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いくつかのセレナーデ 9 眠れぬ夏の夜
眠れぬ夏の夜
彼女の部屋の電話が鳴った。
真夜中だった。
ボクを向いて人差し指を口の前に立てる彼女。
言葉少なに何やら話した。
電話を切ると着替え始めた。
彼女の部屋の前に車の音。
彼女は出て行った。
眠ろうとするボク。
眠れないまま短い夏の夜が明けようとしていた。
彼女の部屋の前に再び車の音。
彼女が戻ってきた。
着替えると横になって寝息を立てた。
いたたまれなくなって外に出た。
路地から路地へと彷徨い歩いた。
戻ったボクを目を覚ました彼女が見つめた。
悲しそうな目だった。
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