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鳩の日?いいえ、イカの日です


私がこのnoteという街に居を構えてから、約1年半が経った。その間にずいぶんと色んな学びをこの街に暮らす人々から得てきたわけだけれど(いつもありがとうございます)、その中のひとつにこういう教えがある。


『毎月10日はイカの日』


そんな概念の存在を初めて目にしたのは、日本の巴里に暮らす凄腕料理人・ケイチェルおじ上殿の記事だった。


初見時は「ほっほーん……そんな日があるのか」と思う程度だったのだけれど、その後ご縁に恵まれた様々な方たちが、毎月10日になると「イカの日!」「イカの日!」とシュプレヒコールをあげていらっしゃる。



毎月10日になると繰り広げられる、決してやかましくはない、けれど見る者の胸に確かな刻印を刻む熱量を秘めた祝祭……その様子を眺めているうちに、私の胸にもどうやらイカの形をした刻印が刻まれてしまったらしい。

凄腕料理人勢には遠く及ばないものの、私とてこの街で日々たべものについての記事を綴っている民のはしくれ。

ならば、

この祝祭に、思いきって飛び込んでみるべきなのでは???


ということで本日は、初めての『イカの日』記事でーす!と言っても作ったのは先週末なのだけれど、おじ上殿によるとイカの日は、前後2週間の遅延および前乗りを許される祝祭らしい。なんと寛大な精神であろうか。


ロピアで仕入れてきた丸ごとのスルメイカは、ボディに指を突っ込んで足を取り外し、背骨(じゃないかもしれないけど位置的にそうとしか思えない)も取り外す。目玉の辺りに包丁を入れて足と臓物を切り離したら、足をボウルに入れて塩少々を振ってからもみもみし、その後水洗いして吸盤を除去。ボディ部分は1cmくらいの幅で輪切りにしておく。

フライパンにオリーブ油とにんにくのみじん切りを入れて火にかけ、弱火でじっくりと加熱する。にんにくの香りが立ってきたら、湯剥きしてざく切りにしたトマト、トマトペースト、手刀でさばいたバジル、白ワイン、鷹の爪を投入。ジルがある程度どろりと重たくなるまで煮込んだら、ここにイカをぶちこむ。あとはイカに火が通るまで煮込みつつ、塩こしょうで味をととのえたらソースのできあがり。

ソースがいい塩梅になったところで、アルデンテ直前に茹であげたパスタをぶちこみ、全体をささっと馴染ませてからおさらにホイ。バジルの葉と、最近おやつとしてハマっている市販の塩えんどう豆(茹でてあるのでそのまま食べられるやつ)、粉チーズをトッピングしたらできあがり。


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豆、そして粉チーズ…………トッピングというよりも絶妙なぶっこぼし感が出てるけど、まあいいや。


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それにしてもイカのなんとなまめかしいこと。祝祭にふさわしい色香がプンプンするぜエーッ!もちろん海鮮系特有のめちゃくちゃいいにほひもしてます。


久しぶりに調理した丸ごとのイカ、上手にできたかしらん……とドキドキしていたけれど、まああれよ。生の海鮮をトマトソースにぶっこんだ物がおいしくならない訳がない……これは遥か太古より伝わる宇宙の法則でありますからして、つまるところどちゃくそめちゃんこおーいしーい!!!海鮮出汁ってやっぱり強靭だわ。濃厚なトマト味にまったく引けを取らない、かぐわしい海の香りと味がふんだんに楽しめる。たっぷり効かせたバジルのさわやかさとにんにくのパンチも効いているし、鷹の爪のピリッとした刺激もたまらない!このソース舐めてるだけでワイン1本は余裕で呑めそう。イカがね、またね、ぷりっとしててほどよい噛みごたえがあって、トマト味とよく馴染んでいてね……最高ですわ。やはり海鮮×トマトはテッパンの組み合わせだなあ。


ソースはたっぷり二食分できた(できてしまった、とも言う)ので冷凍保存いたしまして


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残りはリゾットにしてみました。


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相変わらず粉チーズのぶっこぼし感がすごい。もはや才能ではあるまいか。


これもまたどちゃくそめちゃんこおーいしーい!かった。ただ、鷹の爪がちょっと効きすぎていたので、米と合わせるよりもパスタと合わせた方がいい感じではあったかな。米にソースが染み込みすぎてて、食べてる最中にそら恐ろしいほどの発汗を余儀なくされたのでな……しかし味はグンバツによかったです。白ワインもすすむくんでした。

『イカの日』の初陣を飾るならば、やはり当日にイカを食べるのが、偉大なる祝祭および先人たちへの最低限の礼節であろう……と思っていたので、こうして当日にイカメニューが食べられて非常に満足。なんだか自分が、言ったことはキチンと成し遂げる『有言実行』がモットーのさわやか青年になったような気分にも浸れて、素晴らしい充足感に満ち満ちております。



…………っていう記事をね。昨夜書き上げて発信する予定だったんですけどね。

前述の通りリゾットがちょっぴり辛めに仕上がってしまったことで、これまた遥か太古より定められたこの世の理(ことわり)に従って白ワインもがんがんすすんでしまい…………

なんと食べ終わってから、食卓についたまま寝落ちしていたのである。


フォオウ!と我にかえって時計見たら飛び込んできた「03:17」の表示…………この瞬間の絶望感がイカなるものであったか、お優しい紳士淑女の皆さまにはお察しいただけましょうや。

でもまあ、イカの日当日にちゃんとイカメニュー食べたのは間違いないので、もうタイトルとか直さないでそのまま行きます!いいんだよ、前後二週間の猶予があるんだもの。これでいいんだ……これで…………。

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