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いくつかのセレナーデ 遅れてきた青春時代。短くも濃密な時間をともに過ごしたヒトとのあれこ…
気にしてる 彼女は言った「気にしなくていいよ」。 「気にしてるんじゃない。気になってんだ…
「My Ever Changing Moods」 初めて彼女の部屋を訪れたボク。 彼女は紅茶を淹れると、お気に…
空耳、あるいは「Roxanne」 The Police の名曲の有名な「空耳」について、彼女に教えてあげた…
やわらかなパンチ 添い寝したボクの顔の、すぐ前に彼女の顔。 「オトコマエ」という言葉が、…
小さなビルの小さなオフィス 阪神高速沿いの小さなビルの小さなオフィスの 小さな会社に、ボ…
束縛という形 彼女のことをボクは、束縛しないようにしたかった。 しっかりと自分を持っている人。だから、 彼女の素振りにどこかよそよそしいところがあっても、 問い質さなかった。 彼女が、思わせぶりなことや、不安気な言葉を口にしても、 ただ微笑んで「大丈夫だよ」としか言わなかった。 二人の間には、幸せな時が流れていた。いや、 流れている、と信じ込んでいたボクには、 気付くことができなかった。 「愛の表現には、束縛という形も必要だ」ということを。
「北へ」 彼女は北へ向かっていた。金曜日の夜、四つ橋筋を。 彼女の家とは反対方向。ボクは…
回した彼女の手 ボクは彼女にキスしようとし続けた。 彼女はそれを拒み続けた。 力尽きたボク…
眠れぬ夏の夜 彼女の部屋の電話が鳴った。 真夜中だった。 ボクを向いて人差し指を口の前に立…
払い戻し手数料 正月にボクは招かれて、地方都市の彼女の実家に行った。 家族から歓待を受け…
花 金曜日になるとボクたちは心斎橋筋へ出て、そのままずっと南に歩いた。 ボクが、開いてい…
モノガタリ、あるいは「風を忘れて」 童話風のモノガタリを書いた... 彼女は白い鳥さん。 …
絶交 「彼」について、彼女はボクの知らないヒトだと言った。 もしも知っているヒトだったら「絶交」するとボクは言った。 戎橋筋商店街の食堂で、彼女は本当のことを話した。 「絶交」という言葉が、ボクの口から反射的にこぼれた。 彼女の顔が悲しげに曇った。 一番つらかったのはキミだろう、嘘をつくことができない人だから。 そうボクは言った。 彼女の顔に、少し憂いを帯びた笑みが広がった。 ボクたちは「仲直り」した。