スタバと思春期

高校生の頃、スタバは気になる場所だった。

地元のスタバはいつも行列だったが、絶対に並びたくなかった。スタバに並んだら負けな気がした。

メニューもよくわからないし、高いし、
なにより、並んでいるところを知り合いに見られたくなかった。
「オシャレを目指している人」みたいに思われたくなかった。

でも謎に「スタバなんてどうって事ないよ」感を漂わせていた。

思春期は謎が多い。

でも、フラペチーノを飲みたい。

都内で用事があったある日、ついに買うことに決めた。

僕の携帯の検索履歴は
「スタバ　注文の仕方」「スタバ　サイズ　名前」
「スタバ　サイズ　言い方」「スタバ　人気商品」
「スタバ　オススメ」
など、スタバの予習で埋まった。

そして、列に並びながら心の中で「トールかグランデ」と唱えた。

👩🏻「お待たせしましたー」

レジのお姉さんは元気で明るくて可愛い。
たぶん2〜3歳上だろう。

今日は私服だから、高校生だとバレたくない。
都内の大学生だと思われたい。(なぜ？)

👩🏻「こんにちは。今日はオフなんですか？」

初対面なのにこの距離感。びっくりして3秒くらい間が空いた。
、、、やばい。恥ずかしがり屋の高校生だと思われる。
なにか、、なにか、、小慣れた一言を言わなくては。

😂「あ、、、はい。暑いので。」

いや、暑いのでオフってどーゆー事だよ。
余計なこと言ったわ。

👩🏻「そうですよね。きょうはフラペチーノが人気です。
お決まりですか？」

ダメだ。完全に「こいつとは会話弾まねえわ」って思われたやつだ。業務に切り替わった、、、。
ん？でも、これでフラペチーノ頼んだら
店員さんの誘導に乗ったみたいになる？
それは悔しい気もするけどでもフラペチーノ頼みたい！

👩🏻「抹茶フラペチーノですね。サイズはどうされますか？」

悔しい。このままだとスタバ慣れした男だと思われずに終わる(？)
なにか、爪痕を残さなくては。通い慣れてる感を！

そうだ！一番大きいサイズを頼もう。
今日は暑いし、大きいサイズの方が得ってネットにも書いてあったぞ。

一番大きいサイズの名前、なんだっけ？
ネットで見たのに、なんだっけ、、、？？？

😂「、、、グランティで、お願いします。」

👩🏻「、、、ww。すみません。グランデですか？ベンティ？」

レジのお姉さんも、その後ろのコーヒー作ってたお姉さんも、なんなら僕の後ろのお客さんも笑ってました。

なぜ、あいまいなまま勝負に出たのか、
なぜ、「一番大きいので」が言えなかったのか、

そしてそもそもなぜ、「小慣れてる感」設定を入れたのか。

いまとなっては謎ですが、全部思春期のせいです。