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実験的冷や汁弁当 2022.7.11-

みなさん、冷や汁ってお好きですか?




私は分からないのです……




なぜなら食べたことがないから。



物心ついた頃から「汁物はいつもアチアチで出されたい」民であるわたくし。とはいえ、たまーに冷たいおすましなんかをお店でいただくことがあると、しっかりおいしくいただいている。たまご豆腐と茗荷が入ってるやつなんか、いいですよねえ。

ただ、味噌で味をつけた冷たいジルについては、記憶の限りでは食べた経験がない。何となく、「味噌味のジルは熱いもの」という固定観念に支配されて日々を過ごしてきた。盛夏だろうと熱い味噌汁はおいしいと感じる(食欲ない時のしじみ味噌汁、正に至高)ので、何もわざわざ冷たくして食べなくてもええじゃないか……等と思っていた。


そんな考えが少し変わりはじめたのは、わが国が誇る時代小説家・池波正太郎御大の著作に触れてからである。


今朝も暗いうちに、たんねんに出汁をとってこしらえた味噌汁を鍋ごと大きな笊に入れ、裏の石井戸の中へ吊し下ろし、よく冷やしておいた。
小兵衛はこれを「冷やし汁」などとよんで、夏の大好物の一つにしている。
(池波正太郎『剣客商売 隠れ蓑』より抜粋)


ホントな……なにゆえ池波先生のお書きになる料理というのは、こんなにも魅惑的なのだろう。大仰な言い回しなぞいっさい使われていないにも関わらず、食い意地にバチンコ☆どストライクすぎんだよ。こんなこと申し上げるのは大変おこがましいけれど、一度でいいからこんな飯テロ文を書いてみたい。書けたら墓標に刻むわ。

ほの暗いうちからていねいに作られ、井戸の中できりりと冷やされたお味噌汁……そそられる。実に実に、そそられる光景ではありませんか。


よし……ならばこの夏はいっちょ、この新境地を味わってみよう!


ということで今週は、冷や汁弁当の実証実験です!


今週のお弁当は、

・夏野菜たっぷりの冷や汁

・鶏と紫蘇のまぜごはん、で焼きおにぎり

・紫キャベツの梅酢漬け

以上3品。



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おにぎり×ジル弁当用にずっと探していた、小さめの竹あじろ……ようやく理想の大きさに巡り会えたので買っちゃいました!えへへ。

ちょっと、いや、ワカナ財政的にはかなりお高くていらっしゃるお買い物だったけれど、夏のボーナスをいただいたばかりなので、思いきってポチった。私の荒々しいおにぎりもなんかいい佇まいに見える……やはり衣装は大事だな。寒くなってからのおにぎり×ジル弁当でも大活躍してくれよう。竹細工はこまめなお手入れが必要だけれど、末永く大切にお付き合いさせていただきます。


冷や汁は、正式には魚をすりつぶしたり味噌を焼いたり裏ごししたりという、正に #ていねいな暮らし を地でゆく作業工程必須らしいけれど、裏ごしという概念のないめんどく星人はハナから正道を行く気なぞさらさらない。いつも通りふっつーの味噌汁を作って冷やすことにした。

とはいえ、御大によります「たんねんに出汁をとって……」という一文に敬意を表する意味で、昆布で取った出汁にあさりのむき身を入れて煮立て、アクを取ってから味噌を溶いた、いつもよりちょっとだけていねいな味噌汁にしてみた。後で薄めることを考慮して、味は濃いめに仕立て、残念ながら我が家に井戸はございませんゆえ、冷蔵庫にてしっかり冷やしておく。


で、具材はってーとですね。


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はいこれ。週末に仕込んでおいた夏野菜の揚げびたし。

夏野菜って本当に色鮮やかだな。見てるだけでうきうきしてくる。


地元の直売所およびロピアで仕入れてきた、なす・オクラ・パプリカ・アスパラ・ミニトマトをそれぞれ素揚げして、熱いうちにおろししょうが入りのめんつゆに漬け込むだけ。これも冷蔵庫でキリッキリに冷やしておきます。

余談だけれど、ミニトマトを素揚げする際、それまで「シュワー」と上品な佇まいを見せていた油が「バチバチバチバチバッチコーイ!!」みたいに荒ぶりやがったので心の臓が縮み上がった。久しぶりに揚げ物の恐怖感を思い出したわ。


今朝はスープジャーにまずこの揚げびたしを、気持ちジル気を切りつつたっぷり入れてから、水と氷でほどよく割った冷たい味噌汁を注ぎ、職場に持参した。


これがですねー、めちゃくちゃおいしくできてびっくりよ!あさりの出汁が効いた味噌汁に、夏野菜&めんつゆの甘みがなんともいい塩梅でマッチングしてくれた。ひんやりとなめらかなジルの喉越し、揚げてもなお心地よい歯ごたえを保つアスパラとパプリカのしゃきしゃき感、オクラのほどよい粘り気とポリポリ感、そしてトロットロになったミニトマトとなす……今日はまた蒸し暑くなったから、余計にしみいりましたわ。薄め加減がちょっぴり不安だったジルも、我ながら百点満点な濃度。明日同じスコアを叩き出せる自信はさっぱりないけれど、とにかくおいしかった!ただの味噌味でなく、めんつゆのほんのりした甘みが感じられるのもうれしいし、「トマト×味噌」味に最近覚醒したばかりなので、ミニトマト食べた時にじゅわっと甘酸っぱいジルが楽しめるのも最高。ハッハッハァー、またしてもこの夏を乗り切る頼もしい相棒と出会ってしまったな!


買ったばかりの竹あじろの初陣を飾るのは、鶏と紫蘇のまぜごはん。この組み合わせにぴん、と来た方もいらっしゃいましょうや。そう、noteが誇る天才・餃子さんが教えてくだすった、あの魅惑のまぜごはんです!


全紫蘇狂愛民まっしぐら!な魅惑の逸品。もちろん私もまっしぐらよ。ひと目見て即刻、ひみつマガジン「食べたいブクマ」にお迎えさせていただきました。


紫蘇ではっぱ隊をやっていたという輝かしい経歴をお持ちのぽなちゃんも、つい先日お作りになられた模様。


鶏もも肉は小さめにカットして、ごま油で炒める。味つけは出汁の素と塩で、「塩気はやや強気」にするのがポイントらしいです。鶏肉に火が通ったら、ここに炊きたてごはんをどーんとぶちこみ、千切りにした紫蘇(水にさらしてえぐみを抜いたもの)も投入して、ちょいとしょうゆも垂らして、あとはしっかりまぜまぜするだけ。

これで完成なのだけれど、私はお弁当用ってーことで、焼きおにぎりに加工した。

……んですがね。

おにぎりにするには、ちょっと鶏ももの刻みが甘かった模様。にぎってる内から肉がボロボロこぼれるし、フライパンで焼いてる最中も真ん中あたりに裂け目ができて崩壊しかけるしで、ちょっと悪戦苦闘した。途中でフライパンから引き上げてもう一回にぎり直して、まあなんとかまとまった。


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触れなば落ちん、といった風情の鶏肉たち


もちろんおにぎりにする前にできたてを味見したのだけれど、これはもうアレよ……全紫蘇狂愛民が泣きながら地面に額をこすりつけてむせび泣く事案よ……どちゃくそめちゃんこおーいしーい!!!!!

シンプルな味つけだのに、なんでこんな奥深いおいしさになるの???ぷりっとジューシーな鶏のうまみ、紫蘇のさわやか極まりない芳香……ごま油の香ばしさも効いていて、予想をはるかに上回るおいしさだった。紫蘇がねー、ほんっとにいい仕事してる!!これは食欲ない時でもモリモリ食べられちゃうお味です!!最高!!!

今日のお昼に食べた焼きおにぎりver.も、できたてとはまた違うベクトルで最高of最高だった。外側がカリっと香ばしくて、中はもっちり。鶏は相変わらずプリっとしており、紫蘇はどこまでも香り高い。冷めてもどちゃくそめちゃんこおーいしーい!!!!!

紫蘇がお好きな方、これは絶対に味わうべき逸品ですよ!



ということで今週の実証実験も大成功となった。冷たいお味噌汁がこんなにも味わい深いものだとは……。メカラ・ウロコ。

味噌汁ってのは万能野菜料理だと個人的に思っているので、具材のバリエーションを考えると可能性無限大だなー。正統派冷や汁風にサバ缶にきゅうりの薄切りってのも試してみたいし、シンプルになすと油揚げでもよさそうだし、冬瓜と枝豆なんて夏ならではの組み合わせもおいしそうだよな……。

それこそ秋山小兵衛さんみたいに、あえての具ナシで、冷ましたごはん、ほどよく漬けたなすに溶き芥子、ねぎを刻み込んだ炒りたまごと一緒にってのも、いつかやってみたいなあ。

今週も仕事は立て込んでるしお盆も来るしでバタバタしそうだけれど、たっぷり作った揚げびたしという頼もしき味方もいる。晩ごはんには冷たい麺類と合わせてもいいな。なんならそのまま酒の肴にして、焼酎ソーダ割をくいっと……。そしてシメに、冷凍してある鶏紫蘇まぜごはんをモリモリと………へ、へへ。げへへへへ!


ヨッシャヨッシャ、今週もがんばるぞーい!!


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