールなるものが描き出せるのではないかと思うのです。そのためには乾杯をし、語り合わねばなりません。
今回最初の乾杯相手は元祖ファントムブルワリー・ガージェリーの生みの親であるビアスタイル21代表取締役社長・別所弘章さん。その成り立ちやコントラクトブルーイングというビジネスモデルの構築について詳しく伺っています。クラフトビールを仕事にしている方、これからそうしたい方は是非お読み下さい。必ずや発見があると思います。また、クラフトビールビジネスにおける要諦やブランディング、特にリブランドの手法や考え方についても伺いました。90年代半ばに創業したブルワリーは設備も大分古くなっていていますし、マーケットのトレンドがアメリカンに大分寄っている昨今、ビジネスモデルの変革やリブランドは避けては通れぬ問題となっています。後継者問題等も含めて、クラフトビールビジネス以外でも大いに参考になると思います。
2組目は今や日本一と誰もが認めるけやきひろばビール祭りの責任者である鈴木一紀さん、中村薫子さんにお話を伺いました。けやきひろばビール祭りの始まりから、転機となったこと、規模拡大の流れだけでなく、2009年からクラフトビールシーンをけやきひろばという場で定点観測してきた立場から様々なことをお話して頂きました。時間をかけて見てきたからこその視点があって、非常に為になりました。ビール祭りの持続可能性も今後確実に重視されるものになりますので、出店者のみならず参加者の皆様にも是非知って頂けたらと思います。
以下、目次です。
12月30日はJR大崎駅南口前で開催される「おもしろ同人誌バザール大崎」に参加します。31日発行ということになっていますが、実際はここで新刊はお披露目となります。入場料等はかからない無料の青空イベントなのでお気軽にお立ち寄り下さい。もちろん初日のコミックマーケット帰りの方も是非。お昼の12時から始まり、17時くらいに終わります。
また、12月31日の大晦日は東京ビッグサイトで開催のコミックマーケット103。「東プ47a」に配置されております。既刊含めすべて見本誌をご用意致しますのでお手に取ってご覧くださいませ。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
BASEに開設しているCRAFT DRINKSの本屋、ならびにメロンブックスでも新刊「サシノミ」の予約を受け付けております。現地にお越し頂けない方はこちらをご利用くださいませ。
さて、最後に少しだけ。
取材をし、書き起こしていく中でこの取組みの意義を改めて意識するようになりました。私個人が大事だと思った「形にして残すということ」はきっといつか役に立つだろうと確信めいた何かを今は感じます。この企画は一度で終わらせず、ライフワークとして続けて参りたいと思います。
正直に申し上げると、長く続けたいという気持ちもありますが、焦る気持ちもあります。1994年の規制改革によって地ビールが生まれたわけですが、その当時を知る師匠方がそろそろ引退し始めていて、ちゃんとお話を伺う機会が徐々に減ってきているのです。もたもたしていては取り返しの付かないことになってしまいます。誰に頼まれたわけでもないのだけれども、必要だと思われることはしっかりやろうと思います。
まだ本にはしていないけれども、すでに何人もの方と乾杯をし、お話を伺いました。毎回思うのは、私が捉えていたものはあくまでも一部であって、全てではないということです。まだまだ何も知らないのです。立場が違えば重視することも異なり、それをベースに構築されたクラフトビール観はまた異なります。嘘や間違いではなくて、それぞれが真だからこそそれを受け止めて文化の多層性を理解したいと強く思います。
一生かかっても分からないのかもしれません。でも、一生考えるに値するテーマがあるということは幸せなことでしょう。クラフトビールなるものが一体どういうものなのか、これからも乾杯と対話を通じて考えていこうと思います。肝臓も大事にしつつ、一人でも多くの方と乾杯していきたいです。次作も頑張りますのでまたお手に取って頂けたらと思います。引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
いただいたサポートは取材とやる気アップを目的にクラフトビールを購入する費用として使わせていただきます!現在amazonで拙著「クラフトビールの今とこれからを真面目に考える本」も発売中です。よろしくお願いします! https://amzn.to/2VCvMWC